多発性骨髄腫の治療の流れや治療期間を教えてください。

多発性骨髄腫の治療は、まず薬剤による寛解導入から入り、続いて幹細胞移植や地固め・維持療法を行います。

解説

65歳未満で、重要臓器の機能が保たれている初発の多発性骨髄腫(MM)の場合、ボルテゾミブ(BOR)やレナリドミド(LEN)などを含む新規薬剤を用いた寛解(=病気の徴候が一時的にほぼ消失した状態)導入後の自家造血幹細胞移植が推奨されています。

65歳以上など移植の適応がないMMの場合、ダラツムマブ(DARA)を含む多剤併用療法による寛解導入が推奨されています。いずれも、その後、地固め療法(より深い寛解を目指し、腫瘍細胞を減らす治療)や維持療法(寛解状態を長期間維持する)が実施されます。

維持療法は、多くはプロテアソーム阻害剤や免疫調節薬の単剤もしくは2剤で、通常定期的な通院をしながら、1~2年は治療が続けられます。

初回治療後に再発・難治性MMとなった場合の治療を救援療法といいますが、多くの新規薬剤の開発により治療選択肢が増えており、予後の改善につながっています。

最近では、B-cell maturation antigen(BCMA)に対するキメラ抗原受容体発現T細胞輸注療法(CAR-T細胞療法)も再発・難治性MMの治療候補となります。

公開日

最終更新日

兵庫医科大学病院 輸血・細胞治療センター 血液内科

山原 研一 監修

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