心因性多飲症
監修医師阿部 吉倫内科
- 更新日
- 2024/04/26
- 公開日
- 2020/09/03
心因性多飲症とは
不安やストレスが原因で水をたくさん飲んでしまう状態です。
「心因性多飲症」とはどのような病気ですか?
心因性多飲症とは、精神医学的な背景のある方によくある、水分を摂りすぎてしまう状態です。
心因性多飲症とは、精神医学的な背景があり、水を飲みすぎてしまう病気です。大量の水分を摂ってしまうため、尿がたくさん出ることが特徴で、精神疾患のある方によくみられます。強い喉の渇きを伴うことが多いようです。
心因性多飲症がなぜ起こるのかについては、まだはっきりわかっていない部分もありますが、視床下部の機能障害や薬剤の有害作用など、複数の要因が関与していると考えられています。
水分を摂りすぎると、体内のナトリウムの濃度が下がり、水中毒と呼ばれる状態に進行する可能性があり、錯乱、無気力、精神病症状、痙攣、あるいは死に至ることもあります。
心因性多飲症の症状
心因性多飲症には初期症状はありますか?
心因性多飲は、統合失調症や強迫症、不安症などの精神疾患のある方に起こりやすいとされています。
心因性多飲症の初期症状は、水分を摂りすぎてしまうことです。背景に強い喉の渇きや不安があることがあります。
心因性多飲は、統合失調症や強迫症、不安症によくみられると言われており、これらの病気の症状が先に現れることもあります。初期のきっかけとしては、薬の副作用で強い口の渇きを感じて、水分を多く摂るようになることや、水を飲むことで、気持ちが落ち着くという経験が関係することがあります。
水分を摂りすぎると、体の中の塩分のバランスが崩れて、体調を崩すこともあるため注意が必要です。気になる症状がある場合には、早めに医療機関を受診し、医師に相談するようにしましょう。
心因性多飲症ではどのような症状がありますか?
水中毒と呼ばれる状態に進行する可能性があり、錯乱、無気力、精神病症状、痙攣、あるいは死に至ることもあります。
心因性多飲症は、多量の水分を摂ってしまうことが特徴で、それにより、尿の量も増えます。強い口の渇きを感じることもあります。
水分を摂りすぎると、体内のナトリウムの濃度が下がり、水中毒という危険な状態になることがあります。水中毒になると、吐き気や嘔吐、意識がぼんやりする、ふらつくといった症状が出て、重症の場合は命に関わることもあります。
また、ジュースなど糖分を多く含む飲み物を大量に飲むと、血糖値が上がりすぎてしまうこともあります。
心因性多飲症の原因
心因性多飲症の原因は何がありますか?
精神疾患が背景にあることが多いですが、脳の機能障害や薬剤の影響など複数の原因が関与して起きます。
心因性多飲症の原因は、精神疾患や心理的ストレスです。また、視床下部の機能障害や薬剤の影響など、複数の要因も関与していると考えられています。ただ、心因性多飲症がなぜ起こるのかについては、まだはっきりわかっていない部分もあります。
たくさん水分を摂取すると、体内のナトリウムの濃度が下がり、「水中毒」と呼ばれる神経症状群(悪心、嘔吐、せん妄、運動失調、さらには死に至る場合もある)を引き起こすことがあります。
長期にわたる心因性多飲症は、抗利尿ホルモン(腎臓での水分の再吸収を調節するホルモン)が抑制されたり、腎濃縮能(尿の濃度を調節する力)が低下したりすることにより、中枢性および腎性尿崩症という病態に似ることがあると言われています。
心因性多飲症の検査・診断
心因性多飲症のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
心因性多飲症は、精神症状やストレスなどが原因で、水分を過剰に摂取してしまう状態です。他の内科的な病気(糖尿病や尿崩症など)ではないことを確認する必要があるため、セルフチェックは難しいとされています。ただし、以下のような症状がある場合は、かかりつけ医や腎臓内科などの医療機関に相談しましょう。
また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、心因性多飲症かどうかのセルフチェックができます。ぜひご活用ください。
心因性多飲症の診断基準を教えてください。
心因性多飲症の診断のためには、まずは身体疾患が原因の多飲・多尿を除外する必要があります。
心因性多飲症の精神医学的診断基準というのはありません。診断のためには、多飲と多尿を引き起こす身体疾患の鑑別が必要になります。身体疾患の鑑別のためには、血清ナトリウム値や、浸透圧、抗利尿ホルモンなどが測定されます。
心因性多飲症は、心理的な要因で水を過剰に飲んでしまう状態ですが、身体疾患が隠れていることもあるため、適切な診断と治療が必要です。気になる症状がある場合には、早めに医療機関を受診し、医師に相談するようにしましょう。
心因性多飲症の治療・対処法
心因性多飲症への対処法は?
飲水を控えなくてはいけません。自分でコントロールできない場合はお薬で治療が必要かもしれませんので心療内科・精神科医師に相談しましょう。
心因性多飲症の場合、主にどのような治療をしますか?
摂取する水分量を適切にします。薬の副作用が懸念される場合には、薬を変更することも役に立つことがあります。
心因性多飲症の治療では、水分を適切な量に制限することが重要です。
内分泌疾患や精神疾患など、他にご病気があれば、その治療を行いましょう。治療の薬で、口が渇くという副作用ができるだけ少ないものが使えるとよいでしょう。
また、水分量を決めるなどの行動へのアプローチ、家族教育と、治療・水分制限への家族参加が有益であるという報告があります。
受診の目安・何科を受診するべきか
心因性多飲症が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?
1日の水分摂取が3リットルを超える場合や、精神症状のために日常生活に影響が出ている場合は、病院を受診しましょう。
心因性多飲症が疑われる場合、1日の水分摂取が3リットルを超える場合や、精神症状のために日常生活に影響が出ている場合は、病院を受診しましょう。
かかりつけの病院がない場合は、内分泌・代謝内科、腎臓内科、総合内科、などが考えられます。さまざまな検査が必要な場合は、総合病院への受診をすすめられることもあります。
身体の病気ではないということになれば、精神科・心療内科で治療が行われることも多いでしょう。
心因性多飲症が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
心因性多飲症が疑われる場合、かかりつけ医を受診しましょう。かかりつけがない場合は、総合病院への受診をおすすめします。
心因性多飲症が疑われる場合、かかりつけの医療機関があれば、まず受診をして相談してみましょう。かかりつけの医療機関がない場合、精神科のある総合病院を受診することをおすすめします。
心因性多飲症は、精神疾患のある方によくみられますが、中枢神経系のご病気が関連していることもありますので、詳しい血液検査や画像検査が必要になることもあります。
また、水中毒と呼ばれる状態に進行する可能性があり、錯乱、無気力、精神病症状、痙攣、あるいは死に至ることもありますので、入院での治療が必要になることもあります。
心因性多飲症の専門医がいる近くの病院はありますか?
心因性多飲症の専門医がいる病院を見る心因性多飲症の薬
心因性多飲症は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
心因性多飲の背景にある精神疾患を治療するための向精神薬で、眠気や口の渇きなどの副作用が出ることがあります。
心因性多飲を治す治療薬というのはありませんが、低ナトリウム血症になっている場合は、ナトリウムを補充するための塩分摂取や点滴、余分な水分を出すための利尿薬などが用いられることがあります。
ただ、もともとのご病気として統合失調症がある場合は、口が渇くという副作用が少ないお薬に変えることで症状が和らぐことがあります。また、不安への対処として、たくさん飲んでしまうような場合は、不安の治療によって水分の摂りすぎがやわらぐこともあります。
水を飲みすぎると、体の中の塩分が薄まり、けいれんや意識がなくなることもあるため注意が必要です。心因性多飲症は、本人が気づきにくいこともあるため、周囲の人のサポートも大切です。気になる症状がある場合には、早めに医療機関を受診し、医師に相談するようにしましょう。
対処法・セルフケア
心因性多飲症の場合、日常生活で気をつけることはありますか?
主治医の指示に従って治療を受けること、飲みたくても決められた水分量以上は摂らないことに気をつけましょう。
心因性多飲症の場合、日常生活では以下のことに気をつけましょう。
- 主治医の指示に従って治療をする
- 喉の渇きがつらいときは、主治医に相談する
- 水分を摂るときは、少量を少しずつ摂る
この病気では、心の状態が原因で水を飲みすぎてしまうことがあります。水を飲みすぎると、体の中の塩分のバランスが崩れて、体調を崩すこともあります。ストレスや不安がきっかけになることもあるため、心のケアも大切です。
気になる症状がある場合には、早めに医療機関を受診し、医師に相談するようにしましょう。
心因性多飲症で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
心因性多飲症で薬が効かない場合は、行動にアプローチする治療法が用いられることがあります。
心因性多飲症で薬が効かない場合は、水分摂取を制限するための行動にアプローチする治療法が用いられることがあります。
例えば、飲水の回数や量を記録して摂りすぎないようにする方法が含まれます。また、統合失調症などの精神の病気があり、心因性の多飲が薬でよくならない場合は、電気けいれん療法(脳に電気刺激を与える治療)が検討されることもあります。
個々の患者さんに合った治療法は、症状や他の病気の有無によって異なるため、主治医に相談するようにしましょう。
参考文献
Mancini, K et al. Electroconvulsive Therapy for Psychogenic Polydipsia and Hyponatremia in Chronic Schizophrenia: A Case Report and Literature Review. J ECT. 2025, 41, e7-e9.
Shanmugalingam, A et al. Treatment of psychogenic polydipsia with electroconvulsive therapy (ECT)- A case report. Psychiatry Research Case Reports. 2024, 3, 100224.
心因性多飲症に関連するその他の質問
心因性多飲症の場合、ストレスとうまく付き合う方法はありますか?
ストレスとうまく付き合うことが重要です。治療方針については、主治医とよく相談をしましょう。
心因性多飲症の場合、背景にある精神疾患の治療や、ストレスとうまく付き合うことが重要です。
精神科・心療内科で治療中の場合は、主治医とよく相談をして、薬による治療や生活習慣を見直す方法などを取り入れながら、ストレスとうまく付き合えるように治療を続けていきましょう。
自宅がストレスのある環境であったり、自分では生活を整えることが難しければ、休息のための入院という方法もあります。
気になる症状がある場合には、早めに医療機関を受診し、医師に相談するようにしましょう。
ストレスで水をたくさん飲んでしまうのは、心因性多飲症ですか?
心因性多飲の可能性がありますが、まずは身体疾患かどうかを調べるために内科などを受診しましょう。
ストレスで水をたくさん飲んでしまうのは、心因性多飲症の可能性があります。ただ、心の問題だけでなく、体の病気が原因であることもあります。例えば、糖尿病やホルモンの病気などでも、喉が渇いて水をたくさん飲むことがあります。また、水を摂りすぎると、体の中の塩分のバランスが崩れて、頭痛や吐き気などの症状が出ることもあります。
初めから心の問題と決めつけず、まずは内科を受診して、体に原因がないかを調べてもらいましょう。気になる症状があるときは、早めに医療機関を受診し、医師に相談することが大切です。
心因性多飲症について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「心因性多飲症」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 尿の回数が増えましたか?
- 尿を我慢できないと感じ、トイレに急ぐときがありますか?
心因性多飲症に関連する病気・症状
この記事の監修医師
阿部 吉倫
内科
2015年東京大学医学部医学科卒。東京大学医学部付属病院、東京都健康長寿医療センターで初期研修を修了。血便を放置し48歳で亡くなった患者との出会いをきっかけにデータサイエンスの世界へ。2017年5月にUbie株式会社を共同創業。2019年12月より日本救急医学会救急AI研究活性化特別委員会委員。2020年 Forbes 30 Under 30 Asia Healthcare & Science部門選出。
- 更新日
- 2024/04/26
- 公開日
- 2020/09/03