膀胱摘出手術の入院期間や術後の生活について教えてください。
個人差はありますが、術後1ヶ月ほどかかることが多く、体調や食事、排尿方法などに注意が必要です。
入院期間
膀胱全摘除 術の入院期間は3週間から2ヶ月程度かかることがあります。
手術は大がかりで、膀胱だけでなく尿道や尿管の一部、男性では前立腺、女性では子宮と腟の一部も摘出し、尿の排せつ経路を再構築するため、回復には時間が必要です。
術後は腎盂腎炎などの尿路感染症が起こりやすく、感染が長引くと2ヶ月以上の入院が必要になることもあります。
入院中の生活
手術後すぐに食事を開始し、腸閉塞を予防します。術後の痛みはありますが、ベッド上で過ごすと筋力低下や腸閉塞のリスクが高まるため、痛み止めを使用しながら早めに歩行を開始することが重要です。
また、膀胱を摘出すると、尿路変更(尿の排せつ経路の変更)が必要になります。方法は大きく3つに分かれます。
- 回腸導管・尿路ストーマ(人工膀胱):腹部にストーマを作り、パウチで尿を管理
- 新膀胱:腸を使って膀胱様の袋をつくり、尿道につなぎ、カテーテルを使った自己導尿で尿を排出することが必要
- 尿管皮膚瘻:いくつかの条件のもと行う方法で、尿管を直接皮膚につなぐ方法でパウチで尿を管理
ストーマを作成した場合など、尿漏れを防ぐためにパウチで尿を管理する必要がある場合は、そのパウチの交換などを主にご自身で習得する訓練が必要です。その訓練に時間がかかることが多いです。
新膀胱の場合、膀胱のように収縮する力は少なく、腸粘液の影響で排尿がうまくいかないため、しばらくの間は自己導尿を続ける必要があります。
退院後の生活
入院中と同様に、体調管理やパウチ交換・自己導尿などの排尿管理は必要ですが、その他の注意点として以下のようなものがあります。
食事
腸閉塞を予防するため、よく噛むことが大切です。特に蕎麦やラーメンなどの麺類は噛まずに飲み込みやすいため、よく腸閉塞の原因と考えられます。
そのため、麺類は、担当医と相談の上、控えたほうがよいです。また、ガムを噛むことや適度な運動も腸閉塞の予防に有効です。
通院と追加治療
膀胱を摘出しても膀胱癌は再発しやすく、5~10年程度の定期検査が必要です。病理検査の結果、再発リスクが高い場合は化学療法やがん免疫療法、放射線治療などの追加治療が必要になることもあります。
性生活
男性は勃起神経や精管を切断することが多く、勃起や射精ができなくなります。特定の条件で、なるべく勃起神経の温存をした場合、射精はできませんが勃起機能が若干保たれる可能性はあります。
標準的な手術方法の場合、女性は腟の一部を切除したあとに再建するため、性交には注意が必要です。
東京大学大学院医学系研究科 泌尿器外科学 泌尿器科
秋元 隆宏 監修
(参考文献)
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