炭疽の場合、主にどのような治療をしますか?
感染部位にもよりますが、抗生物質や抗毒素薬(日本では未承認)を中心に治療を行います。
炭疽は炭疽菌(Bacillus anthracis)という細菌による感染症であるため、抗生物質や抗毒素(炭疽菌が出す毒素の作用を抑える薬、日本では未承認)が有効です。致死率の高い危険な感染症なので、できるだけ早く治療を開始することが重要です。
また、炭疽菌との接触が明らかであれば、発症していなくても予防的な治療を行うことができます。
日本国内では長期に発生していない非常にまれな感染症ですが、海外滞在中や帰国後で感染や接触の心配があればすぐに医療機関を受診しましょう。
感染した部位、年齢、妊娠の有無によって、具体的に用いる薬やその投与方法は異なります。
炭疽菌が皮膚に感染する「皮膚炭疽」で、皮膚以外に症状がない場合は抗生物質の飲み薬1種類で7~10日間治療が基本です。
皮膚炭疽でも全身の症状がある場合や、胃腸や肺に感染する「腸炭疽、肺炭疽」などでは3種類程度の抗生物質(注射薬)を2週間(もしくは治療への反応によってより長期間)使用し、抗毒素(注射薬)を併用することがあります(日本では抗毒素は未承認)。
また、全身の状態に応じて点滴による水分補給や酸素投与などの治療も併せて行わます。胸に水がたまった場合(胸水)には胸水を抜く処置を行ったり、髄膜炎がある場合には脳のむくみを取るための薬を使用することがあります。
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最終更新日:
京都大学医学部附属病院呼吸器内科 呼吸器内科
渡邉 アヤ 監修
(参考文献)
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