副乳の場合、主にどのような治療をしますか?
症状や悪性の疑いがない場合は経過観察が基本です。日常生活に支障がある場合に切除手術を検討します。
【治療の基本方針:経過観察】
副乳の組織そのものは正常な乳腺組織と同じであり、それ自体を異常(病気)とは判断しません。そのため、痛みや腫れなどの自覚症状がない場合は、特別な治療を行わず経過観察となります。
【手術が必要となる基準】
副乳の切除手術は、問題を引き起こしている場合にのみ必要とされます。治療の必要性があり、保険が適用される主なケースは、以下のとおりです。
症状がある場合
- 月経周期や妊娠・授乳に伴って、痛み(疼痛)、腫れ、炎症などの自覚症状があり、日常生活や仕事に明らかな支障を来している場合。
病気が疑われる場合
- 通常の乳房に発生する病気(線維腺腫など)や、将来的な悪性化(副乳がん)のリスクや疑いがある場合。
- 異常な所見(しこりや石灰化など)が見つかった場合は、通常の乳房の病変と同じように検査(超音波検査や生検など)が行われます。
【悪性(副乳癌)の場合の治療】
副乳にがん(副乳がん)が発生した場合、治療法は通常の乳癌に準じます。
外科的治療
広範囲局所切除術と腋窩リンパ節郭清術(わきの下のリンパ節を取り除く手術)が選択されることが多いです。
薬物療法
ホルモン感受性が陽性の場合は、レトロゾールなどの内分泌療法が初期治療として選択されることもあります。
【注意点】
痛みや腫れなどの症状がなく、医学的な問題もない状態で、純粋に見た目を改善したいという美容目的での切除手術は、保険適用の対象外(自費診療)となります。
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(参考文献)
日本形成外科学会.“副乳”..https://jsprs.or.jp/general/disease/umaretsuki/kyobu/fukunyu.html,(参照 2025-12-10).
Hyo Soon Lim et al.“Sonographic Findings of Accessory Breast Tissue in Axilla and Related Diseases”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28370098/,(参照 2025-12-10).
大西 英二ほか.“腋窩に発生した副乳癌の1例”.内分泌甲状腺外会誌.https://www.researchgate.net/publication/342548292_A_case_of_axillary_accessory_breast_cancer/fulltext/5efab48ca6fdcc4ca43d8f43/A-case-of-axillary-accessory-breast-cancer.pdf?origin=scientificContributions,(参照 2025-12-10).
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日本医科大学付属病院形成外科 形成外科
初岡 佑一 監修
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