舌癌の初期症状は?舌癌
監修医師平松 由布季東日本橋内科クリニック 内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
舌癌とは
舌にできるがんで、舌の両脇にできやすいと言われています。硬いしこりやただれで気づくことがあります。
「舌癌」とはどのような病気ですか?
舌癌とは文字通り、舌にできるがんのことを指します。
舌癌とは、舌に発生するがんを指し、口腔がん(口腔粘膜に発生するがん)の約半数を占めます。
また、専門的な説明となりますが、病理組織学的には扁平上皮がんに分類されるがんです。
舌癌の主なリスクは、喫煙、飲酒です。また、口腔白斑症と呼ばれる口腔粘膜の白斑状の前がん病変が、3.1〜13.6%でがん化すると報告されています。
主な症状としては、舌の側縁に白色変化、硬いしこり、痛み、出血などが挙げられます。
進行すると、下顎骨まで浸潤(細胞など組織が周囲に広がること)したり、頸部のリンパ節転移を起こすことがあります。また、骨や肺などに遠隔転移(がん細胞が最初に発生した場所とは別の場所に移動して増えること)を伴う場合があります。
舌癌の原因
舌癌の原因や考えられる症状には何がありますか?
主な原因は喫煙や飲酒などで、症状として白色の変化や出血、嚥下障害なども見られます。
舌癌の原因や考えられる症状は、それぞれ以下の通りです。
舌癌の原因
- 喫煙
- 飲酒
- 歯との慢性の機械的刺激
- 食事などの化学的刺激
- 炎症による口内炎
- ウイルス感染
- 加齢
など
舌癌の主な症状
- 舌の側縁が白色に変化する
- 硬いしこり
- 痛み
- 出血
- 口の中の悪臭
- 構音障害(話しづらくなる)
- 嚥下障害(食事が食べにくくなる)
など
進行すると下顎骨へ浸潤(細胞など組織が周囲に広がること)したり、頸部のリンパ節転移を起こし、あごや首の周りに腫れや痛みが生じます。
舌癌の検査・診断
舌癌のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
セルフチェックにより、舌癌を疑うことはある程度可能です。
以下の症状に注意してください。
舌癌が疑われる症状
など
なお、舌癌は早期治療が大切です。上記のような症状がある場合は、速やかに口腔外科へご相談ください。
舌癌の治療・対処法
舌癌への対処法は?
進行度によって治療が異なるので、耳鼻咽喉科や口腔外科での診断、治療が必要になります。
舌癌の治療方法として、ステージごとにそれぞれどのようなものがありますか?
舌癌ではどのステージであっても、手術が主な根治的な治療手段です。
舌癌ではどのステージ(病気の進行具合を示す分類)であっても、手術が主な根治的な治療となります。ステージによって手術の範囲が異なります。
また、術後の補助療法として、抗がん剤や放射線治療を行うこともあります。
ステージ1、ステージ2
原発巣切除、頸部郭清術といった手術を行います。
原発巣切除(舌部分切除術、舌半側切除術)
腫瘍が発生した部分の組織を取り除く手術です。舌の一部を切除する舌部分切除術や舌の半分を切除する舌半側切除術を行います。術周囲の正常な組織も一緒に切除して、がん細胞を完全に取り除くことを目指します。
頸部郭清術
がんがリンパ節に転移している可能性があるため、予防的に首のリンパ節を取り除く手術です。ステージ1や2では、広範囲の郭清は行わないことが一般的です。
ステージ3、ステージ4A、 4B
原発巣切除、頸部郭清術、再建手術といった手術を行います。
原発巣切除(舌部分切除術、舌半側切除術、舌(亞)全摘術)
ステージ3や4では腫瘍が大きく、周囲の組織や構造に広がっていることがもあり、その場合より広範囲の切除が必要となります。舌の半分以上を切除する舌亞全摘術、舌のすべてを切除する舌全摘術なども行われます。
頸部郭清術
がんが広がっている可能性が高いため、より広範囲の首のリンパ節の清掃が行われます。
再建手術
広範囲の組織が切除された場合、機能や外見を回復するための再建手術が必要です。再建手術では、腕やお腹、太ももなど他の部位から組織を移植して欠損部分を補います。
再発または転移(ステージ4C)
手術
再発または転移している病巣が切除可能であればその部位の手術を行います。
がん薬物療法
これまでどのような治療をしてきているか、治療に用いる薬とがんとの相性などを考慮し、使用する薬を決定します。特に免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれるペムブロリズマブ(キイトルーダⓇ︎)やニボルマブ(オプジーボⓇ︎)、抗EGFR抗体薬であるセツキシマブ(アービタックスⓇ︎)などが治療の中心となることが多いです。
舌癌のステージ別の余命(生存率)は、適切に治療した場合、それぞれどのくらいですか?
解説をご覧下さい。
国立がん研究センターの統計情報によると、舌癌の5年生存率(診断から5年後に生存している方の割合)は、以下とされています。
- ステージⅠ:94%
- ステージⅡ:80%
- ステージⅢ:61%
- ステージⅣ:49%
なお、ステージ別で分類していない舌癌の5年相対生存率は63.5%(男性60.7%、女性69.4%)と報告されています。
これらの生存率はあくまでも統計データに基づいたものであり、患者さんひとりひとりの状態によって異なります。全員に当てはまるものではありません。治療法や予後(病気や治療の経過・結末についての見通し)などについては主治医にご相談ください。
舌癌の場合、主にどのような治療をしますか?
進行度(ステージ)に応じて、外科手術、放射線治療、薬物療法などを行います。
舌癌の治療は、進行度(ステージ)に応じて異なります。
早期がん(ステージⅠ、Ⅱ)
外科手術や放射線治療が行われます。
がんの大きさが厚さ10mm未満であれば、放射線を出す線源を舌に挿入する小線源療法(組織内照射)によって、手術を回避して舌の機能・形態の温存ができます。
進行がん(ステージⅢ、Ⅳ)、切除可能な場合
外科手術と術後の化学放射線療法が行われます。化学放射線療法にはシスプラチンという抗がん剤が用いられます。
進行がん(ステージⅢ、Ⅳ)、切除不能な場合
遠隔転移(がん細胞が最初に発生した場所と別の臓器や器官に移動して増えること)がある場合や再発した場合には、
- 免疫チェックポイント阻害薬(ペムブロリズマブ)
- プラチナ系抗がん剤(シスプラチン、カルボプラチン)
- フルオロウラシル
を併用する薬物療法が行われます。
プラチナ系抗がん剤に抵抗性(効かない)の場合、あるいは、免疫チェックポイント阻害薬が効きやすいことが予想される場合には、免疫チェックポイント阻害剤(ペムブロリズマブ、ニボルマブ)を単独で使用することもあります。
なお、ホウ素中性子捕捉療法や頭頸部アルミノックス治療(光免疫療法)などの新たな治療選択肢も出てきていますが、データ集積は十分でなく、実施施設が少ないのが現状です。
治療方針は複雑化してきているため、頭頸部外科、口腔外科、放射線治療科、腫瘍内科など、多診療科間で連携して治療方針が決定されます。
受診の目安・何科を受診するべきか
舌癌の専門医がいる近くの病院はありますか?
舌癌の専門医がいる病院を見る舌癌に関連するその他の質問
舌癌になったときの見た目はどうなりますか?写真で分かりますか?
舌にえぐられたような痕や異常な白みが生じ、写真で判断することができます。
舌癌になったときの見た目の特徴は、以下の通りです。写真でもある程度、これらの特徴を確認することは可能です。
舌癌になったときの見た目の特徴
- 舌の辺縁が白色に変化している
- 舌に潰瘍やしこりができている
- 舌が出血している

なお、舌癌を診断するためには、専門的な病理検査やMRI検査などを行う必要があります。早期治療のためにも、上記のような見た目の変化がある場合は、速やかに口腔外科へご相談ください。
舌癌について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「舌癌」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- リンパ節(首や脇の下、股の付け根、耳の後ろなどにあります)がはれて大きくなっていると感じますか?
- 口の中のえぐれ、ただれに痛みはないですか?
- 舌の痛みがありますか?
- 口の中が痛みますか?
舌癌に関連する病気・症状
この記事の監修医師
平松 由布季 先生
東日本橋内科クリニック 内科
2015年愛媛大学医学部卒。 松山赤十字病院で初期研修後、東京ベイ・浦安市川医療センターで内科後期研修を修了。 引き続き同センター総合内科で、フェローシップ研修を行い、2024年1月まで医員、外来医長として勤務。 病棟専門の総合医であるホスピタリストとして、特に若手医師の教育、臨床倫理(アドバンス・ケア・プランニングや意思決定支援など)に注力してきた。 2022年6月からは日本プライマリ・ケア連合学会 若手医師支援部門 病院総合医チーム副代表に就任。"病院総合医の価値を社会に発信し、これを志す若手の道標になる"をMISSION&VISONに掲げ、学術大会等での企画運営、商業誌執筆、若手医師のキャリア支援などを行なってきた。 2024年2月から東日本橋内科クリニックで勤務。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03