網膜色素線条症と網膜色素変性症の違いはなんですか?

それぞれの原因や症状、経過、治療法には大きな違いがあります。

解説

網膜色素線条症と網膜色素変性症は、名前が似ているため混同されがちですが、実際にはまったく異なる性質を持つ疾患です。それぞれの原因や症状、経過、治療法には大きな違いがあります。

網膜色素線条症は、網膜の深部にあるブルッフ膜という組織が加齢や遺伝的要因、または特定の全身疾患によって脆くなり、色素線条という亀裂が眼底に現れる病気です。

初期には自覚症状がないことも多いですが、ブルッフ膜の破綻によって脈絡膜新生血管が生じると、出血やむくみによって、急激な視力低下や歪み(変視症)が起こることがあります。

このような合併症に対しては、抗VEGF薬(血管新生を抑える薬)による治療が効果的であり、早期の介入によって視力を維持することが可能です。

一方、網膜色素変性症は、主に遺伝子の異常によって引き起こされる進行性の網膜疾患です。

視細胞、特に暗いところで物を見るために重要な細胞が徐々に機能を失っていくことで、夜盲(夜や暗所で見えにくくなる)、視野の周辺から中心に向かって狭まる視野異常がみられます。

発症年齢は個人差がありますが、多くは若年期から中年期にかけて症状が現れ、ゆっくりと進行していきます。

現時点で根本的な治療法はなく、対症療法や視覚補助、遺伝子治療の研究が進められています。

このように、網膜色素線条症は、主に構造的な問題によって突然視力が障害されるリスクがある疾患であり、治療可能な合併症が存在します。

一方で、網膜色素変性症は視細胞自体が徐々に失われていく進行性の病気であり、視覚障害が長期にわたって進行することが特徴です。

両者はまったく異なる機序で視力に影響を及ぼすため、正確な診断とそれに応じた対応が重要です。

公開日

最終更新日

東北大学病院 眼科

山口 知暁 監修

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