妊娠していなくても副乳はできますか？

【副乳は先天的な構造】

副乳（ふくにゅう）は、後天的にできるものではなく、胎児期に体の前面にできる「乳腺堤」（ミルクライン）と呼ばれる組織が、本来消えるべき場所で完全に退縮せずに残ってしまったために生じる生まれつきの病気（先天性の構造）です。「異所性乳腺組織」とも呼ばれます。

【症状の発現はホルモンに依存】

副乳組織は通常の乳房の組織と同じ成分で構成されているため、女性ホルモンの影響を受けます。そのため、生まれつき副乳があっても、症状が目立つのはホルモンの活動が活発になる時期です。

思春期以前

副乳組織は目立たないことが多いです。

思春期・性成熟期

ホルモン（特にエストロゲンやプロゲステロン）の影響を受け、通常の乳房と同じように発達し始めます。これにより、月経周期に伴って痛み（疼痛）や腫れを感じるようになることがあります。

【妊娠や授乳期の影響】

妊娠や授乳期には、ホルモン（プロラクチン、ヒト胎盤性ラクトゲンなど）の働きがさらに強まるため、副乳が大きく腫れたり、痛んだり、実際に乳汁を分泌したりすることがあります。しかし、これは副乳がもともと存在しているからこそ起こる現象です。

【治療の必要性】

副乳は正常な組織ですが、日常生活に支障をきたすほどの痛みや腫れ、あるいは悪性の疑いがある場合には、外科的な切除などの治療が必要となることがあります。