血管炎症候群(クリオグロブリン血症含む)
監修医師栗原 信吾北水会記念病院 整形外科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
血管炎とは
全身のさまざまな血管に炎症が起こり、さまざまな症状を起こす病気の総称です。炎症を起こす血管の太さや、メカニズムによって10種類以上の病気に分類されます。
「血管炎」とはどのような病気ですか?
血管炎は、血管の壁に炎症が起きる病気の総称です。
血管炎とは、血管の壁に炎症が起きることで、血管が狭くなったり、詰まったり、逆に広がってコブのようになったりするさまざまな病気のことです。
この炎症により、血液が体中にうまく流れなくなります。その結果、血液が送られている臓器で出血が起きたり、酸素や栄養が届かなくなって組織の細胞が死んでしまったりします。
複数の臓器が同時にダメージを受けてしまうこともあり、放置するととても危険な状態になることもあります。
血管炎の症状
血管炎には初期症状はありますか?
発熱やだるさなどの全身症状や、病気の種類によって頭痛や手足の冷たさなどが現れます。
発熱やだるさなどの全身症状や、病気の種類によって頭痛や手足の冷たさなどが現れます。
血管炎の初期症状は、病気の種類によってさまざまです。次のような症状から始まることが多くあります。
- 全身の症状:原因のわからない発熱、強いだるさ、関節の痛みなどから始まることがあります。
- 巨細胞性動脈炎:今までに経験したことのない強い頭痛や、あごの痛みなどが初期に現れます。
- バージャー病:手足の指の冷たさやしびれ、皮膚の色の変化などから始まります。
これらの症状は、他のありふれた病気とも似ているため、最初は血管炎だと気づかれにくいことがあります。
血管炎ではどのような症状がありますか?
発熱やだるさなどの全身症状と、血管が詰まることで起きる臓器ごとの症状があります。
血管炎の症状は、大きく分けて全身に現れる症状と、血管がダメージを受けた場所ごとに現れる症状の2つがあります。
また、歩いていると足が痛くなり、休むとまた歩けるようになる症状が出ることもあります。 炎症が起こる血管の場所によって、症状はまったく異なります。
血管炎にはどのような種類がありますか?
ダメージを受ける血管の太さによって、大型、中型、小型の3つに大きく分類されます。
血管炎は、ダメージを受ける血管の太さによって、大きく3つの種類に分けられます。
血管炎の原因
血管炎の原因は何がありますか?
遺伝的な体質と、環境の要因が重なって、免疫が異常に働くことが原因と考えられています。
遺伝的な体質と、環境の要因が重なって、免疫が異常に働くことが原因と考えられています。
血管炎がなぜ起こるのか、その原因はまだ完全には解明されていません。しかし、病気になりやすい遺伝的な体質に加えて、次のような環境の要因が関係していると考えられています。
- ウイルスや細菌による感染症
- 加齢
- 特定の薬や化学物質
- タバコを吸うこと(特にバージャー病では最大の原因です)
これらの要因が重なることで、本来は体を守るはずの免疫の仕組みが異常に働き、自分の血管を間違えて攻撃してしまうことで炎症が起こると考えられています。
血管炎の検査・診断
血管炎のセルフチェックはできますか?
自分で診断はできませんが、長引く発熱、強い頭痛、急な視力低下等があれば血管炎を疑う必要があります。
自分で診断はできませんが、長引く発熱、強い頭痛、急な視力低下等があれば、血管炎を疑う必要があります。
次のような症状がみられる場合には、可能性を疑う必要があります。
- 原因不明の発熱や強いだるさが長く続く
- 今までにない強い頭痛や、ものを噛む時のあごの痛み
- 急に目が見えにくくなる、目の前が真っ暗になる
- 手足が急に動かしにくくなる、またはしびれる
- 手足の傷や潰瘍(皮膚が深くえぐれた状態)が治らない
これらは血管がダメージを受けているサインかもしれません。放置すると失明や脳梗塞など重大な問題につながる危険があるため、あてはまる場合は早めに受診してください。
血管炎はどのような検査で診断しますか?
血液検査や、血管の様子を見る画像検査、組織の一部を採って調べる病理検査などを行います。
血液検査や、血管の様子を見る画像検査、組織の一部を採って調べる病理検査などを行います。
血管炎を正しく診断するためには、主に次のような検査を組み合わせて行います。
- 血液検査:体の中にどれくらい炎症が起きているかや、特定の抗体がないかを調べます。
- 画像検査:超音波、CT、MRI、PET-CTなどの機械を使って、血管が狭くなったり、血管の壁が分厚くなったりしていないかを体の外から確認します。
- 病理検査(生検):炎症が起きている皮膚や血管などの組織の一部を小さく切り取って、顕微鏡で直接、細胞の様子を詳しく調べます。
血管炎の治療・対処法
血管炎症候群(クリオグロブリン血症含む)への対処法は?
血管炎症候群の中でも、どの病気に該当するかによって治療が異なります。正確な診断と適切な治療を受けるために、専門の医療機関を受診してください。
血管炎の場合、主にどのような治療をしますか?
薬で炎症を抑える治療が基本ですが、症状によっては血管の手術をすることもあります。
薬で炎症を抑える治療が基本ですが、症状によっては血管の手術をすることもあります。
血管炎の治療は、主に薬を使って炎症を抑えることが中心となり、大きく分けて2つの段階で行われます。
- 寛解(かんかい)導入治療:病気になった最初の段階で行う、強い炎症をしっかりと抑え込んで症状をなくすための治療です。
- 寛解維持治療:症状が落ち着いた状態を保ち、病気が再び悪化しないように防ぐための治療です。
基本的には薬を使った治療を行いますが、血管が狭くなって血流が悪くなったり、血管にコブができたりした場合には、カテーテルを使った治療や手術が必要になることもあります。
血管炎は治りますか?再発することはありますか?
薬で症状を落ち着かせることはできますが、薬を減らすと再発しやすい病気です。
薬で症状を落ち着かせることはできますが、完治は難しく、薬を減らすと再発しやすい病気です。
血管炎は、薬による適切な治療を続けることで、症状がすっかり落ち着いた状態(寛解)にすることができます。しかし、完全に治し切ることは難しく、ステロイドなどの薬の量を減らしていったり、薬をやめたりする過程で、多くの患者さんが病気の再発を経験します。
そのため、一度症状がよくなったからといって自己判断で薬をやめてはいけません。再発を防ぐためには、医師の指示に従って、長期間にわたって根気よく治療を続けることがとても重要になります。
受診の目安・何科を受診するべきか
血管炎が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?
長引く発熱、強い頭痛、急に目が見えにくくなる、手足のしびれなどがあれば早めに受診しましょう。
長引く発熱、強い頭痛、急な視力低下等があれば、早めに受診しましょう。
病院を受診する目安となる症状としては、以下のようなものがあります。
- 原因がわからない発熱が長期間続いている
- 今までに経験したことのない強い頭痛や、ものを噛むときのあごの痛みがある
- 急に目が見えにくくなったり、目の前が真っ暗になったりする
- 片方の手足が急に動かしにくくなったり、しびれたりする
- 手足にできた傷や潰瘍(皮膚が深くえぐれた状態)がなかなか治らない
これらの症状は重大な病気のサインの可能性があるため、注意が必要です。
血管炎を放置するとどうなりますか?
血管の詰まりやコブが進行し、失明や脳梗塞などの重大な合併症や死につながる危険があります。
血管の詰まりやコブが進行し、失明や脳梗塞などの重大な合併症や死につながる危険があります。
血管炎をそのまま放置してしまうと、血管の壁の炎症がどんどん進行してしまいます。その結果、血管が詰まったり破れたりして、次のような重大な問題が起こる危険があります。
これらの合併症は命に関わることもあるため、放置せずに早期に発見して、治療を始めることが極めて大切です。
血管炎症候群(クリオグロブリン血症含む)の専門医がいる近くの病院はありますか?
血管炎症候群(クリオグロブリン血症含む)の専門医がいる病院を見る血管炎の薬
血管炎は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
主にステロイド薬や免疫抑制薬などを使いますが、感染症などの副作用に注意が必要です。
主にステロイド薬や免疫抑制薬などを使いますが、感染症などの副作用に注意が必要です。
血管炎の治療には、主に次のような薬が使われます。
- ステロイド薬:強い力で炎症を抑え込むための基本となる薬です。
- 免疫抑制薬や生物学的製剤:ステロイドの量を減らしたり、病気の再発を防いだりするために一緒に使われます。
これらの薬には副作用もあります。免疫の働きを抑えるため、風邪などの感染症にかかりやすくなります。また、ステロイド薬を長く使うことで、骨がもろくなる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)や、糖尿病、高血圧などが起こるリスクがあるため注意が必要です。
血管炎の経過・予後
血管炎の予後や余命はどのくらいですか?
治療の進歩で寿命は延びていますが、健康な人よりは短く、心臓や血管の病気に注意が必要です。
治療の進歩で、寿命は延びていますが健康な人よりは短く、心臓や血管の病気に注意が必要です。
血管炎の予後は、薬や検査技術の進歩によって以前と比べて大きく改善しており、寿命は延びています。たとえば、高安動脈炎では10年生存率が約90%以上、結節性多発動脈炎では5年生存率が約80%と報告されています。
しかし、一般的な健康な人と比べると、寿命はどうしても短くなる傾向があります。命に関わる主な原因としては、心不全や心筋梗塞、脳梗塞など、心臓や血管に関連する重大なトラブルが挙げられます。そのため、病気をしっかりコントロールすることが重要です。
血管炎に関連するその他の質問
血管炎は難病ですか?医療費の助成は受けられますか?
多くの血管炎は国の指定難病になっており、条件を満たせば医療費の助成を受けられます。
多くの血管炎は国の指定難病になっており、条件を満たせば医療費の助成を受けられます。
高安動脈炎、巨細胞性動脈炎、結節性多発動脈炎、ANCA(アンカ)関連血管炎、バージャー病など、多くの血管炎は国が定める「指定難病」に指定されています。
これらの病気と診断され、病気の重さなどが一定の条件を満たした場合には、「特定医療費(指定難病)受給者証」をもらうことができます。
これによって、治療にかかる医療費の補助を受けることができ、経済的な負担を軽くすることができます。詳しくは主治医や病院の窓口に相談してください。
血管炎について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「血管炎症候群(クリオグロブリン血症含む)」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 頭痛がありますか?あるいは頭が重いですか?
- 安静にしていても関節が痛みますか?
- 皮ふに点状の内出血がありますか?
- ささいなことでも血が出てしまいますか?
- 運動したときに胸が締め付けられる感じがしますか?
血管炎に関連する病気・症状
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この記事の監修医師
栗原 信吾 先生
北水会記念病院 整形外科
【経歴】 山形大学医学部卒業(2013年) 沖縄中部徳洲会病院(初期研修) 群馬大学整形外科 善衆会病院、堀江病院、まつだ整形外科 横浜市立大学大学院ヘルスデータサイエンスコース修士課程修了 北水会記念病院 整形外科(2026年-)
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03