椎骨動脈解離の初期症状は?椎骨動脈解離
監修医師原瀬 翔平亀田総合病院 脳神経内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
椎骨動脈解離とは
椎骨動脈とは首から脳へ血液を送るための血管です。椎骨動脈の血管が裂ける事を椎骨動脈解離と言います。解離すると激しい頭痛を認め、血管が狭くなると脳梗塞を発症し、血管が破けると脳出血やくも膜下出血を起こします。程度によっては致命的になることがあり緊急で治療を要します。
「椎骨動脈解離」とはどのような病気ですか?
首から脳に血液を送る「椎骨動脈」の内側の膜が傷つき、そこから血液が流れ込んで血管が裂けていく病気です。
首から脳に向かって血液を送っている動脈(心臓から全身の組織や臓器へ血液を運ぶ血管)は主に4本あります。左右の「内頚動脈」(2本)と左右の「椎骨動脈」(2本)です。内頚動脈は首の前側に、椎骨動脈は首の後ろ側にあります。これらの動脈は「内膜+内弾性板」「中膜」「外膜」から成る3層構造をしています。また、これら3層を合わせて「動脈壁」と呼びます。
動脈解離は、動脈壁のうち内弾性板が断裂し、血液が中膜の平滑筋層内に流れ込んで、「偽腔」を形成することで発生します。偽腔とは、動脈が裂けたことによってできる血液の通り道のことです(血液が元々流れていたところは「真腔」と言います)。
椎骨動脈解離の症状
椎骨動脈解離には初期症状はありますか?
首の後ろや後頭部に突然痛みが生じるのが特徴です。
動脈(心臓から全身の組織や臓器へ血液を運ぶ血管)を形作っている動脈壁が断裂した際に、痛みを生じると考えられています。椎骨動脈は首の後ろ側にあるため、よく見られる初期症状としては、首の後ろや後頭部の痛みが挙げられます。なお、痛みの強さは肩こり程度に感じる場合もあれば、経験したことがないような強い痛みの場合もあります。
椎骨動脈解離の原因
椎骨動脈解離の原因や考えられる症状には何がありますか?
首の急なひねりなどが原因と言われています。発症すると首の後ろや後頭部に激しい痛みを感じ、進行すると脳梗塞やくも膜下出血を起こすことがあります。
椎骨動脈解離の原因
脳の動脈(心臓から全身の組織や臓器へ血液を運ぶ血管)のうち、動脈解離が発生する箇所は椎骨動脈が大半です。椎骨動脈は日常的な首を回す運動で伸びてしまうことがあり、この時に内弾性板という部位が負荷を受けやすいことが一因と考えられています。例えば、交通事故、ゴルフのスイング、カイロプラクティック、首をひねって音を出す動作などが、椎骨動脈解離の発生につながると報告されています。また、外傷と無関係な発症要因として、喫煙の関与も考えられています。
椎骨動脈解離による症状
動脈解離が起こると、首の後ろ側や後頭部に痛みを感じます。肩こり程度の痛みの事もあれば激痛のこともあります。
動脈壁が完全に断裂すると、くも膜下出血を生じ、より強い痛みを起こしたり意識が朦朧としたりする事があります。また、偽腔(動脈が裂けたことによりできる血液の通り道)ができることで真腔(血液が元々流れていたところ)が狭まったり塞がったりすると、脳梗塞を生じます。この場合、めまいやふらつき、吐き気、手足のしびれなどが起こります。
椎骨動脈解離の検査・診断
椎骨動脈解離はどのような検査で診断しますか?
画像検査(MRI・MRA、CTA、脳血管撮影)で診断します。
MRIやMRA(MRIの装置で血管を詳しく見る検査)で脳や脳血管の様子を評価して診断します。また、これらの検査では分かりにくい場合には、造影剤を使用した3D-CTA(CT検査で血管を詳しく見る検査)やカテーテル検査(血管内に細い管を挿入して体内を見る検査)で血管の壁の状態を確認して診断します。
典型的な椎骨動脈解離では、椎骨動脈の膨隆(ふくらみ)・狭窄(せばまり)・閉塞(ふさがり)などが画像上で認められます。初回の画像検査のみでは診断が難しいこともあり、病状や検査画像の変化から総合的に判断します。先行する頭痛や首の後ろ側の痛みがあり、MRAやCTAで偽腔(動脈が裂けたことによりできる血液の通り道)があることが証明できれば、診断はほぼ確実です。
椎骨動脈解離の治療・対処法
椎骨動脈解離への対処法は?
首を捻るなどして突然の後頭部痛を認めた場合は椎骨動脈解離を疑います。痺れや手足の動かしにくさ、ろれつが回らないなどの症状を認めた場合はすぐに救急車を要請してください。
受診の目安・何科を受診するべきか
椎骨動脈解離が疑われる場合、何科を受診したらよいですか? また、受診の目安はありますか?
首の後ろや後頭部に痛みを感じたら、早めに脳神経外科や脳神経内科を受診しましょう。痛みが強い場合やめまい・吐き気がある場合は救急車を呼んでください。
椎骨動脈解離の治療は、主に脳神経外科や脳神経内科で行います。後頭部や首の後ろ側に痛みを感じたら、受診のうえ医師に相談してみてください。
ただし、くも膜下出血や脳梗塞を引き起こしている場合には緊急の治療が必要になる場合が多いため、以下の症状であれば急いで救急車を呼びましょう。
椎骨動脈解離の専門医がいる近くの病院はありますか?
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椎骨動脈解離と診断された場合、どのくらいの期間、安静にする必要があるのでしょうか?
少なくとも1ヶ月以上の安静期間を設けましょう。
くも膜下出血で発症した例では、24時間以内の急性期に再出血することが多いです。ただし、傷ついた血管が修復されるまでは病気が進行する可能性があるので安静にする事が望ましいでしょう。
動脈解離では血管の「内弾性板」という組織に断裂が起こりますが、断裂した内弾性板は再生されず、「内膜」という組織が形作られることによって動脈は修復されます。病状が悪化するリスクは、発症から1ヶ月で10%以下になると言われています。およそ1〜2ヶ月で組織修復が完成されると考えられていますので、少なくともその期間は安静にする必要があります。具体的な安静期間は主治医とよく相談してください。
椎骨動脈解離に関連するその他の質問
椎骨動脈解離はどのような年代で多いですか?
40〜50歳代に多いと言われています。
40〜50歳代の中年期に多く、70歳代以降の高齢者には少ないです。
なお、年代に関してはあくまで一般的な傾向であり、健康状態や生活習慣など個々の状況により異なることにご注意ください。
椎骨動脈解離について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「椎骨動脈解離」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 顔面の筋肉が自由に動かないと感じますか?
- ぐるぐると目を回したときのようなめまいを感じますか?
- 以前に比べて、目の動きが悪く、ある方向に目が動かせない状態ですか?
- 吐き気や嘔吐がありますか?
- 頭痛がありますか?あるいは頭が重いですか?
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この記事の監修医師
原瀬 翔平
亀田総合病院 脳神経内科・内科
University of Washington (理学部、分子細胞生物学) 卒業後、アップルジャパン株式会社勤務を経て、琉球大学医学部に入学。沖縄県立中部病院での初期臨床研修(2016, 2017年度最優秀研修医賞受賞)修了後、2018年4月に亀田総合病院に入職。同院脳神経内科ベスト指導医(2019, 2020)を受賞。2018年から亀田総合病院卒後研修センター長補佐も兼任しており、臨床だけでなく研修病院における医学教育にも力を入れている。2021年には国立循環器病研究センター脳血管内科で超急性期脳卒中診療を行う。 総合内科の視野を持ちながらの脳神経内科領域、特に脳卒中を専門とする。急性期だけでなく予防、慢性期脳卒中による症候性てんかん、高次脳機能評価、リハビリ、等にも精通。頭痛、しびれ、物忘れ等の主訴にも柔軟に対応できる。 日本語、英語(ネイティブ)、中国語(日常会話)での対応も可能。
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- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03