若年性特発性関節炎(JIA)
監修医師栗原 信吾北水会記念病院 整形外科
- 更新日
- 2026/05/26
- 公開日
- 2020/09/03
若年性特発性関節炎とは
16歳未満の方に発症し、関節の炎症により痛みが生じる病気です。関節以外にも、発熱や発疹、眼の炎症を伴うことがあります。
「若年性特発性関節炎」とはどのような病気ですか?
6週間以上続く原因不明の慢性関節炎で、16歳未満の小児が発症するものです。
若年性特発性関節炎は「16歳未満の小児に生じる6週間以上続く原因不明の慢性関節炎」と定義されており、複数の病気を含む疾患概念です。
大きく7つの病型に分類されます。
- 全身型
- 少関節炎
- リウマトイド因子陽性多関節炎
- リウマトイド因子陰性多関節炎
- 乾癬関連関節炎
- 付着部炎関連関節炎
- 分類不能
各病型ごとにさらに診断が分かれ、病型に合わせて診断・治療を行っていきます。
小児慢性特定疾患情報センターによると、日本における有病率は小児人口10万人あたり約10人であり、まれな病気です。
リウマチ学会の「若年性特発性関節炎患者支援の手引き【第2部】」で、より詳しい情報が得られます。
参考文献
Akaluck Thatayatikom et al.“Juvenile Idiopathic Arthritis”.National Library of Medicine.https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK554605/,(参照 2024-04-11).
難病情報センター.“若年性特発性関節炎(指定難病107)”.難病情報センター.https://www.nanbyou.or.jp/entry/3947,(参照 2024-04-11).
研究代表者 森 雅亮.“若年性特発性関節炎患者支援の手引き【第2部】”.日本リウマチ学会.https://www.ryumachi-jp.com/general/jia-guide/,(参照 2024-04-11).
若年性特発性関節炎の症状
若年性特発性関節炎(小児リウマチ)に初期症状はありますか?
若年性特発性関節炎の初期には、関節痛や発熱といった症状が現れる場合が多いです。
若年性特発性関節炎の初期には、関節痛や発熱といった症状が現れる場合が多いです。
関節痛は手首や膝・足首が一般的とされていますが、他の関節にも症状が現れることがあります。また、関節痛には関節の腫れを伴うことも多く、関節が腫れると触ると痛んだり、赤く腫れたり、熱を持ったり、動かしにくくなったりします。
発熱は、1日の中で発熱している時間と解熱平熱・微熱になる時間があるような「波のある発熱形式」のこともあれば、1日中ずっと発熱していることもあります。
若年性特発性関節炎ではどのような症状がありますか?
病型により症状は異なりますが、関節炎による関節の腫れや痛みといった症状が現れます。
病型により現れる症状は異なりますが、関節症状(関節の腫れや痛み)は共通しています。
全身型の若年性特発性関節炎
全身型の若年性特発性関節炎では、関節症状に加え、
- 発熱や赤い皮疹
- リンパ節の腫れ
- 肝臓・脾臓の腫れ
などが出現します。中には関節症状が乏しい方もいます。
全身型以外の若年性特発性関節炎
全身型以外の若年性特発性関節炎では、関節症状が主体です。
痛みがある関節の数や、関節の炎症が起こっている部位(関節の内なのか腱の付着部分するところなのか)などに応じて、各病型に診断を絞っていきます。
若年性特発性関節炎の原因
若年性特発性関節炎(若年性リウマチ)の原因には何がありますか?
原因不明とされていますが、ストレスや感染、自己免疫反応などさまざまな要因により発症すると言われています。
若年性特発性関節炎の詳しい原因は、現時点では不明です。しかしながら、遺伝や環境因子、感染症のほか、ストレスや自己免疫反応などのさまざまな要因が推定されています。
この病気は全身の炎症を伴う「全身型」と関節の炎症がメインの「全身型以外」に大別されます。いずれにおいても炎症を引き起こすタンパク質(炎症性サイトカイン)の産生が関与して、慢性関節炎を引き起こします。
関節炎が進行すると、関節の変形や動きがもとに戻らないことがあります。各病型に合わせた治療で、早めに炎症を抑えることが重要となります。
若年性特発性関節炎の検査・診断
若年性特発性関節炎のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
若年性特発性関節炎が疑われる症状の特徴として、以下が挙げられます。
上記のような症状がある方は小児科、整形外科、リウマチ科の受診をおすすめします。
また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
若年性特発性関節炎の治療・対処法
若年性特発性関節炎(JIA)への対処法は?
関節に過度な負荷がかからないようにしましょう。適切な評価と治療を受けるために、専門の医療機関を受診してください。
若年性特発性関節炎(小児リウマチ)は治りますか?完治に要する期間はどれくらいですか?
若年性特発性関節炎は、病型にもよりますが、基本的に完治が期待できる病気です。
若年性特発性関節炎は、病型にもよりますが、基本的に完治が期待できる病気です。
ある研究では48.8%で薬を中止でき、49.9%で薬の継続が必要であるものの治癒した状態となっています。ただ、1.3%の方では治療に効果が見られなかったことも示されています。
また、全身型の若年性特発性関節炎の一部では命に関わるような重症化が起こることがあります。
完治に要する期間は患者さんによりさまざまですが、数ヶ月〜数年の経過で治癒していきます。
参考文献
Akaluck Thatayatikom et al.“Juvenile Idiopathic Arthritis”.National Library of Medicine.https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK554605/,(参照 2024-04-11).
若年性特発性関節炎患者支援の手引き.“若年性特発性関節炎(JIA)全般に関するQ&A”.若年性特発性関節炎患者支援の手引き.https://www.ryumachi-jp.com/jcr_wp/media/2023/11/jia_part2_2-1_W.pdf,(参照 2024-04-11).
若年性特発性関節炎患者支援の手引き.“移行期の注意点や,主治医との関わり方に関するQ&A”.若年性特発性関節炎患者支援の手引き.https://www.ryumachi-jp.com/jcr_wp/media/2023/11/jia_part2_2-6_W.pdf,(参照 2024-04-11).
若年性特発性関節炎の場合、主にどのような治療をしますか?
関節炎に対しては、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)による薬物治療を行います。
関節炎に対しては、痛みや炎症を抑えるためにNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)による薬物治療を行います。
効果が不十分な場合には、
- 炎症の原因である免疫異常に働きかけるメトトレキサート
- 生物学的製剤(TNF阻害薬やIL6阻害薬)
といった、成人の関節リウマチや成人スティル病で使用する薬剤を使用することもあります。全身症状が強い場合にはステロイドを使用することもあります。
リウマチ学会の「若年性特発性関節炎患者支援の手引き【第2部】」で、より詳しい情報が得られます。
参考文献
Karen B. Onel et al. 2021 American College of Rheumatology Guideline for the Treatment of Juvenile Idiopathic Arthritis: Therapeutic Approaches for Oligoarthritis, Temporomandibular Joint Arthritis, and Systemic Juvenile Idiopathic Arthritis. Arthritis Care & Research. 2022, 74, p.521-537.
研究代表者 森 雅亮.“若年性特発性関節炎患者支援の手引き【第2部】”.日本リウマチ学会.https://www.ryumachi-jp.com/general/jia-guide/,(参照 2024-04-11).
受診の目安・何科を受診するべきか
若年性特発性関節炎が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?
関節の腫れや痛み、持続する微熱、リンパ節の腫れなどの症状が現れた場合には早めの受診が大切です。
若年性特発性関節炎が疑われる症状の特徴として、以下が挙げられます。
上記のような症状がある方は小児科、整形外科、リウマチ科の受診をおすすめします。
また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
若年性特発性関節炎が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
若年性特発性関節炎が疑われる場合には、小児科、整形外科、リウマチ科を受診しましょう。
若年性特発性関節炎が疑われる場合には、小児科、整形外科、リウマチ科を受診しましょう。
若年性特発性関節炎の初期には、関節痛や発熱といった症状が現れる場合が多いです。関節痛は手首や膝・足首が一般的とされていますが、他の関節にも症状が現れることがあります。また、発熱は1日の中で発熱している時間と解熱平熱・微熱になる時間があるような「波のある発熱形式」のこともあれば、1日中ずっと発熱していることもあります。
このような症状が見られたら早めに受診して、他の病気と見分けた上で、適切な治療を行うことが大切です。
若年性特発性関節炎(JIA)の専門医がいる近くの病院はありますか?
若年性特発性関節炎(JIA)の専門医がいる病院を見る若年性特発性関節炎の薬
若年性特発性関節炎は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
関節炎に対してはNSAIDsの使用を行いますが、胃部不快感などの副作用が現れる場合があります。
関節炎に対しては、痛みや炎症を抑えるためにNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)による薬物治療を行います。
効果が不十分な場合には、
- 炎症の原因である免疫異常に働きかけるメトトレキサート
- 生物学的製剤(TNF阻害薬やIL6阻害薬)
といった、成人の関節リウマチや成人スティル病で使用する薬剤を使用することもあります。全身症状が強い場合にはステロイドを使用することもあります。
副作用は、薬剤によってさまざまなものが考えられます。NSAIDsでは胃の不快感やアレルギー反応など、抗リウマチ薬では免疫が低下するため感染症には注意が必要です。
若年性特発性関節炎の経過・予後
若年性特発性関節炎の予後について教えてください。
病型により症状や合併症、予後は異なります。それぞれ適切な治療を行うことが大切です。
若年性特発性関節炎は7つの病型に分けられており、病型により症状や合併症、予後は異なります。
例えば全身型では、全身の炎症が強くなると急速に進行して、重症化するマクロファージ 活性化症候群という合併症を起こすことがあります。
全身型では約20%の患者さんが 寛解せずに、再燃・再発を繰り返しながら成人します。
関節型では、関節炎が悪化して関節破壊が進行すると、軟骨が減って関節が固まってしまったり、脱臼・亜脱臼などの関節変形が起こります。
また、約5~10%の患者さんではぶどう膜炎という眼の合併症が見られます。無症状で発症して失明することもあるため、発症リスクの高い病型では、定期的な眼科検診が必要となります。
若年性特発性関節炎の死亡率や寿命について教えてください。
病型により異なりますが、合併症等により死に繋がる可能性があり、適切な治療が必要です。
若年性特発性関節炎は7つの病型に分けられており、病型により症状や合併症、予後は異なります。
全身型の若年性特発性関節炎では、約10%は活動期にマクロファージ活性化症候群への移行が見られます。
適切な治療をしないと、播種性血管内凝固症候群や多臓器不全により死亡することがあります。
関節型の若年性特発性関節炎では、マクロファージ活性化症候群、アミロイドーシス、感染症などにより、死亡率は0.3~1%とされています。
対処法・セルフケア
若年性特発性関節炎の場合、日常生活で気を付けることはありますか?
関節が痛む場合、重い荷物を持つ、正座をするなどの関節に負担をかける動作をしないことが大切です。
身体活動と栄養について解説します。
身体活動
関節に負荷がかかる動作で関節炎が悪化することがあります。重い荷物を持つ、正座などの姿勢を避けることが重要です。
食事
症状を良くしたり、悪くしたりする食べ物は特にありませんが、バランスの良い食事を取るように心がけましょう。
感染症予防
抗リウマチ薬などの免疫を抑制する薬を使用している患者さんは感染症を発症しやすいです。マスクや手洗い、人混みを避けるなど、感染予防が大切です。
若年性特発性関節炎で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
ひとつのNSAIDsが効かない場合でも、他のNSAIDsが有効な場合もあります。
第一選択薬であるNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が無効の場合、別のNSAIDsを試したり、病型や年齢に合わせて抗リウマチ薬を使用することもあります。全身型の若年性特発性関節炎ではステロイドで治療開始し、抗リウマチ薬を併用します。
抗リウマチ薬には以下のようなものがあります。
- メトトレキサート
- TNF阻害薬(インフリキシマブエタネルセプト、アダリムマブなど)
- T細胞選択的共刺激阻害調節薬(アバタセプト)
- IL6阻害薬(トシリズマブ)
全身型の場合にはIL-1阻害薬(カナキヌマブ)を使用することもあります。
なお、薬の効果が出るまでに時間がかかる場合もありますので、自己判断で中止せずに医師に必ず相談してください。
若年性特発性関節炎に関連するその他の質問
子供の発熱と関節痛がある場合、若年性特発性関節炎の可能性はありますか?
発熱や関節痛が起こる原因はさまざまあり、必ずしも若年性特発性関節炎であるとは限りません。
発熱と関節痛が長く続いている場合には、若年性特発性関節炎の可能性があります。ただし、発熱と関節痛は子どもに多い症状であり、ほかにも原因はさまざまあります。
若年性特発性関節炎は、16歳未満の子どもに発症した6週間以上続く関節の炎症のことです。
若年性特発性関節炎は7つの病型に分けられており、そのうちの「全身型」では、1ヶ所以上の関節炎と2週間以上続く発熱が特徴です。
関節痛と発熱に加え、皮膚の発疹、全身のリンパ節の腫れ、肝臓や脾臓の腫れ、漿膜炎などがある場合には、若年性特発性関節炎の可能性があります。
若年性特発性関節炎で突然亡くなることはありますか?
合併症等により突然亡くなることもあり、適切な治療が大切です。
頻度が高いわけではありませんが、合併症等により突然亡くなることもあります。
若年性特発性関節炎は7つの病型に分けられており、病型により症状や合併症、予後は異なります。特に全身型の場合、全身の症状が長く続くと重篤な状態になることがあります。
マクロファージ活性化症候群や播種性血管内凝固症候群、多臓器不全が起こった場合には、死亡する場合があります。
病気の勢いが強いときに起こりやすく、適切な治療を行うことが大切です。
若年性特発性関節炎と関節リウマチの違いを教えてください。
若年性特発性関節炎と関節リウマチは、発症年齢や症状、合併症、治療法などが異なります。
若年性特発性関節炎はリウマチ性の病気であり、以前は若年性関節リウマチと呼ばれていましたが、基本的には違う病気です。
若年性特発性関節炎は7つの病型に分けられており、症状や合併症、治療法は病型により異なります。
その中の関節型(少関節炎および多関節炎)では関節リウマチと似た症状が出ることがあります。
大きな違いのひとつは発症する年齢ですが、若年性特発性関節炎の患者さんが大人になって関節リウマチに変わるわけでもありません。
若年性特発性関節炎の全身型について教えてください。
関節の炎症による痛みや腫れと、2週間以上続く発熱が特徴の病気です。
若年性特発性関節炎は、16歳未満の子どもに発症した6週間以上続く関節の炎症のことです。
若年性特発性関節炎は国際リウマチ学会(ILAR)の分類基準により、7つの病型に分けられており、そのうちのひとつが「全身型」と呼ばれるものです。
全身型の若年性特発性関節炎は、1ヶ所以上の関節炎と2週間以上続く発熱が特徴であり、そこに皮膚の発疹、全身のリンパ節の腫れ、肝臓や脾臓の腫れ、漿膜炎のいずれかがあるものを言います。
1~5歳の幼児に多く発症し、治療はステロイドが中心となります。
若年性特発性関節炎(小児リウマチ)は難病ですか?
若年性特発性関節炎は、小児慢性特定疾患に指定されている難病です。
18歳未満の若年性特発性関節炎は、小児慢性特定疾患に指定されている疾患です。20歳を超えた場合には指定難病になります。
小児慢性特定疾病から指定難病へは自動的に移行されないため、患者さん自身で申請する必要があります。
詳細は「難病と小児慢性特定疾病にかかる医療費助成のご案内」などを参考にしてください。
若年性特発性関節炎は大人でも発症しますか?
全身型の若年性特発性関節炎は、まれですが16歳以降の成人にも発症し、成人スティル病と呼ばれます。
全身型の若年性特発性関節炎は、まれですが16歳以降の成人にも発症し、成人スティル病と呼ばれます。
また、関節主体の若年性特発性関節炎は、関節リウマチや乾癬性関節炎、強直性脊椎炎などに分類されることもあります。
さらに、小児期に診断された若年性特発性関節炎が成人期に持ち越すこともあり、その場合は「若年性特発性関節炎」という病名でフォローされることもあります。
若年性特発性関節炎について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「若年性特発性関節炎(JIA)」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 関節が痛みますか?
- 体温は37.5℃以上ですか?
- どこかの関節に赤みや腫れがありますか?
- 関節が動かしにくいですか?
- リンパ節(首や脇の下、股の付け根、耳の後ろなどにあります)がはれて大きくなっていると感じますか?
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この記事の監修医師
栗原 信吾 先生
北水会記念病院 整形外科
【経歴】 山形大学医学部卒業(2013年) 沖縄中部徳洲会病院(初期研修) 群馬大学整形外科 善衆会病院、堀江病院、まつだ整形外科 横浜市立大学大学院ヘルスデータサイエンスコース修士課程修了 北水会記念病院 整形外科(2026年-)
- 更新日
- 2026/05/26
- 公開日
- 2020/09/03