「尿路上皮癌」の原因やなりやすい人の特徴には、何がありますか？

尿路上皮とは、尿に触れる粘膜のことです。腎臓で作られた尿が集まる場所である「腎盂（じんう）」や「腎杯（じんぱい）」、その尿が膀胱まで流れる管の「尿管」、尿を溜めて出す機能がある袋状の「膀胱」、膀胱から体外までの管である「尿道」の尿に触れる部分はすべて尿路上皮で覆われています。
これらの尿路上皮のどこかから生じるがんのことを、「尿路上皮癌」といいます。

尿路上皮癌は発生場所によって特徴や遺伝子変異が若干異なりますが、以下のような原因が報告されています。

喫煙

喫煙は尿中の発がん物質を増やすため、膀胱癌と同様に尿管癌の主な原因とされています。喫煙本数が多いほど、喫煙期間が長いほどがんができやすくなります。逆に言えば、禁煙することによってリスクを減らすことができます。

職業による化学物質の曝露

現在は規制が厳しくなりましたが、染料に使われていたベンジジンなど、化学物質や薬品の中には尿管癌を起こすものがあります。

その他

遺伝

ご家族に腎盂癌や、尿管癌、膀胱癌、尿道癌などの尿路上皮癌になったことのある方がいる場合は、なりやすくなります。

アリストロキア酸

台湾や中国で使用される生薬の一種で、日本では承認されておらず、特に問題になっていませんが、腎盂癌や尿管癌に関与することが報告されています。

ヒ素

ヒ素などの有害物質が飲料水に混入していた場合、腎盂癌や尿管癌の発症リスクが高まります。

放射線治療の影響

骨盤内にできた他のがんに対して放射線を照射する治療をした場合に、時間が経ってから膀胱癌や尿道癌を発症することもあります。

寄生虫の感染

中東などでみられる「ビルハルツ住血吸虫」が膀胱に感染することによって膀胱癌になりやすくなります。