「肛門がん」とはどのような病気ですか？

便の出口である肛門（いわゆるお尻の穴）から直腸へ繋がる3～5cm程度の管状の部分を「肛門管」と言います。この肛門管、および肛門周囲5cmの皮膚にできるがんのことを、肛門がんと言います。大腸がんの一部として扱われますが、発生頻度としては低く、大腸がんの約1%程度と言われています。

肛門管は腸管の粘膜から皮膚に移行する領域であり、場所によって異なる種類のがんが発生します。
特に頻度の高いものとしては、腸管粘膜由来のがんである「腺がん」と、皮膚由来のがんである「扁平上皮がん」の2種類です。
腺がんの場合は通常の大腸がんと同じように扱われますが、扁平上皮がんの場合はステージ（病気の進行具合を示す分類）や治療が変わってくるため注意が必要です。

日本では腺がんが70%程度と高いですが、欧米では逆に扁平上皮がんが80%以上と報告されており、地域によってその頻度は異なります。
また、頻度としては低いですが、痔瘻（肛門の炎症を繰り返すことで肛門管と周囲の皮膚がトンネル状につながってしまった状態）からがんが発生する場合もあります。痔瘻により長期間炎症が持続することが原因であり、「痔瘻がん」と呼ばれます。