多発性骨髄腫を放置するとどうなりますか?
多発性骨髄腫を放置すると、骨融解や貧血、腎障害を引き起こし、感染症による死亡リスクが高まります。
多発性骨髄腫では、がん細胞から産生されるMタンパク質と、がん細胞と骨髄間質細胞との相互作用によって産生されるさまざまなサイトカイン、ケモカインという分子によって極めて多様な症状を呈します。
骨融解、骨髄機能低下、Mタンパク関連症状に分けて説明します。
骨融解
骨髄腫細胞から産生される破骨細胞活性化因子により、破骨細胞が活性化され、骨病変を形成し、高カルシウム血症をきたします。骨病変は症状のある骨髄腫の80%に合併し、約半数は胸腰椎の圧迫骨折とそれに伴う疼痛を伴います。高カルシウム血症は口渇、悪心、嘔吐、意識障害などをきたし、長期に持続すると腎障害も引き起こします。
骨髄機能低下
骨髄で腫瘍細胞が増殖することで正常な血球の産生が抑制され、貧血が起きます。ときに白血球減少、血小板減少も起きます。骨髄腫患者さんの死因の70%は感染症です。
Mタンパク関連症状
骨髄腫細胞から産生されるMタンパクは腎機能障害を引き起こします。骨髄腫が進行すると50%以上の患者さんに腎障害が合併します。Mタンパクの増加は正常の免疫グロブリン(抗体)の産生低下につながり、感染症にかかりやすくなります。
公開日:
最終更新日:
東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 悪性腫瘍治療研究部 腫瘍 血液内科
村橋 睦了 監修
(参考文献)
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多発性骨髄腫
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多発性骨髄腫とはどのような病気ですか?
血液細胞の1つである「形質細胞」ががん化する、いわゆる血液のがんです。
多発性骨髄腫の原因は何ですか?
多発性骨髄腫になる原因は、はっきりとは分かっていません。
多発性骨髄腫には主にどのような症状が見られますか?
骨や関節の痛み、体のだるさ、吐き気、多尿、体重減少などの様々な症状が見られます。骨折してしまうこともあります。
多発性骨髄腫には初期症状はありますか?
骨の痛みや倦怠感が生じることがあります。また、無症状のまま進行し、検査で初めて見つかることもあります。
医療機関を受診する目安はありますか?
健康診断での貧血を指摘された場合や、倦怠感などの症状が続く場合は受診しましょう。
多発性骨髄腫の場合、何科を受診したらよいですか?
最終的には血液内科で治療を行いますが、まずは具体的な症状について、最寄りの内科や整形外科で精密検査を受けましょう。
多発性骨髄腫の余命はどれくらいですか?
診断時の状況によってさまざまです。国の統計では平均的に診断されてから5年間で約50%の人が亡くなることがわかっています。
多発性骨髄腫の末期症状はどのような症状でしょうか?
骨折、貧血による動悸や息切れ、腎機能障害による浮腫などのさまざまな症状の出現が予想されます。
多発性骨髄腫の進行速度はどれくらいですか?
診断時の状況や、リスク分類などによってさまざまで一概には言えません。
多発性骨髄腫で急死することはありますか?
多発性骨髄腫の合併症や治療に関連して急死する可能性があります。
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