網膜色素線条症は主にどのような薬で治療しますか？副作用はありますか？

網膜色素線条症そのものに対する根本的な治療薬は、現在のところありません。

ただし、この疾患に合併しやすい脈絡膜新生血管が原因で、視力低下が生じた場合には、抗VEGF薬(血管新生を抑える薬)による治療を行います。

抗VEGF薬は、異常な血管の成長を抑え、出血やむくみ（浮腫）を軽減することを目的としており、視力の維持や改善が期待できます。

代表的な薬剤には、ラニビズマブ（ルセンティスⓇ）、アフリベルセプト（アイリーアⓇ）などがあります。

これらの薬剤は、月に1回程度の頻度で眼内（硝子体内）に注射され、病状に応じて間隔を調整しながら継続的に投与されます。

治療に伴う副作用としては、結膜出血や眼圧上昇、一時的なかすみや異物感など軽微なものが多いですが、まれに眼内炎（細菌感染）といった重篤な合併症が起こることもあります。

また、全身的な副作用として、脳梗塞や心筋梗塞のリスクがわずかに報告されていますが、頻度は非常に低いとされています。

網膜色素線条症に合併した脈絡膜新生血管に対しては、抗VEGF薬による早期治療が視力を守るうえで非常に重要です。

治療は必ず眼科専門医のもとで行い、副作用についても十分に理解したうえで継続することが大切です。