多発性骨髄腫は、治療しないとどうなるのでしょうか?
症状のある骨髄腫を治療しないと骨折や腎不全、貧血などが進行し、命に関わることがあります。
無症状の段階では「あえて治療しない」のが基本
多発性骨髄腫は、MGUS(意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症)やくすぶり型骨髄腫といった無症状の前段階を経て発症します。これらの段階では、治療をしてもしなくても生存期間に差がないことが臨床試験で示されており、多発性骨髄腫として治療開始が必要となる所見が認められるまでは、定期的な検査で経過をみる「無治療経過観察」が基本方針とされています。
症状が出た「症候性骨髄腫」は治療が必要
一方、CRABなどの症状が現れた「症候性骨髄腫」と診断されたのに治療をしないままでいると、骨髄の中でがん細胞が増え続け、次第に体に深刻な影響が出てきます。
具体的には、
- ①骨が壊されて骨折や強い痛み、脊髄が圧迫されて足の麻痺が起こる
- ②異常なタンパク質(M蛋白)が腎臓を障害し、腎臓の機能低下が進む
- ③骨から溶け出したカルシウムで、高カルシウム血症となり意識障害を起こす
- ④正常な免疫グロブリンが減って、感染症にかかりやすくなる
- ⑤貧血が進み、だるさや息切れが強くなる
といった経過をたどります。多発性骨髄腫は今のところ治癒が難しい病気とされる一方、抗がん剤や新しい治療薬による治療介入によって、長期の生存が可能になっている病気であると位置づけられており、治療をしないままでは病状の進行を止めることができません。
早期発見・早期治療の相談を
症状が出ているのに治療をためらっていると、上記のような合併症により命に関わる状態に進んでしまうことがあります。骨の痛みやだるさ、貧血症状などがある場合は自己判断で様子を見続けず、早めに主治医に相談することが大切です。
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(参考文献)
造血器腫瘍診療ガイドライン 第3.1版(2024年版) 「多発性骨髄腫」 日本血液学会 https://www.jshem.or.jp/gui-hemali/3_1_1.html.(参照 2026-09-14).
尾崎修治. 「多発性骨髄腫の症候と診断アプローチの基本」 日本内科学会誌 112:1188〜1194, 2023.
原田武志ほか. 今日の臨床サポート 「多発性骨髄腫」https://clinicalsup.jp/jpoc/contentpage.aspx?diseaseid=332.(参照 2026-09-14).
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東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 悪性腫瘍治療研究部 腫瘍 血液内科
村橋 睦了 監修
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