多発性骨髄腫で急に命に関わることはある?食べてはいけないものは?
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多発性骨髄腫の患者さんの死亡原因にはどのようなものがありますか?
多発性骨髄腫の患者さんの死亡原因にはどのようなものがありますか?
多発性骨髄腫の死亡原因には感染症、腎不全、心不全などがあります。
多発性骨髄腫の患者さんの死亡原因として、特に進行した場合を中心として、以下が挙げられます。
- 感染症:
骨髄内での骨髄腫細胞の増殖による骨破壊による白血球を含む造血障害、異常なM蛋白の増加による正常な抗体の減少、薬物による治療などが原因で免疫力が低下し、細菌やウイルス感染が肺炎や敗血症になるかたちで重篤化し、致命的になることがあります。
- 腎不全:
Bence Jones protein(BJP)をはじめとする異常な免疫グロブリン(M蛋白)が腎臓に負担をかけ、骨髄腫腎と呼ばれる病態を生じさせる他、さまざまな腎障害を引き起こし、腎不全に至ります。これは多発性骨髄腫の重要な合併症であり、死亡原因となることがあります。
- 心不全:
M蛋白が何らかの理由でアミロイド変性を起こし、アミロイド線維となって心臓に沈着することで、心アミロイドーシスとなります。これにより、心筋症や大動脈弁狭窄症などが生じ、心不全に至ります。
(参考文献)
日本血液学会.ホーム|造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版|一般社団法人 日本血液学会.日本血液学会,http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/3_1_1.html(参照 2024-11-01)
国立がん研究センター.多発性骨髄腫.国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方向けサイト,https://ganjoho.jp/public/cancer/MM/index.html(参照 2024-11-01)
Polish Myeloma Group.“Risk factors and causes of early mortality in patients with newly diagnosed multiple myeloma in a “real-world” study”.Internal Medicine.https://www.mp.pl/paim/issue/article/15980/,(参照 2024-11-01).
M.O. Holmström, et al. Causes of early death in multiple myeloma patients who are ineligible for high-dose therapy with hematopoietic stem cell support: A study based on the nationwide Danish Myeloma Database. Wiley Online Library, https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ajh.23932(参照 2024-11-01)
瀬口 京介.多発性骨髄腫で急死することはありますか? |多発性骨髄腫.ユビー病気のQ&A - 医師相談サイト,https://ubie.app/byoki_qa/clinical-questions/b2j73xewcv(参照 2024-11-01)
多発性骨髄腫の場合、食べてはいけないものはありますか?
多発性骨髄腫の場合、食べてはいけないものはありますか?
決まった禁止食品はありませんが、治療中は感染予防のため生ものを避けるなどの注意が必要です。
「これを食べてはいけない」という決まりはありません
多発性骨髄腫は食事そのものが原因となる病気ではないため、基本的には偏りのないバランスのよい食事で問題ないとされています。ただし、治療の内容や体の状態によっては、次のような点に注意が必要です。
①治療中・移植後は感染予防のための食事の工夫を
多発性骨髄腫の患者さんは、正常な免疫グロブリンの減少により、健常な人と比べて細菌感染症のリスクが約7倍、ウイルス感染症のリスクが約10倍高まるとされています。また、自家造血幹細胞移植やCAR-T細胞療法の前後は、抗がん剤治療により一時的に白血球(好中球)が大きく減少し、感染症にかかりやすい状態になります。こうした時期は、刺身や生卵、加熱不十分な肉、殺菌していない乳製品など、食中毒の原因になりやすい生ものは避け、しっかり加熱した食品を選ぶことが一般的にすすめられています。
②腎臓の機能が低下している場合
骨髄腫では腎臓の働きが弱くなることがあり、その場合は塩分やたんぱく質、カリウムの摂取量について、医師や管理栄養士から個別に指導を受けることがあります。
③骨の治療薬を使う場合はビタミンD・カルシウムの補充が必要なことも
骨を強くする薬(ゾレドロン酸やデノスマブ)を使う際は、低カルシウム血症を防ぐためビタミンDやカルシウムの補充がすすめられることがあり、これは『制限』ではなくむしろ積極的な摂取が必要な場合です。
自己判断で極端な食事制限をしないことが大切
体によいとされる特定の食品ばかりに偏ったり、自己判断で厳しい食事制限をしたりすることは、かえって体力低下につながる恐れがあります。食事について不安な点があれば、担当医や管理栄養士に相談することをおすすめします。
(参考文献)
角南一貴.「多発性骨髄腫」Pharma Medica 42(2):115-121, 2025
造血器腫瘍診療ガイドライン 第3.1版(2024年版) 「多発性骨髄腫」 日本血液学会 https://www.jshem.or.jp/gui-hemali/3_1_1.html.(参照 2026-09-14).
国立がん研究センター中央病院「白血球が減ったときの食事」https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/division/nursing/power/010/010/index.html.(参照 2026-09-14).
多発性骨髄腫で急死することはありますか?
多発性骨髄腫で急死することはありますか?
まれですが、高カルシウム血症や重症感染症、急性腎不全などで急激に状態が悪化することがあります。
多発性骨髄腫そのものによる急変
多発性骨髄腫が命に関わるような急激な悪化を起こすことは多くありませんが、まれに次のような病態で状態が急速に悪くなることがあります。
骨髄腫の急な対応が必要になりうる病態
- ①高カルシウム血症:骨がもろくなり血液中のカルシウムが急上昇すると、脱力、多尿、便秘、嘔気に加え、重症化すると意識障害や急性腎不全に至ることがあり、迅速な補液や薬剤投与が必要な緊急事態とされています。
- ②脊椎などの骨病変による脊髄圧迫:背骨の腫瘍病変が脊髄や神経根を圧迫すると、急に足のしびれや麻痺が出ることがあり、緊急の画像検査と治療が必要です。
- ③M蛋白の増加による過粘稠度症候群:血液がドロドロになり、頭痛やめまいを起こすことがあります。
- ④骨髄腫腎による急性腎障害:異常なタンパク質(Bence Jones蛋白)が腎臓の尿細管に障害を起こし、腎機能が急激に悪化することがあります。
感染症にも注意が必要
多発性骨髄腫では正常な免疫グロブリンが減るため、健常な人と比べて細菌感染症のリスクが約7倍、ウイルス感染症のリスクが約10倍高まるとされ、重症感染症(敗血症など)が急変の引き金になることもあります。
治療に伴うリスクにも留意
CAR-T細胞療法や二重特異性抗体治療では、サイトカイン放出症候群(CRS)や神経毒性(ICANS)という副作用が起こることがあり、多くは軽症ですが、まれに重症化することが報告されています。
こうした症状が急に出た場合の対応
高熱や強い骨の痛み、急なしびれ・麻痺、意識のもうろう感など、いつもと違う症状が急に出た場合は、様子を見ずにすぐ医療機関を受診することが大切です。
(参考文献)
尾崎修治. 「多発性骨髄腫の症候と診断アプローチの基本」 日本内科学会誌 112:1188〜1194, 2023.
角南一貴.「多発性骨髄腫」Pharma Medica 42(2):115-121, 2025
石田 禎夫.「多発性骨髄腫の最新情報」 日本内科学会誌 114:473〜478, 2025.
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東日本橋内科クリニック 一般内科 循環器内科 院長
白石 達也 監修
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