脂肪塞栓

監修医師白石 達也東日本橋内科クリニック 内科

更新日
2026/10/27
公開日
2020/09/03

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脂肪塞栓とは

「脂肪塞栓」とはどのような病気ですか?

脂肪が血管を詰まらせ、呼吸や意識に影響を及ぼす病気です。

脂肪塞栓症候群は、骨折などの大きなケガや手術のあとに、骨の中にある脂肪が血管の中に入り込み、肺や脳などの大切な臓器の細い血管を詰まらせてしまう病気です。これにより、息苦しさ、意識がぼんやりする、皮膚に小さな赤い点々ができるなどの症状が現れます。脂肪の粒が物理的に血管を塞ぐだけでなく、体の中で炎症(体の防御反応)が起こることも、病気を悪化させる原因と考えられています。

この病気は、適切な治療が遅れると命に関わることもあるため、早期の発見と対応が非常に重要です。特に、大きな骨折をしたあとには注意が必要です。発症は多くが受傷/手術後24~72時間(1~3日)に出現します。

さらに詳しく:「脂肪塞栓」とはどのような病気ですか?監修医師栗原 信吾北水会記念病院 整形外科
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脂肪塞栓の症状

脂肪塞栓には初期症状はありますか?

息苦しさ、脈が速くなる、熱が出る、意識が少し変わるなどがあります。

脂肪塞栓症候群の初期には、軽度の息苦しさ、脈が速くなる(頻脈)、熱が出る、落ち着きがなくなる、あるいは意識が少しぼんやりするといった症状が現れることがあります。これらの症状は、他の病気でも見られることがあるため、脂肪塞栓だとすぐに気づくのは難しい場合もあります。

しかし、大きなケガをしたあとや手術後に、これらの症状が見られた場合は注意が必要です。症状が進行すると、より重篤な状態になる可能性があるため、早期に医療機関を受診することが大切です。これらの初期症状は非特異的であるため、他の病態との鑑別が重要になります。

さらに詳しく:脂肪塞栓には初期症状はありますか?監修医師栗原 信吾北水会記念病院 整形外科

脂肪塞栓ではどのような症状がありますか?

息苦しさ、意識がぼんやりする、皮膚に赤い点々ができるのが主な症状です。

脂肪塞栓症候群の代表的な症状は、大きく分けて3つあります。

  • ひとつ目は「呼吸の症状」で、息苦しさ、呼吸が速くなる、体の中の酸素が足りなくなるなどです。
  • 2つ目は「脳の症状」で、意識がぼんやりする、混乱する、けいれんなどが起こります。
  • 3つ目は「皮膚の症状」で、体の上の部分や目の結膜(白目の部分)に小さな赤い点々(点状出血)が現れます。

これらの症状は、原因となるケガや手術から、だいたい1日から3日後に現れることが多いとされています。これらの症状が同時に現れる場合は、特に注意が必要です。症状の現れ方には個人差があり、すべての症状が揃わないこともあります。

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脂肪塞栓の原因

脂肪塞栓は骨折が原因で起こりますか?

はい、特に太ももや骨盤の骨折は脂肪塞栓の主な原因となります。

脂肪塞栓症候群の最も一般的な原因は、太ももの骨(大腿骨)やすねの骨(脛骨)のような長い骨、または骨盤の骨折です。骨が折れることで、骨の中にある骨髄(こつずい)という部分の脂肪組織が壊れて、血管の中に入り込んでしまいます。

骨折の程度がひどいほど、また骨折した範囲が広いほど、脂肪塞栓が起こるリスクが高くなると考えられています。骨折以外にも、人工関節の手術や重度のやけどなども原因となることがありますが、骨折が最も頻度の高い原因です。

さらに詳しく:脂肪塞栓は骨折が原因で起こりますか?監修医師栗原 信吾北水会記念病院 整形外科

骨折で脂肪塞栓が起こるのはなぜですか?

骨折で骨髄の脂肪が血管に入り込み、それが詰まるためです。

骨折が起こると、骨の内部にある骨髄を構成する骨まで傷つきます。骨髄にはたくさんの脂肪細胞が含まれており、この傷によって脂肪の粒(脂肪滴)が血管の中に押し出されてしまいます。血管の中に入った脂肪の粒は、血液の流れに乗って肺などの臓器に運ばれ、その臓器の細い血管を物理的に詰まらせてしまいます。

また、脂肪の粒が体の中で炎症反応を引き起こすことも、脂肪塞栓症候群の原因となります。この一連の反応が、呼吸困難や意識障害などの症状を引き起こすのです。

さらに詳しく:骨折で脂肪塞栓が起こるのはなぜですか?監修医師栗原 信吾北水会記念病院 整形外科

脂肪塞栓の原因は何がありますか?

主に太ももや骨盤の骨折、大きなケガ、整形外科の手術などが原因です。

脂肪塞栓症候群の最も一般的な原因は、太ももの骨(大腿骨)や、すねの骨(脛骨)のような長い骨の骨折、または骨盤の骨折といった、体の大きな部分の骨折です。

骨が折れることで、骨の中にある骨髄(こつずい)という部分の脂肪が血管の中に入り込んでしまいます。その他にも、人工関節を入れる手術などの整形外科の手術、ひどいやけど、急性膵炎(すいえん)、脂肪吸引術なども原因となることがあります。

これらの状況で、骨髄の脂肪が血管内に押し出され、血流に乗って全身に運ばれることで発症します。骨折の程度が重いほど、また骨折部位が広範囲であるほど、発生リスクが高まると考えられています。

さらに詳しく:脂肪塞栓の原因は何がありますか?監修医師栗原 信吾北水会記念病院 整形外科
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脂肪塞栓の検査・診断

脂肪塞栓のセルフチェックはできますか?

解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。

脂肪塞栓の特徴を、以下に記載します。

  • 大きな骨折や重いケガ、手術のあとに症状が出た
  • 息苦しさや呼吸が速くなる症状がある
  • 意識がぼんやりしたり、混乱したりする
  • 体の上の部分や目の結膜に小さな赤い点々(点状出血)がある
  • 脈が速くなったり、熱が出たりする

上記のうち、複数個以上当てはまる場合には脂肪塞栓の可能性が考えられます。ただし、これらの症状は他の病気でも見られることがあるため、自己判断はせず、必ず医療機関を受診してください。

また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めると、脂肪塞栓のセルフチェックができます。ぜひご活用ください。

さらに詳しく:脂肪塞栓のセルフチェックはできますか?監修医師栗原 信吾北水会記念病院 整形外科
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脂肪塞栓の治療・対処法

脂肪塞栓はステロイドで治療しますか?

炎症を抑える目的で使うことがありますが、効果についてはまだ議論があります。

脂肪塞栓症候群の治療において、ステロイド(副腎皮質ホルモン)は、脂肪の粒によって引き起こされる体の中の炎症反応を抑える目的で使われることがあります。しかし、ステロイドがこの病気にどれくらい効果があるかについては、研究者や医師の間でまだ意見が分かれており、はっきりと効果があるとは言いきれません。

ステロイドには、感染症にかかりやすくなる、血糖値が上がるなどの副作用もあるため、使うかどうかは医師が患者さんの状態をよく見て、良い点と悪い点を慎重に考えて判断します。あくまで対症療法のひとつとして検討されるものです。

さらに詳しく:脂肪塞栓はステロイドで治療しますか?監修医師栗原 信吾北水会記念病院 整形外科
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受診の目安・何科を受診するべきか

脂肪塞栓が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?

大きな骨折後、息苦しさ、意識障害、全身の赤い点々があれば緊急受診が必要です。

太ももの骨や骨盤など、体の大きな骨を骨折したり、重いケガをしたあと、数時間から数日以内に、息が苦しい、意識がはっきりしない、皮膚に小さな赤い斑点(点状出血)が出てきた場合は、脂肪塞栓症候群の可能性が非常に高いです。

これらの症状は命に関わる危険があるため、迷わずにすぐに救急車を呼ぶか、救急医療機関を受診してください。特に、呼吸が速い、脈が速い、熱があるなどの症状が加わると、さらに緊急性が高まります。これらの症状は、時間とともに悪化する可能性があるため、迅速な対応が求められます。

さらに詳しく:脂肪塞栓が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?監修医師栗原 信吾北水会記念病院 整形外科

脂肪塞栓が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?

重いケガのあとなら、救急科や整形外科、集中治療室のある病院を受診してください。

脂肪塞栓症候群は、大きなケガや手術のあとに起こることが多いため、通常はすでに救急病院や入院中の病院で治療を受けている間に診断されることが多いです。もし、大きなケガをしたあとに、息苦しさや意識がぼんやりするなどの症状が出た場合は、すぐに救急車を呼ぶか、救急外来を受診してください。

専門の医師としては、救急科、整形外科、集中治療科の医師が協力して治療にあたります。これらの科がある総合病院や大学病院など、高度な医療を提供できる施設が望ましいでしょう。自己判断せずに、速やかに専門医の診察を受けることが重要です。

さらに詳しく:脂肪塞栓が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?監修医師栗原 信吾北水会記念病院 整形外科

脂肪塞栓の専門医がいる近くの病院はありますか?

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脂肪塞栓の薬

脂肪塞栓は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?

特効薬はなく、酸素や点滴などで体を支える治療が中心です。ステロイドを使うこともあります。

脂肪塞栓症候群に、この病気だけを治すという特効薬は残念ながらありません。治療は、主に症状を和らげ、体の機能を保つための「対症療法」が中心です。

具体的には、呼吸を助けるための酸素投与や人工呼吸器、体の血液の巡りを安定させるための点滴や血圧を上げる薬などが使われます。炎症を抑える目的でステロイド(副腎皮質ホルモン)が使われることもありますが、その効果についてはまだ意見が分かれており、感染症にかかりやすくなる、血糖値が上がるなどの副作用も考慮されます。

これらの治療は、患者さんの状態に合わせて慎重に選択され、副作用にも注意しながら行われます。

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脂肪塞栓の経過・予後

脂肪塞栓の予後はどうなりますか?

早期治療で回復しますが、重症だと後遺症や死亡のリスクがあります。

脂肪塞栓症候群のその後の経過(予後)は、病気の重さ、そして早く病気を見つけて、適切な集中治療を受けられたかどうかによって大きく変わります。

軽い症状のケースでは、完全に回復することが多いですが、重い症状のケースでは、呼吸がうまくできない状態が続いたり、脳に障害が残ったりする(例えば、物忘れがひどくなるなど)可能性があります。

最悪の場合、命を落とすこともあります。集中治療室での管理が、回復をよくするために非常に重要です。回復後も、リハビリテーションが必要となる場合があります。

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対処法・セルフケア

脂肪塞栓の場合、日常生活で気をつけることはありますか?

日常生活の注意より医療機関での治療が重要です。

脂肪塞栓症候群は、通常、大きなケガや手術のあとに起こる、非常に重い病気です。そのため、発症した場合は、集中治療室などで厳重な管理が必要となります。

日常生活で「気をつけること」というよりも、発症するリスクのある大きなケガをしたあとには、安静にして、医師の指示に従って治療を受けることが最も大切です。

病気が回復したあとは、体の機能を元に戻すためのリハビリテーションに取り組むことになります。予防としては、骨折などの外傷を避けることが重要ですが、万が一発生した場合は、速やかに医療機関を受診することが最善の対応です。

さらに詳しく:脂肪塞栓の場合、日常生活で気をつけることはありますか?監修医師栗原 信吾北水会記念病院 整形外科

脂肪塞栓で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?

薬が効かない場合は、集中治療室で全身管理が必要です。

脂肪塞栓症候群には特効薬がなく、薬は症状を和らげるための対症療法が中心です。もし薬を使っても症状が改善しない場合は、病状が重いことを示しており、集中治療室(ICU)でのより高度な全身管理が必要となります。

具体的には、人工呼吸器による呼吸のサポートや、点滴・昇圧剤による循環の維持、さらにはECMO(エクモ)と呼ばれる体外式の生命維持装置の使用も検討されます。これらの治療は、体の機能を一時的にサポートし、回復を待つための重要な手段です。

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脂肪塞栓に関連するその他の質問

脂肪塞栓の死亡率はどのくらいですか?

報告により異なりますが、重いケースでは10~20%程度とされています。

脂肪塞栓症候群で亡くなる方の割合(死亡率)は、病気の診断基準や重症度、治療の進歩によってさまざまな報告がありますが、一般的には、特に症状が重いケースでは10~20%程度とされています。軽い症状のケースも含めると、もっと低い割合になることもあります。

早く病気を見つけて、適切な集中治療を行うことで、回復する可能性は高まりますが、ひどい呼吸不全や複数の臓器が機能しなくなる「多臓器不全」を合併すると、亡くなるリスクが高まります。しかし、医療の進歩により、以前に比べて死亡率は低下傾向にあります。

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脂肪塞栓について、医師からのよくある質問

医師からよくある質問はありますか?

「脂肪塞栓」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。

  • 息苦しさを感じますか?
  • 頭がボーっとする、すっきりしない感じがしますか?

最新のガイドライン・医療水準を取り込んだデータベースを元に関連する病気・症状を表示しています。

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この記事の監修医師

監修医師 白石 達也

白石 達也 先生

東日本橋内科クリニック 内科・循環器内科

京都大学医学部卒。田附興風会医学研究所北野病院で臨床研修、仁生社江戸川病院で循環器内科医として勤務。Ubie社での勤務を経て、東日本橋内科クリニック院長。

更新日
2026/10/27
公開日
2020/09/03