慢性血栓塞栓性肺高血圧症
監修医師白石 達也東日本橋内科クリニック 内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2022/02/15
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)とは
心臓から肺に血液を送る大事な血管に異常が起こり、流れが悪くなる病気です。原因は様々ですが、このうち血栓ができやすいことによるものを指します。放置すれば心不全に至ります。
もっと詳しく「慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)」を知る慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の検査・診断
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
基本的に、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)は非常にまれな病気であり、セルフチェックで診断をするような病気ではありません。
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)のリスクになる要素として、急性肺血栓塞栓症や深部静脈血栓症の病歴があることとの関連も報告されていますが、合併率が高くなく、機序(しくみ)も不明であり、はっきりとしたことはわかっていません。
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)が疑われる症状としては、以下が挙げられます。
- 体を動かす際に息が苦しくなる
- 胸がドキドキする
- 胸が痛くなることがある
- 失神することがある
- 疲れやすくなる
- 足がむくむ
- 首の血管(頸静脈)が皮膚の表面から見える
ただし、いずれも慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)以外の病気でもみられる症状であり、自己判断をするような病気ではありません。上記のような症状が新しく出現した際には、速やかに受診を検討しましょう。
また、症状検索エンジン「ユビー」も質問に答えるだけでセルフチェックができますので、ご活用ください。
参考文献
巽浩一郎ほか.慢性血栓塞栓性肺高血圧症(指定難病88).難病情報センター,https://www.nanbyou.or.jp/entry/307(参照 2024-03-18)
日本循環器学会ほか.“肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン(2017年改訂版)”.https://js-phlebology.jp/wp/wp-content/uploads/2019/03/JCS2017_ito_h.pdf,(参照 1899-12-30).
慢性血栓塞栓性肺高血圧症2022診療ガイドライン作成委員会.“慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)診療ガイドライン2022”.https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00751/,(参照 1899-12-30).
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)には初期症状はありますか?
初期は症状が現れにくいですが、体を動かした際には、息切れ、動悸などの症状があらわれることがあります。
「慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)」の初期症状としては、以下のような症状が出ることがありますが、初期の自覚症状に乏しいことも多いです。
- 体を動かす際に息が苦しくなる
- 胸がドキドキする
- 胸が痛くなることがある
- 疲れやすくなる
それまで普通にできていた動作や、今まで休まず歩けていた距離でも息切れで一休みしないといけなくなる、といったことがある際には注意が必要です。
参考文献
巽浩一郎ほか.慢性血栓塞栓性肺高血圧症(指定難病88).難病情報センター,https://www.nanbyou.or.jp/entry/307(参照 2024-03-18)
日本循環器学会ほか.“肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン(2017年改訂版)”.https://js-phlebology.jp/wp/wp-content/uploads/2019/03/JCS2017_ito_h.pdf,(参照 1899-12-30).
慢性血栓塞栓性肺高血圧症2022診療ガイドライン作成委員会.“慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)診療ガイドライン2022”.https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00751/,(参照 1899-12-30).
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)ではどのような症状がありますか?
体を動かしたときの息苦しさ、疲れやすさ、動悸等の症状があらわれます。進行すると胸痛や失神、突然の呼吸困難などが見られることがあります。
「慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)」の症状として、以下のようなものが挙げられます。
- 体を動かす際に息が苦しくなる
- 胸がドキドキする
- 胸が痛くなることがある
- 失神することがある
- 疲れやすくなる
- 咳が出る
- 血痰
- 足がむくむ
- 腹の中に水がたまる
- 体重増加
- 首の血管(頸静脈)が皮膚の表面から見える
参考文献
巽浩一郎ほか.慢性血栓塞栓性肺高血圧症(指定難病88).難病情報センター,https://www.nanbyou.or.jp/entry/307(参照 2024-03-18)
日本循環器学会ほか.“肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン(2017年改訂版)”.https://js-phlebology.jp/wp/wp-content/uploads/2019/03/JCS2017_ito_h.pdf,(参照 1899-12-30).
慢性血栓塞栓性肺高血圧症2022診療ガイドライン作成委員会.“慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)診療ガイドライン2022”.https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00751/,(参照 1899-12-30).
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の原因は何がありますか?
血栓が肺動脈付着することにより狭くなり、血流が悪くなることで肺高血圧症や低酸素血症になります。
「慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)」は、肺動脈に血栓が詰まり、血管が狭く、硬くなり、血液が流れにくくなることで肺動脈の圧が長期にわたって高くなり、息切れや胸の痛みなどを生じる病気です。
原因としては、以下のようなものが考えられます。
- 心臓や静脈内にできた血栓が、肺動脈を詰まらせる
- 血管の中の血液が固まりやすくなる
- できた血栓が溶けにくくなる
- 血管が硬くなる
- 血管が広がりにくくなる
しかし、なぜこのようなことが起こるのか、その機序(しくみ)はいまだに解明されていません。
参考文献
巽浩一郎ほか.慢性血栓塞栓性肺高血圧症(指定難病88).難病情報センター,https://www.nanbyou.or.jp/entry/307(参照 2024-03-18)
日本循環器学会ほか.“肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン(2017年改訂版)”.https://js-phlebology.jp/wp/wp-content/uploads/2019/03/JCS2017_ito_h.pdf,(参照 1899-12-30).
慢性血栓塞栓性肺高血圧症2022診療ガイドライン作成委員会.“慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)診療ガイドライン2022”.https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00751/,(参照 1899-12-30).
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に特徴的な心電図はありますか?
慢性血栓塞栓性肺高血圧症だけに見られるような心電図変化はありませんが、肺動脈の圧が上がることによる心電図変化があらわれることはあります。
慢性血栓塞栓性肺高血圧症だけに認める特徴的な心電図変化というものはありませんが、肺動脈の圧が上昇し、心臓に負荷がかかることによる心電図変化があらわれる場合はあります。
その際にあらわれる心電図変化としては、以下のようなものがあります。
- 右軸偏位
- 肺性P波
- 胸部誘導V1からV3にかけての陰性T波
- V1誘導でR波が大きくなる(R/S>1)
- V5誘導でR波が小さくなる(R/S<1)
ただし、一般の方が心電図を正確に読み取ることはできないため、健康診断などで心電図の異常が指摘された際には、専門の医療機関を必ず受診するようにしてください。
参考文献
巽浩一郎ほか.慢性血栓塞栓性肺高血圧症(指定難病88).難病情報センター,https://www.nanbyou.or.jp/entry/307(参照 2024-03-18)
日本循環器学会ほか.“肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン(2017年改訂版)”.https://js-phlebology.jp/wp/wp-content/uploads/2019/03/JCS2017_ito_h.pdf,(参照 1899-12-30).
慢性血栓塞栓性肺高血圧症2022診療ガイドライン作成委員会.“慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)診療ガイドライン2022”.https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00751/,(参照 1899-12-30).
「慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)」とはどのような病気ですか?
血の塊の影響で肺の動脈(肺動脈)が狭くなったり詰まることで、肺高血圧症や低酸素血症になる病気です。
「慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)」は、心臓から肺に向かう血管(肺動脈)に血の塊(血栓)が詰まり、この血管の圧が6ヶ月以上の長期にわたって異常に高くなる病気です。圧力の上昇は、血栓によって血管が狭く、硬くなり、血液が流れにくくなることによって起こります。
この病気は、発病のメカニズムがいまだに解明されていないこと、有効な治療方法が確立されていないこと、患者数が少ないまれな病気であること、予後がよくないことから、難治性呼吸器疾患(指定難病)に認定されています。
症状
- 体を動かした際に息が苦しくなる
- 疲れやすくなる
- 胸が痛くなる
などが出現しやすいです。
参考文献
巽浩一郎ほか.慢性血栓塞栓性肺高血圧症(指定難病88).難病情報センター,https://www.nanbyou.or.jp/entry/307(参照 2024-03-18)
日本循環器学会ほか.“肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン(2017年改訂版)”.https://js-phlebology.jp/wp/wp-content/uploads/2019/03/JCS2017_ito_h.pdf,(参照 1899-12-30).
慢性血栓塞栓性肺高血圧症2022診療ガイドライン作成委員会.“慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)診療ガイドライン2022”.https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00751/,(参照 1899-12-30).
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の場合、主にどのような治療をしますか?
血をサラサラにする薬や血管を広げる薬を使用します。病変の部位によっては、硬くなった血栓を血管の内膜と一緒に摘出する手術や、狭くなった血管を特殊な風船で広げる治療を行うこともあります。
「慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)」の治療として、主に以下のようなものが挙げられます。
薬物療法
抗凝固療法
血栓を溶かす、新しく血栓ができることを防ぐために、血液を固まりにくくするワーファリンという薬剤の投与が、永続的に必要となります。
肺血管拡張薬
肺の血管を広げることで血管の圧を下げ、呼吸を改善させ、心臓の負担を減らす効果が期待されます。現在、使用できる薬剤としては、外科的治療の適応がない、又は治療後に残存・再発した場合に対して、リオシグアト(アデムパスⓇ)、セレキシパグ(ウプトラビⓇ)といったものが使用されることがあります。
外科的治療
血栓がある部位や病状、年齢などにもよりますが、硬くなった血栓を血管の内膜と一緒に摘出する、肺動脈内膜剥離術(PEA)が実施されることがあります。
肺動脈のなかでも、心臓に近い太めの血管の場合に用いられやすいです。
カテーテル治療
病変の部位や病状によっては、狭くなった血管を特殊な風船で広げる治療(BPA)が行われることがあります。
以下のような場合に用いられることいが多いです。
1. 血栓のある部位がPEAで治療が困難な細い血管の場合
2. 高齢や合併症でPEAが困難
3. PEA術後で内科治療でも肺高血圧が残っている場合
肺移植
上記のような治療が困難な場合には、肺移植が行われることもあります。
しかし、PEAに比べると治療成績は不良であり、日本ではドナー不足ということもあって、肺移植の適応となり、実施できるケースは限られています。
参考文献
巽浩一郎ほか.慢性血栓塞栓性肺高血圧症(指定難病88).難病情報センター,https://www.nanbyou.or.jp/entry/307(参照 2024-03-18)
日本循環器学会ほか.“肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン(2017年改訂版)”.https://js-phlebology.jp/wp/wp-content/uploads/2019/03/JCS2017_ito_h.pdf,(参照 1899-12-30).
慢性血栓塞栓性肺高血圧症2022診療ガイドライン作成委員会.“慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)診療ガイドライン2022”.https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00751/,(参照 1899-12-30).
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の治療・対処法
慢性血栓塞栓性肺高血圧症への対処法は?
簡単な検査で診断できるものではありません。医療機関で精密検査を受けてください。
受診の目安・何科を受診するべきか
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
循環器内科で治療することが多いため、受診をするなら循環器内科になります。
まず大前提として、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)は非常にまれな病気であり、この病気だけにあらわれる特徴的な症状はないため、自分で症状等から判断することは不可能です。
動いた時に息が苦しくなる、動悸があらわれる、胸が痛くなる、といった症状がある時には循環器内科の受診を検討しましょう。
診断をされた後の治療は主に循環器内科が関わりますが、治療内容によっては心臓血管外科、呼吸器内科、呼吸器外科などさまざまな診療科が連携して診察・治療を行うこともあります。
参考文献
巽浩一郎ほか.慢性血栓塞栓性肺高血圧症(指定難病88).難病情報センター,https://www.nanbyou.or.jp/entry/307(参照 2024-03-18)
日本循環器学会ほか.“肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン(2017年改訂版)”.https://js-phlebology.jp/wp/wp-content/uploads/2019/03/JCS2017_ito_h.pdf,(参照 1899-12-30).
慢性血栓塞栓性肺高血圧症2022診療ガイドライン作成委員会.“慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)診療ガイドライン2022”.https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00751/,(参照 1899-12-30).
慢性血栓塞栓性肺高血圧症の専門医がいる近くの病院はありますか?
慢性血栓塞栓性肺高血圧症の専門医がいる病院を見る慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「慢性血栓塞栓性肺高血圧症」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 1ヶ月で2kg以上、心当たりがないのに体重が増えましたか?
- むくみがありますか?
- 息苦しさを感じますか?
- これまでに【肺血栓塞栓症(血栓が肺血管に詰まった)】と診断されたことはありますか?
- 意識を一時失いましたか?
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に関連する病気・症状
この記事の監修医師
白石 達也 先生
東日本橋内科クリニック 内科・循環器内科
京都大学医学部卒。田附興風会医学研究所北野病院で臨床研修、仁生社江戸川病院で循環器内科医として勤務。Ubie社での勤務を経て、東日本橋内科クリニック院長。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2022/02/15