多発性骨髄腫で急死することはありますか?
まれですが、高カルシウム血症や重症感染症、急性腎不全などで急激に状態が悪化することがあります。
多発性骨髄腫そのものによる急変
多発性骨髄腫が命に関わるような急激な悪化を起こすことは多くありませんが、まれに次のような病態で状態が急速に悪くなることがあります。
骨髄腫の急な対応が必要になりうる病態
- ①高カルシウム血症:骨がもろくなり血液中のカルシウムが急上昇すると、脱力、多尿、便秘、嘔気に加え、重症化すると意識障害や急性腎不全に至ることがあり、迅速な補液や薬剤投与が必要な緊急事態とされています。
- ②脊椎などの骨病変による脊髄圧迫:背骨の腫瘍病変が脊髄や神経根を圧迫すると、急に足のしびれや麻痺が出ることがあり、緊急の画像検査と治療が必要です。
- ③M蛋白の増加による過粘稠度症候群:血液がドロドロになり、頭痛やめまいを起こすことがあります。
- ④骨髄腫腎による急性腎障害:異常なタンパク質(Bence Jones蛋白)が腎臓の尿細管に障害を起こし、腎機能が急激に悪化することがあります。
感染症にも注意が必要
多発性骨髄腫では正常な免疫グロブリンが減るため、健常な人と比べて細菌感染症のリスクが約7倍、ウイルス感染症のリスクが約10倍高まるとされ、重症感染症(敗血症など)が急変の引き金になることもあります。
治療に伴うリスクにも留意
CAR-T細胞療法や二重特異性抗体治療では、サイトカイン放出症候群(CRS)や神経毒性(ICANS)という副作用が起こることがあり、多くは軽症ですが、まれに重症化することが報告されています。
こうした症状が急に出た場合の対応
高熱や強い骨の痛み、急なしびれ・麻痺、意識のもうろう感など、いつもと違う症状が急に出た場合は、様子を見ずにすぐ医療機関を受診することが大切です。
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(参考文献)
尾崎修治. 「多発性骨髄腫の症候と診断アプローチの基本」 日本内科学会誌 112:1188〜1194, 2023.
角南一貴.「多発性骨髄腫」Pharma Medica 42(2):115-121, 2025
石田 禎夫.「多発性骨髄腫の最新情報」 日本内科学会誌 114:473〜478, 2025.
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編集・監修基準について
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東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 悪性腫瘍治療研究部 腫瘍 血液内科
村橋 睦了 監修
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