緊張性気胸と気胸の違いは?緊張性気胸と症状の関連性をAIで無料でチェック
監修医師折茂 圭介呼吸器内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
緊張性気胸とは
気胸は肺に穴が開くことで、肺の空気が肺の外に漏れ、肺が萎んでしまう病気です。漏れた空気が、肺や心臓、血管を圧迫している状態が緊張性気胸です。
「緊張性気胸」とはどのような病気ですか?
胸の中に空気がたまり、心臓や肺を強く圧迫し、命に関わる状態になる、緊急性の高い気胸の一種です。
緊張性気胸は、胸膜腔(きょうまくくう)という肺と胸壁の間にある空間に空気がどんどんたまって、その圧力が高まることで起こる病気です。この増えすぎた空気の圧力が、心臓に血液が戻るのを邪魔したり、残っているもう片方の肺を強く押しつぶしたりするため、血圧が下がったり(低血圧)、脈が速くなったり(頻脈)、息がひどく苦しくなったりします。
空気は息を吸うときに胸膜腔に入り、息を吐くときにはうまく出ていかないという「一方弁(いちほうべん)のような仕組み」が原因で、空気がたまり続けてしまうのです。これは非常に危険な状態で、命に関わる緊急事態であり、早急な治療が必要です。
参考文献
Marc Noppen et al.“Pneumothorax”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18708734/,(参照 2025-08-29).
Derek J Roberts et al.“Clinical Presentation of Patients With Tension Pneumothorax: A Systematic Review”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25563887/,(参照 2025-08-29).
緊張性気胸の症状
緊張性気胸には初期症状はありますか?
緊張性気胸は急速に進行する重篤な状態であり、低血圧、重度の呼吸困難などが主要な症状として現れます。
緊張性気胸では、突然現れる深刻な症状が初期症状となります。緩やかな前兆や軽い症状が続くことは稀です。
緊張性気胸は、空気が胸の中にたまり続けることで急速に悪化し、心臓や肺の働きを妨げるため、突然の息切れや胸の痛みとして症状が現れます。
その中でも、低血圧、頻脈、重度の呼吸困難といった体全体に影響を及ぼす非常に重い症状は、緊張性気胸の危険な状態を示す兆候であり、これらが現れた時点で医療機関での早急な対応が必要です。
参考文献
Marc Noppen et al.“Pneumothorax”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18708734/,(参照 2025-08-29).
Derek J Roberts et al.“Clinical Presentation of Patients With Tension Pneumothorax: A Systematic Review”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25563887/,(参照 2025-08-29).
緊張性気胸の原因
緊張性気胸の原因は何がありますか?
外傷(けが)、機械換気、心肺蘇生などが主な原因となり、自然気胸から進行することもあります。
緊張性気胸は、以下のような原因で発生することが知られています。
- 貫通性または鈍的外傷(けが):例えば、交通事故や胸部に強い衝撃を受けた場合などです。
- 機械換気:人工呼吸器を使っている患者さんで起こることがあります。
- 心肺蘇生術:蘇生処置中に発生する可能性があります。
- 自然気胸:特に原因となるけがなどがないのに肺に穴が開き、空気が漏れ出すことで悪化し、緊張性気胸へと進行することもあります。
このような状況で胸腔内に空気が漏れ、その空気が排出されずにたまってしまうと、緊張性気胸につながります。
参考文献
C B Chee et al.“Persistent air-leak in spontaneous pneumothorax--clinical course and outcome”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9713636/,(参照 2025-08-29).
R A Schoenenberger et al.“Timing of invasive procedures in therapy for primary and secondary spontaneous pneumothorax”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2039365/,(参照 2025-08-29).
緊張性気胸の治療・対処法
緊張性気胸への対処法は?
心臓や血管を押しつぶされている状態なので、命に関わります。漏れている空気を体の外に逃す速やかな処置が必要です。
緊張性気胸の場合、主にどのような治療をしますか?
肺の周りにたまった空気をすぐに排出するための緊急処置(針穿刺または胸腔ドレーン挿入)が行われます。
緊張性気胸は非常に緊急性の高い状態のため、肺の周りの空間(胸膜腔)にたまった空気を迅速に排出することが最も重要です。このための主な治療法は、以下の通りです。
針穿刺(しんせんし)
胸に針を刺し、空気を抜きます。
胸腔ドレーン挿入(きょうくうドレーンそうにゅう)
胸に細い管(ドレーン)を入れ、空気を継続的に排出します。
これらの処置は、患者さんの心臓や呼吸の状態を安定させるための蘇生処置と同時に、緊急で行われます。レントゲンなどの画像検査がすぐにできない場合や、結果がはっきりしない場合でも、医師の判断で直ちにこれらの処置が行われることがあります。 なお、緊張性気胸を経験した患者さんの再発予防のためには、胸腔鏡手術(きょうくうきょうしゅじゅつ)が検討されることもあります。
参考文献
Marc Noppen et al.“Pneumothorax”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18708734/,(参照 2025-08-29).
Derek J Roberts et al.“Clinical Presentation of Patients With Tension Pneumothorax: A Systematic Review”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25563887/,(参照 2025-08-29).
受診の目安・何科を受診するべきか
緊張性気胸が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
命に関わる緊急性の高い状態のため、ためらわずに救急外来を受診してください。
緊張性気胸は迅速な対応が必要な、生命を脅かす病態です。そのため、速やかに救急医療機関を受診することが最も重要です。専門の診療科としては呼吸器内科や胸部外科が挙げられますが、緊急時にはまず救急外来で初期対応を受けるべきです。
病院では、救急科で診断と、胸に貯まった空気を抜く緊急処置が行われます。その後、状態が安定してから、専門である呼吸器内科や呼吸器外科が引き継いで入院治療や再発予防の検討を行います。まずは専門科の選択ではなく、救命を最優先に行動してください。
参考文献
Marc Noppen et al.“Pneumothorax”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18708734/,(参照 2025-08-29).
Derek J Roberts et al.“Clinical Presentation of Patients With Tension Pneumothorax: A Systematic Review”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25563887/,(参照 2025-08-29).
緊張性気胸が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?
息切れや胸の痛みが突然起こり、息苦しさがひどい場合は、直ちに救急医療機関を受診してください。
緊張性気胸は命に関わる緊急事態であるため、症状の悪化を感じたら躊躇せずに医療機関を受診することが重要です。 特に、
といった症状は、緊張性気胸の可能性を示唆する重篤な兆候であり、すぐに医療機関を受診し、適切な治療を受ける必要があります。
参考文献
Marc Noppen et al.“Pneumothorax”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18708734/,(参照 2025-08-29).
Derek J Roberts et al.“Clinical Presentation of Patients With Tension Pneumothorax: A Systematic Review”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25563887/,(参照 2025-08-29).
緊張性気胸の専門医がいる近くの病院はありますか?
緊張性気胸の専門医がいる病院を見る緊張性気胸の薬
緊張性気胸は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
緊張性気胸の主な治療は、薬物ではなく、胸腔内の空気を排出する処置です。
緊張性気胸の治療において、薬は補助的な役割を担います。最も重要な治療は、胸に溜まって心臓などを圧迫している空気を、針や管で緊急に体外へ排出する「脱気」や「胸腔ドレナージ」という処置です。
薬物治療は、主に処置に伴う強い痛みを和らげるための鎮痛薬が中心です。また、再発を予防する目的で、薬剤を胸腔内に注入し、肺と胸壁を癒着させる「胸膜癒着術」が行われることがあります。この際に使われる薬剤(ピシバシルなど)の副作用として、発熱や胸の痛みが起こることがあります。
参考文献
Marc Noppen et al.“Pneumothorax”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18708734/,(参照 2025-08-29).
Derek J Roberts et al.“Clinical Presentation of Patients With Tension Pneumothorax: A Systematic Review”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25563887/,(参照 2025-08-29).
対処法・セルフケア
緊張性気胸の場合、日常生活で気を付けることはありますか?
気胸の再発予防のため、禁煙やスキューバダイビングの回避、航空機搭乗の制限などが重要です。
緊張性気胸を含む気胸を経験された方は、再発を防ぐために日常生活で以下の点に注意することが薦められます。
禁煙
喫煙は気胸の再発リスクを高めるため、やめることが強く推奨されます。
航空機での旅行
胸のX線検査で気胸が完全に治ったことが確認されてから7日間は、フライトを避けるべきです。これは、早期の再発がないことを確認するためです。
スキューバダイビング
外科手術による胸膜切除術のような非常に確実な再発予防策を行わない限り、生涯にわたって避けるべきだとされています。
これらの注意点は、特に緊張性気胸のように再発が重大な結果を招く可能性がある場合に非常に重要です。
参考文献
Marc Noppen et al.“Pneumothorax”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18708734/,(参照 2025-08-29).
Derek J Roberts et al.“Clinical Presentation of Patients With Tension Pneumothorax: A Systematic Review”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25563887/,(参照 2025-08-29).
緊張性気胸で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
張性気胸の主な治療は薬物ではありません。
緊張性気胸の治療において、薬は根本的な治療法ではありません。この病態は、時間的猶予のない命に関わる緊急事態です。
治療の最優先事項は、胸の中に溜まって肺や心臓を圧迫している空気を、針やチューブ(胸腔ドレーン)を刺して体外へ排出する物理的な処置です。これにより、圧迫を解除して呼吸と循環の状態を安定させます。
鎮痛薬などの薬は、あくまで処置に伴う痛みを和らげるための補助的な役割です。したがって、「薬が効かない」という状況は、そもそも薬で治す病態ではないことを意味します。緊張性気胸が疑われる場合は、直ちに医療機関での緊急処置が必要です。
参考文献
Marc Noppen et al.“Pneumothorax”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18708734/,(参照 2025-08-29).
Derek J Roberts et al.“Clinical Presentation of Patients With Tension Pneumothorax: A Systematic Review”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25563887/,(参照 2025-08-29).
緊張性気胸に関連するその他の質問
新生児が緊張性気胸になることはありますか?
新生児も緊張性気胸になる可能性はあります。
新生児でも緊張性気胸になることがあります。特に、肺が未熟な状態で生まれる「新生児呼吸窮迫症候群」などで、人工呼吸器による治療を受けている赤ちゃんに起こりやすいです。人工呼吸器の圧力で肺の一部が傷つき、漏れた空気が胸の中に溜まって心臓や肺を強く圧迫します。
これにより呼吸や血圧の状態が急激に悪化し、命に関わるため、直ちに胸に針や管を刺して空気を抜く緊急処置が必要です。新生児を含む乳幼児は、大人に比べて体の酸素消費量が多く、呼吸の予備能力が少ないため、呼吸のトラブルが起こると急速に悪化しやすいとされています。
緊張性気胸は、中心性チアノーゼ(体全体が青紫色になること)の原因の一つであり、新生児は呼吸予備能が少なく、緊張性気胸を発症するリスクがあるため、特に注意が必要です。
参考文献
Marc Noppen et al.“Pneumothorax”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18708734/,(参照 2025-08-29).
Derek J Roberts et al.“Clinical Presentation of Patients With Tension Pneumothorax: A Systematic Review”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25563887/,(参照 2025-08-29).
緊張性気胸と気胸の違いは何ですか?
緊張性気胸は気胸の中でも、心臓や肺の働きを妨げて命に関わる危険な状態を指します。
気胸とは、肺を覆う膜(胸膜)の内側、つまり「胸膜腔」という空間に空気がたまってしまう状態全般を指します。
これに対し、緊張性気胸は、気胸の一種であり、特に危険な病態です。緊張性気胸では、胸膜腔に空気が入り続け、出口がないため圧力が異常に高まります。この高まった圧力が、心臓に血液が戻るのを妨げたり、反対側の肺を圧迫したりすることで、血圧低下、頻脈、重度の息苦しさといった命に関わる症状を引き起こします。
一般的な「単純気胸」では、胸の中の圧力が高まっても、心臓や肺への影響は少なく、患者さんは比較的安定しています。しかし、緊張性気胸は、圧迫が強く、血行動態(血液の流れ)が不安定になることが特徴であり、直ちに処置を行わなければ、命を落とす可能性がある緊急性の高い状態です。
参考文献
Marc Noppen et al.“Pneumothorax”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18708734/,(参照 2025-08-29).
Derek J Roberts et al.“Clinical Presentation of Patients With Tension Pneumothorax: A Systematic Review”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25563887/,(参照 2025-08-29).
緊張性気胸について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「緊張性気胸」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 息苦しさを感じますか?
- 胸の痛みはありますか?
- 胸全体にかけて痛みがありますか?
- 背中が痛みますか?
- 冷や汗をかいていますか?
緊張性気胸に関連する病気・症状
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この記事の監修医師
折茂 圭介
呼吸器内科・アレルギー科・内科
東北大学医学部卒。東京都立駒込病院での初期研修を経て東京女子医科大学呼吸器内科入局。大学院で国立成育医療研究センター研究所 免疫アレルギー感染研究部に国内留学。博士課程修了後、同研究室で研究員として勤務。専門は呼吸器内科学、特に喘息をはじめとするアレルギー学。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03