心房細動のカテーテルアブレーションを受けた後、眩暈の症状が出始めました。何回か失神もしています。かかりつけの循環器内科では、心臓には問題がないと言われました。他に失神の原因として考えられるものはありますか?また、どの科を受診すべきでしょうか?
ご相談ありがとうございます。6月、まさに最近に心房細動に対してのカテーテルアブレーション治療を行なった後からめまいや、失神の症状がでているのですね。
受診すべき診療科について
まず受診すべき診療科についてお答えしますと、基本的に失神は循環器内科の医師が専門としてみることが多く、やはり循環器内科で引き続きご相談頂くことが良いです。
因果関係ははっきりしないですが、カテーテルアブレーション後(その以前からもありましたでしょうか?)からそうした症状が起こっている、ということであれば、どのような手術であったかも重要になりますのでカテーテルアブレーション治療を行なった医師に「手術が関係しているとは言わないが、とにかく失神を繰り返して困っている。それをなんとかしてほしい。」ということをお伝えくださることがよいと考えます。
どういった原因が考えられるのか
失神する、ということは、一時的に頭への血流が低下することで起こります。
血流が低下するような原因としては以下のようなものが挙げられます。
不整脈
不整脈の中に、一時的に脈が遅くなる・ゆっくりになりすぎることで血流が低下してしまうものがあります。洞不全症候群や房室ブロックというものになります。
これはご年齢を考えるとカテーテルアブレーションとは関係なく、いま出現しても不思議ではありません。
これは、失神をしたまさにその時の脈を1日つける心電図などで確認することで診断されます。
狭心症
動脈硬化によって、心臓の血の巡りが悪くなり、胸の痛みなどがでる病気です。基本的には胸の痛みや苦しさという症状になりますが、まれに失神・めまいという症状になる方もいます。
病院にもよりますが、カテーテルアブレーション治療前後で心臓の血流を検査していることがあります。そちらの結果が問題なければ心配はしなくてよいものになります。
脳の動脈硬化
まれに、脳の根本あたりの血管(脳底動脈など)が狭くなっていることで、脳全体の血流が低下しやすくなっていることがあります。こちらは頭のMRIなどで確認できます。
脱水
夏場に入り体の水分が少なくなることでふらつきやめまい、時に失神につながることがあります。こちら単独で問題を起こすこともありますし、脱水があることで他の病気を助長することもあります。心不全や腎不全がある場合には水分摂取は制限も必要なので一概に言えませんが、特に病気がないならば1日に1.5L以上は水分摂取することが望ましいです。もし心不全や腎不全がある場合は、必ず治療している医師にどのくらいの水分摂取がよいか確認してください。ちょうどいい水分量でないと心不全や腎不全は悪化してしまいます。
迷走神経反射
食事・お手洗い・立ち上がったときなどのタイミングで、一時的に副交感神経が活性化されたり、血圧の調整がうまくいかず、一時的に脳への血流が低下することがあります。
失神するタイミングにいつも行なっていたことなどありますでしょうか?
この場合には、脱水にならないように水分摂取をしておくこと、足の筋力を鍛えること、ゆっくり立ち上がる、お手洗いや食事の時はある程度失神を起こす可能性があると思って準備する、などが必要になります。
まとめ
基本的には失神は循環器内科が得意とする症候になりますので、「手術と関係あるかどうかは別として、失神に困っている」ということをお伝えくださることが勧められます。(実際、手術が関係しているのか、たまたま同様の時期に新しい病気がでたのか判別できないことがよくあります。「心臓に問題ない」というご発言からは手術自体は大きな合併症なく終わったのだろうとひとまず安心しております。)
また、失神した状況がどういった状況であったかは、失神の原因を類推することにとても重要ですので、可能な範囲で記録をとってお伝えくださることが重要です。
その上で、必要に応じて、1日つける心電図などの症状出現時の心電図状態を調べる検査や、心臓の超音波、頭のMRIなどは検討頂くことがよいと思われます。