壊疽性膿皮症
監修医師阿部 吉倫内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
壊疽性膿皮症とは
皮ふに小さな膨らみや水ぶくれができ、それが痛みを伴うただれとなって広がり皮ふがえぐれていく状態で原因は不明ですが、白血病や炎症性腸疾患などの他の病気が関連することもあります。
「壊疽性膿皮症」とはどのような病気ですか?画像や写真で教えてください。
痛みを伴う赤いぶつぶつや水ぶくれができる、慢性の皮膚疾患です。
壊疽性膿皮症とは、手足や体幹部に、単発もしくは多発する穴があいたような潰瘍を繰り返す、原因不明の病気です。
初めは膿疱(膿だまり)、紅色丘疹(赤いぶつぶつ)、水疱(水ぶくれ)などから始まり、次第に大きくなり深い傷へと拡大していきます。また、潰瘍の程度に関わらず強い痛みが見られることもあります。
比較的まれな病気で、有病率は成人10万人当たり5.8人と報告されています。好発年齢は 20~60歳と幅広く、高齢者に発症することもあります。
壊疽性膿皮症の症状
壊疽性膿皮症ではどのような症状がありますか?
赤い隆起や水疱が破れると強い痛みを伴う潰瘍となり拡大します。びらんの縁は盛り上がり暗褐色です。
壊疽性膿皮症の症状として、穴があいたような深い潰瘍が皮膚に発生します。
発生する部位は下腿伸側(すね)が最も多いですが、その他の部位に発生することもあります。
潰瘍の表面は、初めは赤くむくみ状(表面が盛り上がり、テカテカしている)になっていることが多く、痛みを伴うこともあります。
なお、活性化した好中球によって皮膚以外の症状が生じることもあり、関節痛や関節炎、肺・肝臓などに無菌性の膿み、目に強膜炎や角膜潰瘍が見られることもあります。
壊疽性膿皮症の原因
壊疽性膿皮症の原因は何がありますか?
炎症性サイトカインの関与が考えられていますが、壊疽性膿皮症の原因は不明です。
壊疽性膿皮症の主な原因は不明とされています。
ただし、無菌性(細菌の関係しない)の炎症が生じ、好中球の局所への浸潤(細胞など組織が周囲にじわじわ広がっていくこと)や異常な活性化が誘導され、病変を形成していることが明らかとなっています。つまり、通常は細菌などを排除するために生じる炎症が、細菌がいないにもかかわらず生じていることが明らかとなっています。
この無菌性の炎症の原因として、免疫に関わる炎症性サイトカインというたんぱく質が関与しているとされています。そのため、一見皮膚に関係ないような関節・血液・腸など他臓器の自己免疫性疾患や薬剤によっても、炎症性サイトカインのバランスが崩れることで発症することもあると言われています。
壊疽性膿皮症の検査・診断
壊疽性膿皮症のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」でもチェックできます。
セルフチェックにより壊疽性膿皮症を疑うことは、ある程度は可能です。ただし、あくまで疑うための目安にとどめ、適切な治療を受けるためにも専門医による診断が不可欠です。
まずは、医療機関を受診することをおすすめします。
セルフチェック項目
- 表面が赤く盛り上がり、テカテカしている潰瘍がある
- 穴があいたような深い潰瘍がある
- 潰瘍は少なくともひとつ、すねにある
- 潰瘍にしばしば痛みがある
- 潰瘍が急に大きくなっている
- 皮膚以外の症状で関節痛や関節炎がある
- 基礎疾患(炎症性腸疾患、関節リウマチ、骨髄異形成症候群・悪性リンパ腫・骨髄性白血病などの血液疾患)がある
など
壊疽性膿皮症の治療・対処法
壊疽性膿皮症への対処法は?
病気の部分を清潔に保ち、塗り薬で治療します。皮ふ科での検査、治療が必要です。
壊疽性膿皮症の場合、主にどのような治療をしますか?
壊疽性膿皮症の治療は、患者さんごとに主治医が判断しますが、主にステロイドの外用剤や経口薬を用います。
壊疽性膿皮症の治療では、まず潰瘍に対して負荷がかからないよう、潰瘍への外的刺激を避け、安静を保つことが大切です。そのため、入院が必要となることもあります。
潰瘍の状態を適正に保ちつつ、ステロイド外用剤(塗り薬)から治療を始めます。塗り薬でなかなか治らない場合は、ステロイドや免疫抑制剤などの内服(経口薬)や生物学的製剤(注射薬)を行うこともあります。
むくみがある際には、弾性包帯やストッキングなどを用いて圧迫することもあります。
なお、患者さんごとに主治医が判断し、治療を行っていきます。不安な点があれば、主治医へお伝えください。
受診の目安・何科を受診するべきか
壊疽性膿皮症を放置するとどうなりますか?
傷が治りにくい状態が続きます。
壊疽性膿皮症を放置すると、傷が治りにくい状態が続きます。
壊疽性膿皮症そのものは無菌性の慢性的な炎症ですが、治療せず放置したままでいると、そこから細菌等による感染を起こすリスクがあります。このため、傷口は清潔に保つ必要があります。
また、外傷により潰瘍があらわれることもあるため、ケガをしないよう注意したり、既にできている潰瘍を安静に保ったりすることも大切です。まずは皮膚科で診断・治療を受けましょう。
壊疽性膿皮症の名医の探し方を教えてください。
特にありませんので、まずはお近くの皮膚科を受診しましょう。
壊疽性膿皮症の名医の探し方は特になく、まずはお近くの皮膚科を受診しましょう。
壊疽性膿皮症はその診断まで時間を要することもありますが、皮膚科医であれば誰でも知っている疾患のため、壊疽性膿皮症かどうか気になる方はまずお近くの皮膚科を受診することをお勧めします。
なお、「拡がっていく皮膚の傷.com」にて壊疽性膿皮症を相談できる病院の検索ができますので、宜しければご参照ください。
壊疽性膿皮症が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
皮膚科を受診してください。他に治療中の疾患がある場合には、かかりつけ医にも一度見てもらうようにしてください。
潰瘍の治療は、皮膚科で行うことが多いため、壊疽性膿皮症が疑われた場合は皮膚科の受診を推奨いたします。
なお、壊疽性膿皮症の発症は、関節・血液・腸など他臓器の自己免疫性疾患が原因となっていることも多いです。このため、もしそれらの治療を行っている場合は、皮膚科だけではなく、かかりつけの医療機関と連携して治療を進めることも大切です。
壊疽性膿皮症の専門医がいる近くの病院はありますか?
壊疽性膿皮症の専門医がいる病院を見る壊疽性膿皮症の薬
壊疽性膿皮症は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
主にステロイドの塗り薬を使用します。ステロイドの強さや期間によって毛深くなったり皮膚が薄くなったりします。
まず、潰瘍に対して負荷がかからないよう、潰瘍への外的刺激を避け、安静を保つことが大切です。そのため、入院が必要となることもあります。
潰瘍の状態を適正に保ちつつ、ステロイド外用剤(塗り薬)から治療を始め、難治な場合はステロイドや免疫抑制剤などの内服(のみ薬)を行うこともあります。
副作用は、どのような薬でも起こり得ます。壊疽性膿皮症の治療では、免疫を調整する薬が多いため、ステロイド外用剤の場合は皮膚の局所的な副作用、内服薬の場合は全身性の副作用が起こることもあります。ただし、しっかり主治医と相談しながら治療すれば、ほとんどの副作用が管理可能です。
対処法・セルフケア
壊疽性膿皮症の場合、日常生活で気を付けることはありますか?
傷口を清潔に保つようにしてください。原疾患(おおもとの病気)がある場合にはそちらの治療も並行して行なってください。
壊疽性膿皮症の場合、日常生活で気をつけることがいくつかあります。
壊疽性膿皮症そのものは無菌性の慢性的な炎症ですが、潰瘍があることや、それに対しステロイドなど免疫を抑制する治療を行っている場合、潰瘍部から細菌の感染を起こすリスクがあります。このため、傷口は清潔に保つ必要があります。
また、外傷により潰瘍があらわれることもあるため、ケガをしないよう注意したり、既にできている潰瘍を安静に保ったりすることも大切です。
壊疽性膿皮症で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
ステロイドの塗り薬だけで効果がない場合や重症例では、ステロイドや免疫抑制剤の内服などを行います。
壊疽性膿皮症の治療で、現在使用中の薬が効かない場合は、別の薬へ切り替えることもあります。
例えば、ステロイド外用剤(塗り薬)のみでなかなか治らない場合は、ステロイドや免疫抑制剤などの内服(のみ薬)を使うことが多いです。
それでもなかなか治らない場合は、治療費は高額となりますが、生物学的製剤と呼ばれるタイプの注射剤を使用します。
なお、壊疽性膿皮症が広がってしまうリスクがありますので、基本的に外科的治療(手術)は行いません。
壊疽性膿皮症に関連するその他の質問
壊疽性膿皮症はうつりますか?
うつりません。
壊疽性膿皮症は、うつりません。
壊疽性膿皮症そのものは無菌性の慢性的な炎症ですが、潰瘍があることや、それに対しステロイドなど免疫を抑制する治療を行っている場合、潰瘍部から細菌の感染を起こすリスクがあります。このため、傷口は清潔に保つ必要があります。
また、外傷により潰瘍があらわれることもあるため、ケガをしないよう注意したり、既にできている潰瘍を安静に保ったりすることも大切です。
人にうつるかどうかを心配するより、自分の傷口から新たな感染を起こさないよう注意しましょう。
壊疽膿皮症のガイドラインはどのような記載がありますか?
壊疽性膿皮症の症状、診断基準、臨床においての概要などが日本皮膚科学会から公開されています。
壊疽膿皮症の診断・治療のためのガイドラインとして、日本皮膚科学会より「壊疽性膿皮症診療の手引き2022」が一般公開されています。
同書は壊疽性膿皮症の診療を行う医師向けに、早期発見および適切な治療を通じて患者さんのQOL向上に寄与することを目標として、作成されています。具体的には、壊疽性膿皮症の疾患概念、診断基準と重症度分類、疫学、鑑別診断、基礎疾患・併存症、治療などがまとめられています。
内容は数年に一度、更新・改定される予定です。
壊疽性膿皮症は難病指定されていますか?
壊疽性膿皮症自体は難病指定されていませんが、関連する病気の一部は難病指定されているものもあります。
壊疽性膿皮症そのものは、難病指定されていません。
ただし、壊疽性膿皮症のきっかけとなり得る自己免疫性疾患の一部や、PAPA 症候群(化膿性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群)という壊疽性膿皮症を一症状とする遺伝性疾患は、難病指定されています。
そのため、間接的に治療費の減免対象となる可能性もあります。不明な点があれば、主治医へご相談ください。
なお、国による医療費助成の対象となる難病や指定難病は、次のように定義されています。
難病の要件
- 発病の機構が明らかではない
- 治療方法が確立していない
- まれな病気である
- 長期の療養が必要
指定難病の要件
上記の4つに、次の2つが加わります。
- 患者数が人口の約0.1%未満
- 客観的な診断基準(またはそれに準ずるもの)が成立している
壊疽性膿皮症について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「壊疽性膿皮症」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 皮膚に膿(うみ)が溜まった水ぶくれがありますか?
- 傷あとが盛り上がってきていますか?
- 皮ふにただれている場所や、めくれている場所がありますか?
- 皮ふに赤いブツブツがありますか?あるいは皮ふが赤くなっていますか?
- 皮ふが硬くなっている場所がありますか?
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この記事の監修医師
阿部 吉倫
内科
2015年東京大学医学部医学科卒。東京大学医学部付属病院、東京都健康長寿医療センターで初期研修を修了。血便を放置し48歳で亡くなった患者との出会いをきっかけにデータサイエンスの世界へ。2017年5月にUbie株式会社を共同創業。2019年12月より日本救急医学会救急AI研究活性化特別委員会委員。2020年 Forbes 30 Under 30 Asia Healthcare & Science部門選出。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03