腎細胞癌の症状は?腎細胞癌
監修医師秋元 隆宏東京大学大学院医学系研究科 泌尿器外科学 泌尿器科 泌尿器科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
腎臓がん(腎がん)とは
腎臓の悪性腫瘍のうち、腎臓の細胞そのもの(腎実質)にできるものを指します。進行をしていなければ症状に乏しく、別件の検査で偶然発見されることが多いです。
「腎臓がん(腎がん)」とはどのような病気ですか?
「腎がん」とは、腎臓にできるがんを指します。
「腎臓」は背中側、脇腹の高さあたりに、肋骨に隠れるように左右ひとつずつある臓器です。
腎臓には血液から老廃物をこし出して尿を作る、体の水分やミネラルバランスを一定に保つ、他の臓器に働きかけて血液や骨を作らせるなど、たくさんの機能があります。
その腎臓の実質にできるがんを「腎臓がん(腎がん)」または「腎細胞がん」と呼び、男性には女性の1.5~2倍発生しやすく、高齢になるほど発症しやすくなります。
腎がんは無症状のことが多く、血液検査での特徴もないため、他の目的で超音波検査やCT検査を行ったときに偶然見つかることが多く、以前はがんが小さくても腎臓全体を摘出することがありましたが、ロボット手術の発展により、がんとその周囲のみを取り除く方法も普及しています。
ほかのがんと少し異なり、治療5年後以降も再発・転移することがあり注意が必要です。
骨や肺、周囲の臓器や下大静脈などに転移・浸潤(細胞など組織が周囲にじわじわ広がっていくこと)するなど、手術だけで根治を期待できない場合は薬物療法などで治療することがあります。
腎臓がん(腎がん)の症状
腎臓がん(腎がん)には初期症状はありますか?
腎臓がん(腎がん)は悪化するまで症状が出づらく、初期症状はないことが多いです。
腎臓がん(腎がん)は無症状のことがほとんどで、初期の段階では特徴的な症状はありません。しかし、腎がんができると、持続的に炎症が起こるため、大きな転移がなくても発熱や倦怠感、夜間の発汗、食欲低下などの全身症状がでることはあります。
腎臓がん(腎がん)ではどのような症状がありますか?
基本的には無症状です。進行するとまれに血尿や脇腹の違和感、発熱などの症状が出ることがあります。
腎臓がん(腎がん)は50%以上が無症状で見つかります。進行してがんが大きくなった場合や、転移が生じた場合には以下のような多彩な症状が出ます。
- 血尿(尿が赤い・尿に血が混じっている)
- 脇腹に違和感や痛みを感じる
- お腹にしこりが触れる
- 熱がでる
- 夜間に着替えが必要なほど汗をかく
- 意図せずに体重が減少する
- 両脚がむくむ、両脚に静脈瘤ができる
- 体がだるい
- 食欲がわかない
- 血圧が高くなる
- 咳が続く
- 骨が痛む
腎臓がん(腎がん)の原因
腎臓がん(腎がん)の原因は何がありますか?
喫煙や肥満、高血圧などの生活習慣に関わるものや遺伝などがあります。
腎臓がん(腎がん)の原因としては、以下のものが挙げられます。
腎臓がん(腎がん)の検査・診断
腎臓がん(腎がん)のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
腎臓がん(腎がん)は初期の段階では症状を出すことが少なく、進行してからは多彩な症状が出るため、症状でのセルフチェックは難しいです。実際に、腎がんの発見はその50~60%が健康診断での超音波検査、他の目的で行われた画像検査がきっかけです。また、30%程度の方では発見されたときにすでに転移があるなどがんが進行しています。
そのため、症状がなく下記の危険因子がある場合に、定期的な健康診断での画像検査(超音波検査など)をおすすめします。
また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、腎がんかどうかのセルフチェックも無料でできます。ぜひご活用ください。
腎臓がん(腎がん)は尿検査でわかりますか?
尿細胞診で判明することもありますがまれであり、超音波検査やCT検査などの画像検査によって診断されます。
腎臓がん(腎がん)を疑った際に、尿検査でがん細胞が尿中に検出されるかどうかを確認しますが、それだけでは腎がんと診断することはできません。
腎がんは膀胱がんと比較して頻度が低いため、まずは膀胱がんでないことを確認する必要があります。そのために、膀胱鏡検査で膀胱に異常がないことを確認したり、尿検査で尿中にがん細胞が検出されないかどうかを確認したりします。
尿中にがん細胞がある場合でも、結果が陰性となる場合があるため、他の検査結果も参考にすることが必要です。
腎臓腫瘍の良性と悪性の見分け方を教えてください。
腎臓腫瘍については良性・悪性を判断にCT検査が有用ですが、 必ずしも見分けられるわけではありません。
腎臓腫瘍の良性、悪性を確実に判断するためには、CT検査が有用です。
腎臓腫瘍を疑った際は、CT検査以外にも尿検査、採血検査、超音波検査などを行いますが、CT検査以外の検査では、確実に良性か悪性かを区別することが難しいです。例えば、尿検査でがん細胞が尿中に検出されると、悪性と判断できますが、そのような状態になるのは、かなり進行した悪性腫瘍である場合が多いです。
また、超音波検査では、腫瘍の大きさや多臓器への浸潤(しんじゅん:細胞などが周囲の組織にじわじわ広がっていくこと)などは分かりません。
参考文献
Shilverman SG, et al. Bosniak Classification of Cystic Renal Masses, Version 2019: An Update Proposal and Needs Assessment. Radiology. 2019, 292, 475-488.
日本泌尿器科学会.“腎癌診療ガイドライン2017年度版”.がん診療ガイドライン.http://www.jsco-cpg.jp/kidney-cancer/,(参照 2024-08-05).
国立がん研究センター.“腎臓がん(腎細胞がん)について”.がん情報センター.https://ganjoho.jp/public/cancer/renal_cell/about.html,(参照 2024-08-05).
腎臓がん(腎がん)の診断に必要な検査にはどのようなものがありますか?
エコー、CTなどの画像検査で診断がなされることが多いですが、組織の一部を採る生検を行う場合もあります。
腎臓がんは、超音波(エコー)検査で見つかり、CT検査で確定診断されます。場合によってはMRIが使われることもあります。同じCT検査でも、FDG-PET/CTは必ずしも有用ではありません。
腎臓がんは、他のがんと違って画像検査で確定診断されるという珍しいがんです。しかし、画像ではがんかどうか判別が難しい場合もあります。その場合には疑わしい組織の部位を採ってから詳細な検査をし、がんを確定するということもあります。
組織の一部を針で採取する生検を行って、がんかどうかを確認したり、がんの悪性度を調べます。
ただし、手術は患者さんにとって大きな負担ですので、担当医とよく相談することをおすすめします
腎臓がん(腎がん)の治療・対処法
腎細胞癌への対処法は?
まずは医療機関を受診してください。
腎臓がん(腎がん)の手術で腎臓がひとつなくなるとどのようなことが起こりますか?
腎臓がひとつなくなると、慢性腎臓病(CKD)となるため普段の生活の節制が重要になります。
腎臓がんのために腎臓をひとつ摘出したとしても、残っているほうの腎臓が正常な働きをしていれば、日常生活に支障をきたすことはありません。
しかし、本来ふたつで機能している腎臓がひとつになるので、残った腎臓に負担がかかります。単純に半減というわけではありませんが腎臓ができる仕事は減りますので、多くの方が腎臓摘出後には慢性腎臓病(CKD)となります。
移植のために腎臓を取り出した方も同じです。CKD患者さんとして残った腎臓の機能を保つために、術前よりも・他の健康な方よりも、喫煙や過度な飲酒を控える、バランスの良い食事をとる(塩分のとりすぎを控えるなど)、適切な運動をするなどといった生活習慣の改善を心がける必要があります。
脱水も腎臓の負担になるため、夏の暑いときや下痢などの時はよく水分をとるように注意することも大切です。
適切な手術をした場合の治る確率はどのくらいですか?
ステージにもよりますが、手術によって根治を目指せる場合があります。
腎がんは進行すると、転移して死に至ることがある病気です。
腎がんの基本的な治療法は、ステージによって異なり、ステージ別の治療法と5年生存率(がんによる死亡だけに関して年齢も考慮したうえで、診断されてから5年後も生存している確率)は以下のようになります(2015年に診断された方のデータ)。
ステージ I期
基本的に手術が標準治療です。がんの大きさによってロボット支援腎部分切除術や腹腔鏡手術、開腹手術などを行い、5年生存率は約95%と報告されています。
ステージ II期
基本的に手術が標準治療です。がんの大きさによって腹腔鏡手術、開腹手術などを行い、5年生存率は約88%と報告されています。
ステージIII期
リンパ節転移がない場合は、手術が標準治療で開腹手術や、ロボット支援腎摘除術を行うことがありますが、術後補助療法として、薬物治療も行うことで治療成績が上昇しています。
リンパ節転移の有無やその個数によっては、免疫療法や分子標的薬などの薬物治療を中心に治療します。5年生存率は約78%と報告されています。
ステージⅣ期
転移がない場合は、手術が標準治療で開腹手術や、ロボット支援腎摘除術を行うことがありますが、術後補助療法として、薬物治療も行うことで治療成績が上昇しています。
転移の有無やその場所、個数によっては、免疫療法や分子標的薬などの薬物治療を中心に治療します。5年生存率は約19%と報告されています。
上記のように早期のステージで腎がんが診断できた場合は、適切な手術をすることで治る可能性は高いです。
しかし、腎がんの組織型(タイプ)や進行リスクによっては、再発進行する可能性があるため、定期的な検診は重要です。
また、進行したステージでは手術だけでは、根治が期待できない場合もあります。
手術を含め、治療には合併症・副作用もあるため、腎がんがみつかった場合は、ステージや組織型に関して正確に診断してもらい、その特徴や適切な治療法を担当の医師と相談しましょう。
参考文献
日本泌尿器科学会.“腎癌診療ガイドライン2017年度版”.がん診療ガイドライン.http://www.jsco-cpg.jp/kidney-cancer/,(参照 2025-03-21).
日本泌尿器科学会ほか.腎臓がん(腎細胞がん) 関連リンク・参考資料.国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方向けサイト,https://ganjoho.jp/public/cancer/renal_cell/reference.html(参照 2025-03-21)
がん情報サービス.“院内がん登録生存率集計結果閲覧システム”.がん統計.https://hbcr-survival.ganjoho.jp/#h-title,(参照 2025-03-21).
末期状態でも、適切に治療した場合、余命(生存率)は伸びますか?
末期状態でも、適切な治療を行えば、がんの進行を抑え、余命が伸びることはあります。
近年、体に負担の少ない治療法や治療薬の開発が進み、ロボット手術や免疫療法、分子標的薬、放射線療法などが使用できるようになり、その組み合わせなどによる治療効果の改善が報告されています。
そのため、末期状態の明確な定義はありませんが、生存率の低いステージⅣまで進行していても、以前より進行を抑えられることがわずかですが増えています。
例えば、遠隔転移を伴うような末期の状態でも、分子標的薬を用いて腫瘍を小さくしたのちに腎摘除術を行ったり、できない場合でも、転移巣の手術を行ったり、分子標的薬や免疫療法といった薬物療法、放射線療法を行うことで、治療しない場合よりもがんの進行を抑えやすくなります。
また、がんによる症状を緩和する緩和ケアもがんの治療と並行して行うことで、心の痛みや社会的なつらさなどを和らげ、症状もコントロールしやすくなり、がんに対する治療を受けやすくなる可能性や、旅行や趣味をする時間が増えて、生活の質がよくなる可能性が報告されています。
参考文献
G. Vanbutsele, et al. Eur J Cancer. 2020,124,186-193.
O. Slama, et al. J Palliat Med. 2020, 23(12), 1586-1593.
日本泌尿器科学会.“腎癌診療ガイドライン2017年度版”.がん診療ガイドライン.http://www.jsco-cpg.jp/kidney-cancer/,(参照 2025-03-21).
日本泌尿器科学会ほか.腎臓がん(腎細胞がん) 関連リンク・参考資料.国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方向けサイト,https://ganjoho.jp/public/cancer/renal_cell/reference.html(参照 2025-03-21)
腎臓がん(腎がん)のステージ別の症状や治療法を教えてください。
ステージが早期の場合は手術を行いますが、がんが転移している場合は、薬物療法や放射線療法を行います。
Ⅰ期、Ⅱ期、Ⅲ期の腎臓がんに対しては手術療法が主に用いられますが、がんが小さく合併症のリスクが高い場合やや高齢者の場合は、針を刺してがんの部分を凍結させる凍結療法や、逆に焼き倒すラジオ波焼灼術が用いられることもあります。
手術療法は、がんが小さい場合は腎臓の部分切除がなされますが、がんが大きかったり周囲に浸潤している場合は、腎臓そのものを摘出したりその周囲の臓器も一緒に摘出することがあります。
Ⅳ期に対して手術療法ができない場合や遠隔転移が見られる場合は、薬物療法や放射線療法を行います。
症状については、初期は症状が出ないことが多いです。がんが大きくなってくると、血尿や背中や腰の痛み、腹部のしこり、咳や痰などの症状が出てきます。がんが他の臓器にも転移するようになると、その臓器にも痛みなどの症状をきたすことがあります。
腎臓がん(腎がん)の場合、主にどのような治療をしますか?
基本的には手術で治療しますが、薬物治療を行う場合もあります。
腎臓がん(腎がん)は基本的に手術で治療しますが、がんが進行して転移している場合や手術で取り切ることが難しい場合は薬物治療も行います。また、患者さんの状態によって、局所療法を行う施設もあります。
ほかのがんでは一般に転移がある場合は手術しませんが、腎がんでは転移が少なく薬物療法で病気の進行が抑えられていれば、がんを発生した腎臓を摘除することが有効とされています。
手術治療
腎がんの大きさや位置、周囲臓器への浸潤(細胞など組織が周囲にじわじわ広がっていくこと)などを評価して、腎臓を温存できるか判断し、腎がんだけを取り除くか、腎臓全体を取り除くか、副腎などの周囲臓器と一緒に取り除くかを決めて行います。
薬物治療
転移がある場合は、進行リスクに合わせて、分子標的薬などの抗がん剤治療やがん免疫療法(自身の免疫力を高める薬を点滴の全身投与)を行います。また、再発を予防する目的で、手術後にがん免疫療法を行うこともあります。
局所治療
がんが小さく、手術のための麻酔が難しい場合や手術を希望しない場合、凍結療法やラジオ波焼灼術、放射線療法が行われます。手術が可能な場合は手術が選択されます。
受診の目安・何科を受診するべきか
腎細胞癌の専門医がいる近くの病院はありますか?
腎細胞癌の専門医がいる病院を見る腎臓がん(腎がん)の経過・予後
腎臓がん(腎がん)が転移してる場合、余命はどのくらいですか?
転移がある場合はステージⅢ以上です。遠隔転移等があるステージⅣでは5年生存率はおよそ17%程度です。
腎臓がん(腎がん)が他の部位に転移している場合は、ステージ4に分類され、5年生存率はおよそ17%程度です(2017年報告)。
また、腎がんが腎臓周囲に浸潤(しんじゅん:細胞などが周囲の組織にじわじわ広がっていくこと)していたり、ひとつのリンパ節に転移を認める場合はステージ3に分類され、5年生存率はおよそ70%程度です。この値を比較しても、早期発見が重要であることは明確です。
しかし、腎がんが進行すると、血尿、腰痛・腹痛、体重減少などの自覚症状が出てくることがありますが、初期のころには自覚症状が乏しく、超音波検査で偶然発見される場合が多いです。そのため、早期発見のために、定期的な超音波検査が大切です。
腎臓がん(腎がん)の生存率はどのくらいありますか?
腎臓がん(腎がん)の進行度やがんの種類、治療方法、持病などによって生存率はさまざまです。
腎臓がん(腎がん)は、がんの大きさや、周囲の臓器への浸潤(細胞など組織が周囲にじわじわ広がっていくこと)の有無、リンパ節や離れた臓器への転移の有無などにより進行度・ステージ(病気の進行具合や広がりを示す分類)が異なります。
例えば、小さながんが腎臓内に留まっている場合、適切な治療を行えば5年生存率(腎がんと診断された人が5年後に生きている確率)は90%程度以上と言われますが、がんが転移している場合、5年生存率は高くても30%台です。
その他に下記の項目などの個々の状態によって予想される生存率が異なるため、もしさらに気になる場合は、担当医に相談しましょう。
年齢や性別については、若い方や女性の方が生存率が高い可能性の報告もありますが、変わらないという報告もあり、議論が分かれています。
参考文献
Angela Aldin et al. First-line therapy for adults with advanced renal cell carcinoma: a systematic review and network meta-analysis. Cochrane Database Syst Rev. 2023, 1002, 14651858.
Hiro-Omi Kanayama et al. Clinicopathological characteristics and oncological outcomes in patients with renal cell carcinoma registered in 2007: The first large-scale multicenter study from the Cancer Registration Committee of the Japanese Urological Association. Int J Urol
. 2015, 1111, 12826.
Changming Wang et al. Establishment and validation of a prognostic nomogram for patients with renal cell carcinoma based on SEER and TCGA database. Transl Cancer Res. 2023, 12, p.1411-1421.
Yoichiro Sato et al. Volume-Outcome Relationship in Cancer Survival Rates: Analysis of a Regional Population-Based Cancer Registry in Japan. Healthcare (Basel). 2022, 10, 3390.
Muhammad Majdoub et al. Role of clinicopathological variables in predicting recurrence and survival outcomes after surgery for non-metastatic renal cell carcinoma: Systematic review and meta-analysis. Int J Cancer. 2023, 10, 1002.
対処法・セルフケア
腎臓摘出後に痛みはありますか?また、その後遺症や対処方法について教えてください。
傷が治るまでは皮膚の痛みが伴うことが多いです。また、筋肉痛が強くなったような痛みが出ることもあります。
腎臓摘出後の痛みに関して
傷を触ったときの皮膚の痛みや、体を動かしたときの筋肉の痛みがあり、個人差はありますが、治るまで数日から2週間程度、場合によっては数ヶ月かかることがあります。
腎臓は背中側にあり、肋骨に守られるような場所に位置するため、腎臓を摘出する方法は、ロボット手術や腹腔鏡手術、開腹手術などがあります。
腫瘍の大きさなどによって使い分けていますが、いずれも腎臓を取り出せる程度の、少なくとも10cm以上の大きな傷になるように皮膚や筋肉を切る必要があり、まれに大きな腫瘍の場合は、肋骨の一部を削ることもあります。
そのため、傷が治るまでは、基本的には2週間程度、ピリピリ、ズキズキとした皮膚の痛みが伴うことが多いです。また、筋肉が治るまでは、体を動かしたときに筋肉痛がかなり強くなったような痛みが出ることもあります。
痛みの対処法に関して
まず、出血や血腫の形成、感染症など、根本的な治療が必要な病気がないかを診察や血液検査、画像検査で調べて対応します。
それとは別に、手術では体に傷をつけるため、以下のような麻酔や薬を使って、術後の痛みを抑える方法があります。
- 硬膜外麻酔
- ブロック麻酔
- 内服鎮痛薬
治療手術後も痛みを感じている神経に直接効く痛み止めを使うことで、手術後数日の強い痛みを緩和することができます。
その後はアセトアミノフェンや、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、トラマドールなどの痛み止めを使い、日常生活が送れる程度の痛みを目指します。
ただし、痛みが強く日常生活に影響が強い場合や、2週間以上も痛みが強い場合は、血腫や感染症がゆっくり出てきた可能性や、痛み止めが少ない可能性があるので、我慢せずに再度病院を受診しましょう。
その他の後遺症や合併症に関して
腎臓摘出後の痛み以外の合併症には、以下のようなものがあります。病気によっては痛みを伴うこともあります。
腎臓の手術に特有なもの
- 腎機能の低下
- 血尿
麻酔の合併症
手術に伴う合併症
腎臓は2つあるため、ひとつ摘出すると反対側の腎臓への血流が増えて、腎機能は最終的にもともとの6割程度になることが多いです。
そのため、慢性腎臓病(CKD)になることが多く、腎臓内科での食事や血圧の管理が必要になることが多いです。糖尿病や高血圧などがあると腎臓機能が悪くなるため、透析が必要になることもあります。
手術は体にとって負担になるため、手術後数日は発熱することが多いですが、発熱が長く続く場合は、感染症に対する抗菌薬での治療などが必要になることもあります。
参考文献
A. Bachmann, et al. Transplantation. 2006, 081(012), 1735-1738.
Covotta M, et al. Pain Med. 2020, 21(2), 378-386.
日本泌尿器科学会.“腎癌診療ガイドライン2017年度版”.がん診療ガイドライン.http://www.jsco-cpg.jp/kidney-cancer/,(参照 2025-03-21).
日本泌尿器科学会ほか.腎臓がん(腎細胞がん) 関連リンク・参考資料.国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方向けサイト,https://ganjoho.jp/public/cancer/renal_cell/reference.html(参照 2025-03-21)
一般の皆様 - 麻酔を受けられる方へ|公益社団法人 日本麻酔科学会.https://anesth.or.jp/users/common/receive_anesthesia?page=11#sc-wrap(参照 2025-03-21)
腎臓がん(腎がん)に関連するその他の質問
腎臓がん(腎がん)の前兆や予兆はありますか?
腎臓がんの初期症状はほとんどありません。
腎臓がんの初期症状はほとんどありません。そのため、腎臓がんは健康診断や他の病気の検査で偶然見つかることが多いです。
腎臓がんが大きくなると、血尿や背中や腰の痛み、腹部のしこり、咳や痰などの症状が出てきます。また、がんが広がっていると、発熱や倦怠感、体重減少などをきたすことがあります。
これらのような具体的な症状が現れると、かなり進行していることが考えられるため、症状がない間から定期的に健康診断を受けることが大切です。
腎臓がん(腎がん)でしこりがみられる場所を教えてください。
腎臓がん(腎がん)では、がんのある腎臓の側にしこりを感じる場合があります。
腎臓がん(腎がん)では、進行した際に右上腹部にしこりが見られる場合があります。腎がんが進行すると、しこり以外にも血尿、腰痛・腹痛、体重減少などの自覚症状が出てくることがあります。
しかし、初期のころには自覚症状が乏しく、超音波検査で偶然発見される場合が多いです。
5年生存率で比較してみると、腎臓に限局している場合であれば75%以上あるのに対して、腎周囲の脂肪組織まで浸潤(しんじゅん:細胞などが周囲の組織にじわじわ広がっていくこと)しているものの場合には75%以下となっています。このように、早期発見が大切になるので、定期的な超音波検査が大切です。
腎臓癌の進行スピードについて年齢別に教えてください。
腎臓がんの進行スピードは年齢によって決まっているわけではありませんが、以下のような報告があります。
腎臓がんの進行スピードは、年齢だけでなく、ステージや組織型、リスク分類によって決まりますが、以下のような報告があります。
年齢別の5年生存率
基本的にステージで分けると、ステージが高いほうが生存率は低くなりますが、ステージで分類していない年齢別の平均的な5年生存率は、以下のように報告されています(2015年に診断された方のデータ)。
- 40歳未満:約90%
- 40歳代:約91%
- 50歳代:約87%
- 60歳代:約83%
- 70歳代:約81%
- 80歳以上:約70%
心不全や肺炎など、他の死因を含めると以下のように報告されています。
- 40歳未満:約90%
- 40歳代:約90%
- 50歳代:約85%
- 60歳代:約79%
- 70歳代:約72%
- 80歳以上:約51%
年齢別の腎がんの特徴
腎がんで2番目に多い組織型の乳頭状腎細胞がんは、腎機能が低下している場合や、透析している腎臓に生じることが多く、基本的には予後がいいです。ただし、高齢の乳頭状腎細胞がんは、年齢が高い方が進行リスクが高い場合が報告されています。
小児の腎がんの約40%は、Xp11転座型腎細胞がんというがんで、基本的には予後はいいですが、成人にも起こり、成人では予後が悪いなどの報告があります。
腎がんは進行すると転移などが起こり、命に関わる病気です。転移性の腎がんのリスク分類として、MSKCC分類やIMDC分類(「腎臓がん(腎がん)におけるIMDCリスク分類とはなんですか?」参照)などがありますが、いずれも年齢はリスク因子には入っていません。
そのため、年齢は直接的な進行リスクにはなりませんが、上記のように年齢によって生存率は若干異なり、腎がんのタイプも異なるという報告があります。また、年齢によって治療の選択肢が狭まる可能性もあります。
腎がんの進行スピードは個人差がありますので、腎がんがみつかった場合は、ステージや組織型に関して正確に診断してもらい、その特徴を担当の医師に確認しましょう。
参考文献
C. Zhanghuang, et al. Front Public Health. 2022, 10, 874427.
日本泌尿器科学会.“腎癌診療ガイドライン2017年度版”.がん診療ガイドライン.http://www.jsco-cpg.jp/kidney-cancer/,(参照 2025-03-21).
日本泌尿器科学会ほか.腎臓がん(腎細胞がん) 関連リンク・参考資料.国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方向けサイト,https://ganjoho.jp/public/cancer/renal_cell/reference.html(参照 2025-03-21)
がん情報サービス.“院内がん登録生存率集計結果閲覧システム”.がん統計.https://hbcr-survival.ganjoho.jp/#h-title,(参照 2025-03-21).
腎臓がん(腎がん)の仕事復帰はどのくらいでできますか?
腎臓がんの手術後は2~3週間療養後、仕事復帰することが多いです。
腎臓がんの手術後は2~3週間の療養で、仕事復帰することが可能です。
腎臓がんの術後は合併症に注意する必要があります、特に腎臓の部分切除を行った場合は、腎臓の縫合が不十分だと、その部分から、出血したり、尿が漏れることがあります。それらの合併症が起こった場合は、再手術になる場合もあります。
また、主な標準治療は手術ですが、摘出が難しかったり転移がある場合には薬物治療や放射線療法を行うことになります。その場合は仕事をしながらの治療も可能です。
腎臓がん(腎がん)におけるIMDCリスク分類とはなんですか?
IMDCリスク分類は、転移のある腎細胞がんの予後を予測するための分類方法です。
IMDCリスク分類は、転移のある腎細胞がんの予後を予測するための分類方法です。
以下の6つの項目をいくつ満たすかどうかで、3つのリスクに分けられます。
- 初診時から治療開始まで1年未満
- Karnofskyの一般全身状態スコアが80%未満(症状は強いが、努力すると正常の活動が可能である状態)
- 貧血
- 補正カルシウム値の増加
- 好中球数の増加
- 血小板数の増加
これらの項目に当てはまる数が、0個の場合を低リスク、1または2個の場合を中リスク、3個以上の場合を高リスクとし、分子標的薬による治療の効果を予測します。
腎細胞癌と腎臓がん(腎がん)の違いはなんですか?
腎臓の細胞ががん化すると腎臓がんですが、中でも、腎臓の腎実質という部分の細胞ががん化したものが腎細胞がんです。
腎細胞がんは腎臓がんの一種で、腎臓の腎実質という部分の細胞ががん化したものです。
腎臓は、尿を作る腎実質という部分や尿が集まり流れていく腎盂という部分などで構成されています。腎臓にあるどの部分の細胞ががん化しても、腎臓がんという分類になります。その中で、腎実質にある細胞ががん化した場合は腎細胞がん、腎盂の細胞ががん化した場合は、腎盂がんというようにさらに分類することができます。
このように区別するのは、腎臓のどの部位ががん化するかによって、がんの性質や治療法が異なるためです。しかし、腎臓がんの多くは腎細胞がんであるため、一般的に腎臓がんというと、腎細胞がんのことを指すことが多いです。
腎臓がん(腎がん)の進行スピードを教えてください。
腎臓がん(腎がん)には、進行スピードが速いタイプのものと遅いタイプのものがあります。
腎臓がん(腎がん)には、進行スピードが速いタイプのものと遅いタイプのものがあります。
具体的には、腎細胞がんは進行が遅く、移行上皮がんや腎盂がんは進行が速いことが多いです。腎がんが進行すると、血尿、腰痛・腹痛、体重減少などの自覚症状が出てくることがあります。しかし、初期のころには自覚症状が乏しく、超音波検査で偶然発見される場合が多いです。
5年生存率で比較してみると、腎臓に限局している場合は75%以上あるのに対して、腎周囲の脂肪組織まで浸潤(しんじゅん:細胞などが周囲の組織にじわじわ広がっていくこと)しているものの場合には75%以下です。
このように、早期発見が大切になるので、定期的な超音波検査が大切です。
参考文献
Jonsson Comprehensive Cancer Center.“Types of Kidney / Renal Cancer”.UCLAHealth.https://www.uclahealth.org/cancer/cancer-services/kidney-cancer/types-kidney-cancer,(参照 2024-08-05).
Jyotsna Pandey; Wajihuddin Syed..“Renal Cancer”.National Library of Medicine.https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK558975/,(参照 2024-08-05).
腎臓がん(腎がん)について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「腎細胞癌」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 最近、赤や茶色の尿が出ましたか?
- これまでに【超音波検査で腎臓の異常】を指摘されたことがありますか?
- 腰が痛みますか?
腎臓がん(腎がん)に関連する病気・症状
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この記事の監修医師
秋元 隆宏 先生
東京大学大学院医学系研究科 泌尿器外科学 泌尿器科 泌尿器科
【経歴】 東北大学医学部医学科 卒業 三井記念病院 臨床研修 三井記念病院 泌尿器科 東京大学医学部付属病院 泌尿器科・男性科 自治医科大学 腎泌尿器外科学講座 泌尿器科学部門 病院助教 琉球大学医学部システム生理学講座 東京大学大学院医学系研究科 泌尿器外科学
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03