「副乳」とはどのような病気ですか?

胎児期に消えるはずの乳腺組織が胸部以外に残ってしまった生まれつきの構造(異所性乳腺組織)です。

副乳について説明する図です
【副乳の正体:生まれつきの乳腺組織】

副乳(ふくにゅう)は、本来の乳房以外の場所にできる乳腺組織です。これは、胎児が成長する過程で、体の前面にできる「乳腺堤(にゅうせんてい)」(ミルクラインとも呼ばれます)という組織が、胸部以外の部分で完全に消えずに残ってしまったために生じる、生まれつきの構造(先天性の構造)です。

【発生場所と組織の性質】

副乳は乳腺提のライン上に発生し、最もよく見られるのは脇の下(腋窩)です。副乳組織自体は異常ではなく正常な組織です。

ホルモンの影響

副乳は通常の乳腺と同じく、女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロンなど)の影響を受けます。

症状

このホルモンの影響により、月経周期や妊娠・授乳期には、痛み(疼痛)、腫れ、炎症などが症状として現れることがあります。授乳期には実際に母乳(乳)を分泌することもあります。

【病気になる可能性】

副乳組織にも、通常の乳房と同様にさまざまな良性および悪性の病変が発生する可能性があります。

良性の変化

線維嚢胞性変化や線維腺腫などが起こります。

悪性腫瘍

副乳から乳がん(副乳癌)が発生することもありますが、副乳がんは乳癌全体の0.2%〜0.6%と比較的まれな疾患です。痛みや腫れが続く場合や、日常生活に支障をきたすほど症状が強い場合は、治療の必要性について専門医に相談することが重要です。

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日本医科大学付属病院形成外科 形成外科

初岡 佑一 監修

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