チック
監修医師阿部 吉倫内科
- 更新日
- 2024/04/26
- 公開日
- 2020/09/03
チックとは
子供の10%程に現れ、無意識に頻繁なまばたきや首ふりが出ます。発達途中の神経の不安定性が原因ですので、親や本人に原因はありません。症状が現れたからといって叱ったり、無理に行動を辞めさせたりするようなことは避けてください。多くのチックは成人するに伴い自然に良くなります。
「チック」とはどのような病気ですか?
チックは急に身体のどこかが動いたり声が出たりする精神神経疾患です。
チックとは、繰り返す運動や発声が特徴の、精神神経学的な現象です。
動きは速い動きであることが多いですが、複雑だったり長かったりすることもあります。
チックによって特徴づけられる症候群がチック症であり、種類と持続期間により、トゥレット症、持続性(慢性)運動または音声チック、暫定的チック症に分類されます。
チックは、精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)では、神経発達症群の中の運動症群に含まれます。チック症全体は、発達障害者支援法の対象となっています。
チックの症状
咳払いはチック症状ですか?
チックの症状として咳払いがありますが、咳はほかの原因でも起こりますので、かかりつけの小児科医に相談しましょう。
咳払いはチック症の症状のひとつです。
ただ、咳という症状はチック症以外の病気(特に呼吸器の病気)でも見られます。
例えば、ぜんそくやアレルギー、空気の乾燥、タバコの煙、ホコリ、ペットの毛、カビなど、家の中の空気の状態が原因になることもあります。
まずはこうした病気の可能性を考え、そうでないとわかった場合にはチックとして対応を考えましょう。
チックによる咳払いは、本人が無意識に繰り返してしまうことが多く、緊張や不安などのストレスが関係していることもあります。
気になる症状が続く場合は、早めに医療機関を受診し、医師に相談するようにしましょう。
チックには初期症状はありますか?
まずは単純な動きのチックが出て、そのうち動きが複雑になってきたり音声のチックが出たりする経過が多いといわれています。
チックの症状が1年未満の場合は、暫定チック症となります。
その後軽快することもあれば、持続することで他のチック症に移行することもあります。
チック症の中のトゥレット症においては、初期にはまばたきなどの単純運動チックが、1~2年後には音声チックが出て、年齢が上がるにつれて複雑なチックが増えていくと言われています。
年齢とともに重症度が弱くなることもありますが、成人してもチック症状が残る場合もあります。
チックではどのような症状がありますか?
まばたきや首を振るなどの運動チックと、咳払いや突然声を出すなどの音声チックがあります。
チックには、運動チックと、音声チックがあります。
運動チックでは、まばたき、口をゆがめる、急に首をかしげる動き、頭を振る、などの顔や首の筋肉の動きに影響するものがよく見られます。
肩や上肢をぴくっとさせたりねじらせたり、足を蹴るなどの身体の他の部分に現れることもあります。
音声のチックは、鼻を鳴らしたり咳払いをしたり、大声や意味のない単語を突然言ったりすることが多いですが、トゥレット症候群では「バカ」などの汚い言葉が発せられてしまうこともあります。
チックの原因
チックの原因は何がありますか?
原因はまだ未解明ですが、ドパミンなどが関与する脳の機能の不具合という説が有力です。
チックの原因は、未解明ですが、ドパミン(脳の中で気分や動きを調整する物質)を中心とする脳内神経伝達物質のアンバランスが関与すること、特に線条体という箇所におけるドパミンの過剰状態が指摘されています。
また、セロトニン系やノルアドレナリン系などその他の脳内神経伝達物質の関与も示唆されています。
チックは育て方やストレスのみが原因で起こるのではありません。生まれつきチックが出やすい素因とストレスの相互作用によって生じると考えられています。
チックの検査・診断
チックのセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
チック症を自分で診断することはせず、診断を受けたい場合は病院を受診しましょう。
周りの人が気づく症状としては、以下があります。
- 目をぱちぱちさせる
- ぎゅっと目をつぶる
- 首を振る
- しかめ面
- 両肩を縮こませる
- 喉をならす
- 鼻をくんくんさせる
- 高い音を出す
また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、チック症かどうかのセルフチェックができます。ぜひご活用ください。
チックの治療・対処法
チックへの対処法は?
本人も無意識のうちに出てしまう症状なので、症状は注意しても治せません(逆に悪化することもあります)。またストレスも含めて原因はわからないことがほとんどなので、原因探しも症状の改善には効果がありません。症状の頻度がふえて、日常生活に影響が出たり、また新たな症状が出たりする場合は、受診を検討してください。
チックの場合、主にどのような治療をしますか?
チックが悪化しにくい環境づくりのために、関係者で相談をします。症状が重症の場合は薬の治療が試みられることもあります。
まずは、脳機能の発達など生物学的な理由が発症の原因であり、親の育て方や本人の性格の問題ではないことが説明され、過剰に意識しないようにすることが大切です。
チックが悪化しにくい環境や生活づくりを考え、学校でどのような工夫や配慮が受けられるかを話し合いましょう。
成長とともにチックの症状が軽くなったりなくなったりすることがありますので、必ずしも治療が必要とは限りません。
ただ、チック症状が激しく、日常生活に支障をきたす場合や、本人が症状を気にして精神面での悪影響が考えられる場合、随伴症状が重症な場合などは薬物療法が試みられることもあります。
薬物療法では、保険適用外の薬剤もありますので、服薬による利益が副作用のリスクを上回るかどうかがポイントです。
ドパミンやセロトニン系に作用する抗精神病薬が用いられることが多くなっています。
受診の目安・何科を受診するべきか
チックが疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?
チックの動きのために生活や心身の状態に支障が出る場合は病院で相談してみましょう。
チックが疑われる場合、病院を受診する目安としては、チックの動きのために身体の痛みや疲れがあったり、食事や勉強に支障が出る場合、気持ちが落ち込んだりイライラしやすくなるなど精神的な影響がある場合、他の症状を伴っている場合などです。
お子さんや親御さんの不安が強い場合も、病院で診察と説明を受けて安心できることもあります。
チックは一時的なこともありますが、長く続く場合や症状が強くなっていく場合には、医師の判断が必要です。
まずはかかりつけの小児科医に相談してみましょう。
気になる症状があるときは、早めに医療機関を受診し、医師に相談することが大切です。
チックが疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
かかりつけの小児科医に相談をして、必要があれば専門医に紹介してもらいましょう。
チックが疑われる場合、まずはかかりつけの小児科を受診しましょう。
暫定的チック症の診断で、ほかの病気がなければ、かかりつけ医が診療を担当することが多いでしょう。
家族や学校との連携の点でも、かかりつけ医には相談しやすいでしょう。
持続性のチック症やトゥレット症、また暫定的チック症でも注意欠如・多動症(ADHD)や強い不安などの症状がある場合は、小児神経の専門医や子どもの心の専門医(児童精神科医)が診ることもあります。
チックかもしれないと気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、医師へ相談するようにしましょう。
チックの専門医がいる近くの病院はありますか?
チックの専門医がいる病院を見るチックの薬
チックは主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
ドパミンやセロトニン系に作用する向精神薬で治療されることが多く、睡眠や食欲の変化、手が震えたりそわそわしたりという副作用が出る方もいらっしゃいます。
ただ、チック症状が激しく、日常生活に支障をきたす場合や、本人が症状を気にして精神面での悪影響が考えられる場合、随伴症状が重症な場合などは薬物療法が試みられることもあります。
薬物療法では、保険適用がない薬剤もありますので、服薬による利益が副作用のリスクを上回るかがポイントです。
ドパミンやセロトニン系に作用する抗精神病薬が用いられることが多くなっています。
副作用としては、頻度の高いものでは、食欲不振、不眠、不安、落ち着きがなくなる、手が震える、吐き気・嘔吐、倦怠感などがあります。
高熱、身体のこわばり、血圧上昇、ぼんやりするなどの症状が見られたらすぐに病院で相談しましょう。
対処法・セルフケア
首振りのチック症の治し方を教えてください。
チック症は治そうとせず、受け入れて過剰に意識しないようにしましょう。生活に支障がある場合は受診しましょう。
チックは自然に改善することがあり、治そうとする必要がないことが多いと言われています。
チックを治そうとすると、かえって本人の意識をチックに集中させ、チックが起こりやすくなったりストレスを感じたりしやすくなりますので、受け入れて過剰に意識しないようにする方がよいとされています。
生活の中で困っていることがあれば、お子さんの困り感に合わせて治療について相談しましょう。
困っていることがなければ、まずは見守ってもよいことが多いでしょう。
チックの場合、日常生活で気を付けることはありますか?
具体的な困りごとがなければ、過度に構えず、受け入れる姿勢でいることがよいでしょう。
まずは、周囲の人間が過度に心配せず、お子さんの特徴として受け入れ、構えすぎないようにしましょう。
チックをやめさせようとすると、かえって本人の意識をチックに集中させることにつながります。
お子さんの困り感に合わせて治療について相談し、生活の中で困っていることがあれば、家族、学校の先生、病院のスタッフが連携しながら進めることが大切です。
チックで薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
チックに有効だとされている認知行動療法の手法で症状をやわらげたりうまくつきあったりする方法を身につけることが役に立ちます。
チックで薬が効かない場合は、行動療法などの心理療法が試みられることがあります。
チックのための包括的行動的介入(Comprehensive Behavioral Intervention for Tics: CBIT)という認知行動療法の治療パッケージがあります。
また、トゥレット症で重症で薬が効かない場合、脳深部刺激法という治療が試みられることがあり、治療効果については研究が進んでいます。
睡眠障害などの併発症状によって苦痛が軽減されない場合も、睡眠や気分に対する向精神薬が処方されることもあります。
チックに関連するその他の質問
子どものチックは、よくあることですか?
よくあることで、5~10人の子どもに一人は一時的にチックがでるという報告もあります。
子どものチックはよくあることで、5~10人の子どもに1人が、ある時期に一時的にチックを示すという報告もあります。
トゥレット症や持続性(慢性)運動または音声チックは、小児1000人に3~8人にみられるとされています。
チックには、まばたきや顔をしかめるなどの体の動き(運動チック)や、咳払いや鼻をすするような音(音声チック)があります。
これらの症状は強くなったり弱くなったりすることがあり、個人差も大きいです。
多くの場合は成長とともに軽くなりますが、大人になっても続くこともあります。
気になる症状がある場合には、早めに医療機関を受診し、医師へ相談するようにしましょう。
チック症のまばたきはどんな感じですか?
チック症のまばたきは、急に強くまぶたを閉じたり、何度も速くまばたきを繰り返したりなど普通のまばたきとは異なる印象のことがあります。
チック症のまばたきは、普通のまばたきとは違い、急に強くまぶたを閉じたり、何度も速くまばたきを繰り返したりするのが特徴です。
自分では止めようと思っても止められないことが多く、無意識のうちに出てしまいます。
緊張したときや疲れているときに目立ちやすく、学校などで気づかれることもあります。
まばたき以外にも、顔をしかめたり、首を振ったりする動きがみられることもあります。
気になる症状が続く場合は、早めに医療機関を受診し、医師に相談するようにしましょう。
チックについて、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「チック」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 心理的ストレスを感じている様子(学校へ行くのを明らかに嫌がるなど)ですか?
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この記事の監修医師
阿部 吉倫
内科
2015年東京大学医学部医学科卒。東京大学医学部付属病院、東京都健康長寿医療センターで初期研修を修了。血便を放置し48歳で亡くなった患者との出会いをきっかけにデータサイエンスの世界へ。2017年5月にUbie株式会社を共同創業。2019年12月より日本救急医学会救急AI研究活性化特別委員会委員。2020年 Forbes 30 Under 30 Asia Healthcare & Science部門選出。
- 更新日
- 2024/04/26
- 公開日
- 2020/09/03