膀胱癌のステージについて教えてください。

膀胱癌のステージは、0期からⅣ期までの5段階に大きく分けられます。

解説

膀胱は袋状の臓器で、内側から粘膜、粘膜下層、筋層、周囲の脂肪という層に大まかに分けられます。
膀胱癌は、最も内側の粘膜から主に発生し、外側に向って進行しながら大きくなります。さらに悪化すると、膀胱の周りや、肺や肝臓といった離れた場所に転移して、命に関わることが多いです。

膀胱癌のステージは、そのようながんの広がりや浸潤の程度によって分類されます。
最新のステージ分類では、以下のように0期からⅣ期までの5段階に大きく分けられ、細かく分けると8段階に分けられます。

0期

がんが膀胱の粘膜だけにとどまっている状態です。最も初期の0a期(乳頭状非浸潤がん)と進行の早い0is期(上皮内がん)に分けられます。

Ⅰ期

がんが膀胱の粘膜下層まで到達している状態です。

Ⅱ期

がんが膀胱の筋層まで入り込んでいる状態です。

Ⅲ期

がんが膀胱の筋層を超えて膀胱周囲の脂肪や、前立腺や子宮といった隣接した臓器まで到達している状態、または、膀胱に関連するリンパ節(所属リンパ節)に転移している状態です。所属リンパ節への転移のないものはⅢA期、転移があるものは、転移の分布によってⅢA期とⅢB期に分かれます。

Ⅳ期

がんが骨盤壁や腹壁まで到達している状態、または、他の臓器や、所属リンパ節以外のリンパ節に転移(遠隔転移)している状態です。遠隔転移がないものはⅣA期、遠隔転移があるものは、転移の場所によってⅣA期とⅣB期に分かれます。

各ステージによって治療法や予後が異なります。
例えば、0期やⅠ期では内視鏡的治療が主に行われますが、Ⅱ期以上では内視鏡的治療に加えて、ロボットを用いた手術療法や、抗がん剤などの点滴による薬物療法、放射線療法が必要になることがあります。
もちろん、患者さんの状態や、進行の早いタイプなど、膀胱癌に個人差があるので、治療法はステージ以外の情報も含めて検討されます。

また、ステージ別の生存率は、研究方法の関係で旧ステージ分類での生存率を記載しておりますが、こちらをご参照ください。

公開日

最終更新日

東京大学大学院医学系研究科 泌尿器外科学 泌尿器科

秋元 隆宏 監修

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