声帯麻痺
監修医師阿河 光治医療法人真生会 真生会富山病院 耳鼻咽喉科
- 更新日
- 2026/06/10
- 公開日
- 2020/09/03
反回神経麻痺とは
のどぼとけの中にある声帯の動きが低下した状態です。声を出すときに左右の声帯が完全に閉じなくなるため、息のもれるような声になります。甲状腺やのどの腫瘍、大動脈瘤、脳の疾患など、様々な病気が考えられますが、原因がはっきりしないこともあります。
反回神経とは何ですか?
反回神経は主に喉にある声帯を動かす神経です。
反回神経は、迷走神経から枝分かれした神経で、その大部分が運動神経で構成されています。
主に内喉頭筋を支配し、声帯の運動を制御する役割を担っています。声帯を動かす神経は、迷走神経として脳から出て首を下降し、鎖骨付近で反回神経としてUターンして喉仏付近まで上昇します。
右反回神経
鎖骨下動脈の下でUターンし、喉頭へ向かう
左反回神経
大動脈弓の下でUターンし、喉頭へ向かう
このように、Uターンをする特徴から「反回」神経と呼ばれています。
「反回神経麻痺」とはどのような病気ですか?
反回神経という声帯を動かす神経が麻痺する病気で、声枯れなどの症状を引き起こします。
反回神経は主に喉にある声帯を動かす神経です。声帯を動かす神経は、迷走神経として脳から出て首を下降し、鎖骨のあたりで反回神経としてUターンして喉仏のあたりまで上がってきます。
鎖骨のあたりでUターンすることから「反回」神経と呼ばれています。
反回神経麻痺は神経が走行する領域の病気(甲状腺がんや肺がんなど)や手術の際に神経を痛めること(術後性)が原因で生じます。
反回神経麻痺では以下のような症状が現れます。
反回神経麻痺による声枯れに対しては以下のような手術を行うことがあります。
- 声帯注入術
- 甲状軟骨形成術I型
- 披裂軟骨内転術
反回神経麻痺の症状
反回神経麻痺の症状が左に多い理由は何ですか?
左反回神経のほうが長い経路をとるため、右よりも病気や手術による影響を受けやすいと考えられています。
反回神経は、主に喉にある声帯を動かす神経です。声帯を動かす神経は、迷走神経として脳から出て首を下降し、鎖骨のあたりで反回神経としてUターンして、喉仏のあたりまで上がってきます。
鎖骨のあたりでUターンすることから「反回」神経と呼ばれています。
左右の反回神経は、それぞれ異なる経路をたどるため、損傷を受ける原因も異なります。
右反回神経
鎖骨下動脈の下でUターンし、喉頭へ向かう
左反回神経
大動脈弓の下でUターンし、喉頭へ向かう
左反回神経のほうが長い経路をとるため、動脈やリンパ節、肺などの異常による影響を受けやすい傾向があります。左側が右側に比べて3倍多いという報告もあります。
反回神経麻痺には初期症状はありますか?
急に声枯れや息苦しさが生じます。
反回神経麻痺は急に声枯れや息苦しさなどが起こる病気です。反回神経は声帯を動かす神経で、左右に1本ずつあります。
神経の麻痺が片側だけに生じるのか両方に生じるのかで症状は異なります。
片側だけの麻痺の場合
片側の声帯が真ん中寄りの場所で動かなくなりますが、反対側の声帯は動きます。
発声時に声門がしっかりと閉じないため、息が漏れるような声(気息性嗄声)になることがあります。
両方の麻痺の場合
両方の声帯が声門の真ん中、もしくはその近傍で動かなくなることで、そこで息の通り道が極端に狭くなります。そのため、声枯れの他にも息苦しさや息を吸うときに喉元で音がする(吸気時喘鳴)ことがあります。
反回神経麻痺ではどのような症状がありますか?
声枯れや呼吸困難が生じることがあります。
反回神経麻痺は声帯を動かす神経で、左右に1本ずつあります。神経の麻痺が片側だけに生じるのか両方に生じるのかで症状は異なります。
片側だけの麻痺の場合
片側の声帯が真ん中寄りの場所で動かなくなりますが、反対側の声帯は動きます。発声時に声門がしっかりと閉じないため、息が漏れるような声(気息性嗄声)になることがあります。
両方の麻痺の場合
両方の声帯が声門の真ん中、もしくはその近傍で動かなくなることで、そこで息の通り道が極端に狭くなります。そのため、声枯れの他にも息苦しさや息を吸うときに喉元で音がする(吸気時喘鳴)ことがあります。
反回神経麻痺の原因
反回神経麻痺の原因は何がありますか?
神経が走行する領域の病気や手術の際に神経を痛めることが原因で生じます。
反回神経麻痺は、神経が走行する領域の病気や手術の際に神経を損傷することが原因で生じます。
反回神経が走行する領域の病気
声帯を動かす神経は迷走神経として脳から出て首を下降し、鎖骨のあたりで反回神経としてUターンして喉仏のあたりまで上がってきます。この神経の走行領域にある以下のような病気が反回神経を損傷すると麻痺を生じます。
手術時の損傷
首や胸の手術の際に反回神経を痛めることで反回神経麻痺を起こすことがあります。
全身麻酔の際の気管内挿管の圧迫による合併症として生じることもあります。
その他にも、水痘・帯状疱疹ウイルスや単純ヘルペスウイルスの再活性化に伴う神経炎によるもの、または原因がはっきりしない特発性の反回神経麻痺があります。
反回神経麻痺の検査・診断
反回神経麻痺のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
以下のような症状や状況がある場合、反回神経麻痺の可能性があります。
- 声のかすれが長引く
- 息が漏れるような話し方になる
- 声が出しにくい
- むせやすい
- 強い息苦しさを感じる
- 息を吸うときに喉仏のあたりから音がする
- 症状は首や胸の病気の手術の後から出現した
- 症状は全身麻酔の手術の後から出現した
また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、反回神経麻痺の可能性をセルフチェックできます。ぜひご活用ください。
反回神経麻痺の治療・対処法
声帯麻痺への対処法は?
麻痺が6ヵ月以上改善しない場合、手術が必要となることがあります。片側の声帯の麻痺でむせこみやすくなっている場合は、飲み込みやすい食事形態を工夫するなど、誤嚥性肺炎の予防に努めましょう。
反回神経麻痺の場合、主にどのような治療をしますか?
声枯れの改善を目的として喉頭枠組み手術を行うことがあります。
原因疾患や発症後の時期によって治療方針は異なりますが、主に以下のような治療法があります。
薬物療法
- ステロイド:神経に生じる炎症やむくみを抑える目的で使用されます。
- ビタミン剤:神経の再生を促す目的でビタミンB12が処方されることがあります。
- 抗ウイルス薬:水痘・帯状疱疹ウイルスや単純ヘルペスウイルスの再活性化に伴う神経麻痺の場合に使用されます。
リハビリ
- 発声訓練:発声時の声門閉鎖力の増強と発声に必要な呼気力の増大を目的として半年〜1年程度発声訓練を行います。
手術
- 声帯注入術:アテロコラーゲンや自家脂肪、筋膜などを声帯に注入して、発声時の空気の漏れを防ぎます。
- 喉頭枠組み手術:喉仏にある軟骨の位置を調整します。甲状軟骨形成術I型、披裂軟骨内転術などがあります。
受診の目安・何科を受診するべきか
反回神経麻痺が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?
声枯れが続く場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。
以下のような症状がある場合医療機関の受診が推奨されます。
緊急性が高く、すぐに受診が必要な状態
- 強い息苦しさを感じる
- 息を吸うときに喉仏のあたりから音がする
緊急性は高くないが、医療機関の受診が必要な状態
- 声のかすれが長引く
- 息が漏れるような話し方になる
- 声が出しにくい
- むせやすい
反回神経麻痺を診断するためには喉の内視鏡検査が必要です。
反回神経麻痺が疑われる場合には耳鼻咽喉科のクリニックを受診しましょう。
緊急性が高い場合には救急受診が必要なこともあります。
反回神経麻痺が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
耳鼻咽喉科を受診しましょう。
反回神経麻痺の診断には喉の内視鏡検査を行って声帯の動きを確認する必要があります。
その他に、反回神経麻痺を起こす原因を調べるために以下のような検査をすることがあります。
超音波検査
甲状腺がんや首のリンパ節の腫れがないか、首の超音波検査をして確認します。
画像検査
首や胸の病気がないか確認するためにCT検査を行います。頭の病気がないか頭部MRIを撮影することもあります。
採血
ウイルスが原因かどうか確認するために水痘・帯状疱疹ウイルスや単純ヘルペスウイルスの抗体価測定を行います。
喉のファイバースコープ検査は耳鼻咽喉科で受けられますので、反回神経麻痺が疑われる場合は、近くの耳鼻咽喉科を受診しましょう。
声帯麻痺の専門医がいる近くの病院はありますか?
声帯麻痺の専門医がいる病院を見る反回神経麻痺の薬
反回神経麻痺は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
ステロイドやビタミン剤などで治療することがあります。
原因疾患や発症後の時期によって治療方針は異なりますが、主に以下のような薬で治療します。
ステロイド
神経に生じる炎症やむくみを抑える目的で使用されます。主な副作用には以下のようなものがあります。
- 消化性潰瘍
- 糖尿病(血糖上昇)
- 緑内障(眼圧上昇)
- 白内障
- 不眠症など
ビタミン剤
神経の再生を促す目的でビタミンB12製剤であるメコバラミン(メチコバールⓇ︎)が処方されることがあります。
抗ヘルペスウイルス薬
水痘・帯状疱疹ウイルスや単純ヘルペスウイルスの再活性化に伴う神経麻痺の場合に使用されます。
アシクロビル(ゾビラックスⓇ︎)、バラシクロビル(バルトレックスⓇ︎)、ファムシクロビル(ファムビルⓇ︎)、アメナメビル(アメナリーフⓇ︎)などがあります。
尿中に排泄される薬の主な副作用に腎障害があります。
対処法・セルフケア
反回神経麻痺の場合、日常生活で気を付けることはありますか?
声の衛生管理に気をつけましょう。
反回神経麻痺では、声枯れが主な症状であることが多いです。声枯れをきたす他の病気と同様に、以下のような声の衛生管理に気をつけることが重要です。
声の衛生管理
- 無理に大声を出さない
- 長時間話し続けない
- 加湿器の使用や水分補給を心がけて、のどが乾燥しないようにする
- 喫煙や過度の飲酒を控える
症状が悪化したり、改善が見られない場合は、耳鼻咽喉科の主治医やリハビリ担当の方と相談しながら適切な対応を行いましょう。
反回神経麻痺で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
声枯れの改善を目的とした手術を検討することがあります。耳鼻科の医師に相談してください。
原因にもよりますが、反回神経麻痺による声枯れは薬物療法で改善しないことも多くあります。
そのような場合には声枯れの改善を目的として以下のような手術を行うことがあります。
声帯注入術
アテロコラーゲンや自家脂肪、筋膜などを声帯に注入して、発声時の空気の漏れを防ぎます。外来での局所麻酔でできるものと、入院し全身麻酔で行うものがあります。
喉頭枠組み手術
喉仏にある軟骨の位置を調整します。甲状軟骨形成術I型、披裂軟骨内転術などがあります。局所麻酔で音声を確認しながら行うことが多くあります。
反回神経麻痺に関連するその他の質問
声帯麻痺の原因は何がありますか?
手術の合併症や首や胸の腫瘍、ウイルス感染などがあります。
声帯麻痺は、声帯を動かす神経(反回神経)の損傷や機能障害によって生じます。原因としては、神経が走行する領域の病気や手術による神経の損傷などが挙げられます。
声帯を動かす神経が影響を受ける病気
声帯の運動を制御する神経は、迷走神経から分岐した反回神経であり、脳から首を下降し、鎖骨付近でUターンして喉仏のあたりまで上がってきます。この神経の通り道に以下のような病変があると、神経が圧迫・損傷され、声帯麻痺を引き起こすことがあります。
手術による神経損傷
首や胸の手術の際に、声帯を動かす神経が損傷を受けることで声帯麻痺が発生することがあります。特に、以下の手術ではリスクが高まります。
- 甲状腺手術
- 頸部や縦隔のリンパ節郭清
- 食道や肺の手術
- 心臓・大血管手術(大動脈瘤の手術など)
また、全身麻酔時の気管内挿管の圧迫によって、神経が損傷し、声帯麻痺が生じることもあります。
その他の原因
反回神経麻痺について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「声帯麻痺」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 声がかすれていますか?
- 息苦しさを感じますか?
- ゼーゼー・ヒューヒューするような呼吸音がしますか?
- 普段から声が小さく、大声が出せないですか?
- せきが出ていますか?
反回神経麻痺に関連する病気・症状
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この記事の監修医師
阿河 光治
医療法人真生会 真生会富山病院 耳鼻咽喉科・老年科
【経歴】 金沢大学医学部医学科卒業 金沢大学附属病院 金沢医科大学病院 富山県立中央病院 厚生連高岡病院 ノースカロライナ大学がんセンター
- 更新日
- 2026/06/10
- 公開日
- 2020/09/03