多血症はセルフチェックできる?多血症
監修医師平松 由布季東日本橋内科クリニック 内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
多血症とは
「多血症」とはどのような病気ですか?
血液中の赤血球が異常に増えてしまう病気です。血液の粘稠(粘り気)が上がり、血栓のリスクがあります。
「多血症(別名:赤血球増加症)」は、血液中の赤血球が異常に増えてしまう病気です。
進行するとともに血液が濃くなり、血液の流れが悪くなったり、血液の粘稠(粘り気)も上がったりして、血管が詰まるリスクが高まります。
多血症は、発症の原因によって、相対的多血症(相対的赤血球増加症)と絶対的多血症(絶対的赤血球増加症)に分けられます。後者はさらに、真性多血症(真性赤血球増加症)と二次性多血症(二次性赤血球増加症)に分けられます。
多血症の症状
多血症ではどのような症状がありますか?
顔面紅斑、かゆみ、めまい、耳鳴り、頭痛があります。重度であれば、脳梗塞・心筋梗塞などが起こります。
多血症は、血液中の赤血球が増えるために、血液の流れが悪くなります。
それにより、以下のような症状が現れることがあります。
血液の粘稠が上がることによる症状
血液の粘稠が上がることによって、以下のような症状が現れます。
- 赤ら顔
- 結膜充血
- 皮膚掻痒症
など
十分な酸素供給ができなくなることによる症状
病気が進行すると、十分な酸素供給ができなくなり、以下のような症状が起こります。
など
血栓ができやすくなることによる症状
更には、血栓(血の塊)ができやすくなり、以下のような症状が起こることもあります。
など
多血症の原因
多血症の原因は何がありますか?
脱水やストレス、造血幹細胞の異常、心肺機能の低下や喫煙に伴う低酸素血症など、さまざまな原因があります。
多血症は原因によって、以下のように大きく二つに分けられます。
相対的多血症
脱水やストレスが原因で、血液の液体成分(血漿)が少なくなることで生じます。赤血球の数そのものが増加しているのではなく、見かけ上、赤血球濃度が高くなっている状態になります。
絶対的多血症
赤血球の数が増えることで生じます。また、赤血球の数が増える原因によっても、さらに以下のように分類されます。
(a)真性多血症
赤血球を含む血液細胞は、骨髄にある造血幹細胞から作られます。この造血幹細胞に異常が生じることが原因で、腫瘍性に増殖し、血液細胞が過剰に作られてしまいます。(骨髄増殖性腫瘍といいます)血液細胞の中でも、特に赤血球の数が増えます。
(b)二次性多血症
心肺機能の低下や喫煙に伴う低酸素血症、エリスロポエチン産生腫瘍などによって、赤血球産生を促すホルモンの「エリスロポエチン」が増えてしまいます。結果として赤血球が増え、二次性多血症を発症します。
多血症の検査・診断
多血症のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
多血症の症状としては、以下が挙げられます。ご自身でセルフチェックを行う際は、以下のような症状がないかを確認しましょう。
など
相対的多血症になりやすい人の特徴には、以下が挙げられます。
二次性多血症になりやすい人の特徴には、以下が挙げられます。
- タバコを吸う方
なお、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできますのでご活用ください。
多血症の診断基準はどのようなものですか?
男性でヘマトクリットが>49%、女性で>48%、ヘモグロビンが男性で>16.5g/dl、女性で>16.0g/dlです。
多血症の診断基準
WHOによる多血症の診断基準では、
- 男性の場合:ヘマトクリットが>49%、ヘモグロビンが>16.5g/dl、
- 女性の場合:ヘマトクリットが>48%、ヘモグロビンが>16.0g/dl
とされています。
真性多血症の診断基準
真性多血症の診断基準(WHO2008)は以下のようになっています。
大基準 1 + 2 に加えて小基準のいずれか 1項目、または、大基準 1 に加えて小基準のいずれか 2 項目を満たせば、真性多血症と診断されます。
大基準
1.以下のいずれかに当てはまる
- ヘモグロビン >18.5 g/dL (男性)、>16.5 g/dL (女性)
- 年齢、性別、住居している緯度から換算した ヘモグロビンか ヘマトクリットが 9.9 % 以上増加している
- ヘモグロビン >17 g/dL (男性)、>15 g/dL (女性)で鉄欠乏性貧血などの改善以外に ヘモグロビン が本人の基準値よりも 2 g/dL 以上持続上昇している
- 赤血球数が予想値の 25 % を超えて上昇している
2.Jak2V617Fか、もしくは、同様の変異が存在する
小基準
1.骨髄の3系統が増生を示す
2.血清エリスロポイエチンがおおよそ正常値を示す
3.内因性の赤芽球コロニー形成を認める
多血症と貧血は両方同時に診断されることはありますか?
同時に両方を診断されることはありません。
診断基準を考慮すると、多血症と貧血は同時に診断されることはありません。
多血症の場合、治療としての瀉血は赤血球の数を減らし、その結果、鉄欠乏状態になり、赤血球は小球性低色素性(※)となることがありますが、過度な瀉血でない限り、貧血になることはありません。
多血症の治療においては、瀉血の目的は赤血球の過剰を解消することであり、その後の診断は治療効果や血液検査結果に基づいて行われます。
※小球性低色素性:十分にヘモグロビンが作られていない状態のこと
多血症の治療・対処法
多血症の場合、主にどのような治療をしますか?
原因により治療法は異なります。赤血球の絶対数が多ければ、血液を抜く瀉血や抗血栓療法を行います。
多血症の原因により、治療は異なります。
相対的多血症
水分不足により血漿が減少して相対的に赤血球濃度が増えている場合、水分補給や点滴などを行って血漿の量を戻す治療を行います。ストレスも原因のひとつと考えられていますが(ストレス多血症)、因果関係は明確になっていません。
絶対的多血症
赤血球の数が増える絶対的多血症は以下の二つに分類され、治療法もそれぞれ異なります。
(a)真性多血症
血管に血の塊(血栓)が詰まる「血栓症」の予防が治療として最も重要です。
60歳以上の人や血栓症の既往歴がある人などで血栓症のリスクが高い患者さんには、血液を抜き取る瀉血(しゃけつ)療法と低用量アスピリン療法に加えて、薬で血液細胞の数を減らす細胞減少療法を行ないます。血栓症のリスクが低い患者さんには、瀉血療法と低用量アスピリンの療法を行ないます。
(b)二次性多血症
基本は多血症の原因である基礎疾患の治療です。喫煙者の場合、タバコから発生する一酸化炭素はヘモグロビンと強力に結合します。 結果、ヘモグロビンが酸素と結合することができなくなり、酸素を十分運べなくなります。 体は赤血球の数を増やして補おうと多血症になりますが、これは禁煙により正常化します。
受診の目安・何科を受診するべきか
多血症が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
健診などで多血症の疑いがあれば、まずはかかりつけ医にご相談の上、血液内科を受診してください。
多血症は、特に軽度の場合は初期症状を伴わないことが多く、健診で初めて疑われる場合もあります。疑わしい症状がある場合や、健診で多血症の可能性を指摘された場合は、まずは、内科のかかりつけ医にご相談ください。
多血症の症状については、以下のQ&Aも合わせてご参照ください。
絶対的多血症の中でも、真性多血症が疑われる場合は、診断のために専門的な診断・検査が必要となりますので、血液内科の受診が求められます。
多血症の専門医がいる近くの病院はありますか?
多血症の専門医がいる病院を見る多血症の経過・予後
多血症は放っておいても大丈夫ですか?また、自然に治癒しますか?
自然には治癒しません。原疾患の治療、合併症予防が必要です。
多血症にはさまざまな原因がありますが、いずれも自然治癒が見込める病態(病気によって変化する体の状態)ではありません。そのため、放っておかずに適切な対応をとることが望ましいです。(多血症の原因については、こちらを参照ください)
相対的多血症の場合は、脱水の改善が必要です。まず、かかりつけ医に相談をし、原因の探索を行い、適切な治療の探索を行います。
真性多血症が疑われる場合などは、必要に応じ血液内科を受診を行い、より最適な治療が求められます。
対処法・セルフケア
多血症で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
真性多血症の場合、骨髄繊維症や急性白血病への移行を認める場合があり、造血幹細胞移植が検討されます。
真性多血症においては、脳梗塞や心筋梗塞などの血栓症が、死因のかなりの部分を占めます。そのため、血栓症リスクの低減を目的とした瀉血、低用量アスピリン、細胞減少療法が実施されます。
一方で、根本的な原因である造血幹細胞の異常により、骨髄線維症への移行は診断後15年で20%、急性白血病への移行は診断後20年で10%の患者さんに見られるとされており、若年者では造血幹細胞を移植することで、骨髄の正常化を目指します。
多血症に関連するその他の質問
赤血球の多さに男女差はありますか?
男性が多いです。男性ホルモンが造血を促す働きがあると考えられており、多血症も男性に多く発症します。
はい、赤血球の多さに男女差はあり、男性が多いとされています。
腎臓で産生される造血因子であるエリスロポエチンは、造血幹細胞に働きかけることで、赤血球をつくります。男性ホルモンは、このエリスロポエチンの産生を促す働きがあると考えられています。そのため、男性ホルモンが豊富な男性は、それだけ赤血球も多くなります。
なお、男性ホルモンは70歳ぐらいから減少してくることから、それ以降は赤血球数の男女差が縮まります。
多血症を改善させる食事はありますか?
脱水などで赤血球が相対的に増加している場合では、飲水をすることで改善します。バランスの良い食事を心がけましょう。
多血症の中でも真性多血症では、血栓症や高血圧、糖尿病、脂質異常症などの心血管リスクが高まると言われます。それらを回避するために、栄養バランスの取れた食事を心がけることが大切です。
また、水分不足により血漿が減少し、赤血球の濃度が相対的に増加する相対的多血症では、体内の水分補給が必要です。血漿の減少は血液循環に影響を与え、体の正常な機能を損なうおそれがあります。
そのため、適切な水分補給を行うことで血漿の量が回復し、赤血球の濃度を正常に保つことができます。
多血症について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「多血症」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 皮ふにかゆみはありますか?
- 頭痛がありますか?あるいは頭が重いですか?
多血症に関連する病気・症状
このページを見ている人はこんな病気も見ています
このページを見ている人は他にどんな病気を見ていますか?
この記事の監修医師
平松 由布季 先生
東日本橋内科クリニック 内科
2015年愛媛大学医学部卒。 松山赤十字病院で初期研修後、東京ベイ・浦安市川医療センターで内科後期研修を修了。 引き続き同センター総合内科で、フェローシップ研修を行い、2024年1月まで医員、外来医長として勤務。 病棟専門の総合医であるホスピタリストとして、特に若手医師の教育、臨床倫理(アドバンス・ケア・プランニングや意思決定支援など)に注力してきた。 2022年6月からは日本プライマリ・ケア連合学会 若手医師支援部門 病院総合医チーム副代表に就任。"病院総合医の価値を社会に発信し、これを志す若手の道標になる"をMISSION&VISONに掲げ、学術大会等での企画運営、商業誌執筆、若手医師のキャリア支援などを行なってきた。 2024年2月から東日本橋内科クリニックで勤務。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03