トキソプラズマ症の場合、主にどのような治療をしますか?

免疫不全の方や妊婦・胎児で感染が見られる場合、薬剤を用いて治療します。

解説

トキソプラズマ症は、健康な成人ではほぼ無症状ですが、免疫不全状態の人が感染した場合や妊婦から胎児へ感染した場合に重篤な症状が見られる病気です。(詳しくはこちら
そのため、治療方法もそれぞれで異なります。

免疫機能が正常な成人の場合

一般的には治療を必要としません。

免疫不全状態の人の場合

HIV・エイズ(AIDS)感染者や臓器移植後で免疫機能が下がっている方の場合、重症化の可能性があるため治療を行います。

  • ピリメタミン
  • スルファジアジン
  • ロイコボリン(ホリナートⓇ️)

という3つの薬剤を併用することが多いです。

妊婦・胎児の場合

妊娠中に初めて感染した可能性が否定できない妊婦には、スピラマイシンの内服が行われ、これにより60〜86%の胎児感染が防げます。
胎児の感染が疑われる場合(超音波で異常があるなど)は、高次医療機関で羊水トキソプラズマDNA検査などを実施し、感染の有無を評価します。胎児治療として、妊娠16週以降に

  • ピリメタミン
  • スルファジアジン
  • ロイコボリン(ホリナートⓇ️)

という3つの薬剤を併用し、治療を行います。
ピリメタミン(ダラプリムⓇ️)は動物実験で胎児に形態的な異常を引き起こすリスクが確認されているため、妊娠16週未満には使用しません。また、スルファジアジンは新生児核黄疸の原因となるため、妊娠28週以降の使用には注意が必要です。

※現時点(2024年7月)では、いずれの薬剤もトキソプラズマ症に対する効能・効果は承認されていません。また、ピリメタミンとスルファジアジンは日本では未承認・未販売です。ただし、保険適応外であることの付記とともに、「トキソプラズマ妊娠管理マニュアル」(2023年12月1日, 第6版)p.5や「寄生虫症薬物治療の手引き」のp.34-36において、治療法のひとつとして記載されています。

公開日

最終更新日

東日本橋内科クリニック 循環器内科 院長

白石 達也 監修

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(参考文献)

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