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どのような人が尿路結石になりやすいですか?
東京大学大学院医学系研究科 泌尿器外科学 泌尿器科
秋元 隆宏 監修
中高年の方や男性の方が比較的なりやすいです。生活習慣や遺伝的な要因も影響します。
結石の場所によって特徴が異なります。また、遺伝が関係するものもあります。
結石の場所に関連するもの
尿路結石は、上部尿路結石(腎結石、尿路結石)と下部尿路結石(膀胱結石、尿道結石)に分けられます。
上部尿路結石(腎結石、尿路結石)の場合
2015年の報告では、初めて発症した年齢で見ると男性は50歳代、女性は60歳代が多く、2005年の報告よりも年齢層が上がっているようです。男女比で見ると、2015年の報告では、男性:女性は約2.2:1程度で、2005年の報告とほぼ同等で推移しています。
肥満、糖尿病、高血圧、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病は、尿の成分などの変化も引き起こし、上部尿路結石の発症リスクを高めると報告されています。
また、ご家族に尿路結石にかかったことのある方がいる場合、発症率が高く、また通常より低年齢で発症しやすいという報告があります。
なお、尿路結石による痛みの発作は四季のある地域では夏に起こりやすく、気温が20℃以上で多くなるという報告があります。また、高気圧より低気圧の時に生じやすいとの報告もあります。ただし、1年を通して寒冷な地域や、1日のうちの寒暖差が大きい地域にお住まいの方などにはこの傾向は当てはまらないという報告もあるようです。
下部尿路結石(膀胱結石、尿道結石)の場合
2015年の報告では、男女ともに80歳以上が多いです。男女比で見ると、2015年の報告では、男性:女性は約4.6:1程度で、2005年の報告より男性が増えています。
小児では、栄養不足の食事、排尿機能障害、後部尿道弁や膀胱尿管逆流などの生まれつきの異常で生じやすいです。成人では、下部尿路結石は上部尿路結石と比較すると稀ですが、膀胱から尿を排出しにくい場合や、膀胱内に尿道バルーンカテーテルなどの異物がある場合に生じやすいという報告があります。原因としては、例えば男性では、尿道狭窄や前立腺肥大症、膀胱憩室、神経因性膀胱などが挙げられます。女性では、子宮脱、膀胱瘤、骨盤手術後、神経因性膀胱、子宮内や腟内のデバイスによる影響等の報告があります。
遺伝が関係するもの
以下のような先天性代謝異常によって、結石になりやすい成分が尿の中にたくさん出てしまう方がいます。
- シスチン尿症
- キサンチン尿症
- 原発性高シュウ酸尿症
- 遠位尿細管アシドーシス
左腹部と背中の痛みあり、膵臓が心配です。何科を受診すべきでしょうか?
お腹の痛みがあり、どの科を受診すればよいか教えてください。痛みは左側の上腹部から下腹部、みぞおちにかけてで、もう2ヶ月くらい続いています。徐々に悪化しています。背中の痛みや便秘、吐き気もあります。膵臓に問題があるのか心配です。以前も同じような症状でいろいろな科を回されました。どの診療科に行けばよいか教えてください。
60代 / 女性
2ヶ月も腹痛があり心配ですね。 いただいた情報をもとに精一杯回答させていただきます。
大腸、膵臓、腎臓などの病気の可能性
まず、あなたが経験している2ヶ月前から始まり、徐々に悪化している左上腹部から下腹部にかけての腹痛、便秘、背中の痛み、そして吐き気は、いくつかの疾患の可能性を示唆しています。 最も注意すべき疾患としては大腸憩室炎、虚血性大腸炎、閉塞性大腸炎、大腸癌、脾梗塞などです。その他の疾患の候補としては、慢性膵炎、尿管結石、腎盂腎炎、腹部大動脈瘤、細菌性胃腸炎などが挙げられます。これらの病気は、あなたの症状と一致する可能性があります。膵臓との関連についてのご質問がありますが、膵臓の問題、特に膵炎もこのような症状を引き起こす可能性があります。
消化器内科や総合内科を受診しましょう
受診すべき科については、症状の範囲と重篤さを考慮すると、消化器内科、または総合内科が適切です。 これらの科では、血液検査、腹部エコー、CTスキャンなどを用いて、正確な診断を下すことができます。特に、腹痛が非常に強く、吐き気・嘔吐があり、症状が悪化していることから、早急な医療機関への受診が推奨されます。重篤な疾患を示唆する兆候としては、痛みの強さ、症状の持続時間、吐き気・嘔吐の頻度、便秘や背中の痛みなどがあります。これらの症状は、内臓の重大な問題を示している可能性があり、特に腸穿孔などは、放置すると生命を脅かす可能性があります。
受診の目安として、痛みが強く持続している、吐き気・嘔吐がある、便秘や背中の痛みが伴う場合は、これらが内臓の重大な問題を示している可能性があるため、早急に医療機関を受診することが重要です。
この度は、ユビーかんたん医師相談でご相談いただきありがとうございます。ほかにも気になることがございましたら、いつでもご相談ください。
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左脇背部の軽い痛みがあります。様子見してもよいでしょうか?
3日前から右上腹部の痛みが突然でてきました。立ち上がったり、身体を動かしたりすると痛みがでます。左脇腹や背中も少し痛くなってきています。痛い場所は指で示せるほど限られています。昨日、消化器内科でエコー検査を受けましたが、特に異常は見つかりませんでした。明日は泌尿器科の受診予定で、尿に潜血があり漢方薬を処方されています。2週間前のエコー検査でも異常はありませんでした。不安障害で精神科にも通院中です。最近、勉強で忙しくストレスが多いです。明日の泌尿器科受診まで待っても大丈夫でしょうか?
60代 / 女性
3日前に突然始まった右上腹部の肋骨の痛みについてのご相談ですね。 いただいた情報をもとに精一杯回答させていただきます。
筋肉や骨、神経の痛みが考えられます
すでに消化器内科を受診しエコー検査を受け、異常が見つからなかった点、動作や体勢・姿勢を変えたときに痛みが悪化する点から、内臓の問題よりも、筋肉や骨、神経が原因の痛みが想定されます。 痛い場所は指で示せるほど限られているということも踏まえると、考えやすいのは以下の4つです。
肋骨骨折
覚えていないような軽微な外傷でも、肋骨にヒビが入っているということはあります。整形外科を受診して、診察を受けることをお勧めします。
帯状疱疹
今のところ患部に赤みはないとのことですが、帯状疱疹は、痛みが出現してから数日後に特徴的な発疹(赤く腫れ、水ぶくれができる)が現れることが多いです。また、帯状疱疹は一般的には体の半分側だけ(右だけ、あるいは左だけ)に出ることが多いです。なので、同じ痛みが左側にも出てきたことを鑑みると、可能性は下がるかもしれませんが、もし皮膚の異常が出てくるようなら、皮膚科を受診してください。
肋骨すべり症候群
肋軟骨や肋骨靭帯が緩くなり動きやすくなった肋骨が肋間神経にぶつかることで痛みを生じる病気です。身体をひねったり、前屈みになる動きで疼痛が誘発される場合が多いです。こちらも整形外科で診てもらうことができます。通常は痛み止めを飲むことで自然に良くなります。
前皮神経絞扼症候群、側皮神経絞扼症候群、後皮神経絞扼症候群
皮膚へと伸びる神経が締め付けられることで痛みを生じる病気です。局所麻酔薬を注射することでよくなることが多いです。内科、あるいは整形外科で診てもらうことができます。
泌尿器科は基本的には予定通りでよいと考えます
次に、尿潜血との関連、泌尿器科受診を急ぐかどうかについてです。 尿管結石は、突然背部に痛みが生じ、血尿が出ます。尿管結石の場合は、安静にしていても痛みが強いことが多いですし、少し可能性は低そうです。泌尿器科受診は予定通りで構わないと思いますが、もし痛みが急に強くなった場合や痛みの位置が移動した場合、肉眼的にも血尿が出ている場合は、すぐに救急病院を受診することをお勧めします。
まとめますと、まずは整形外科を受診して痛みについて相談してください。皮膚に異常があれば皮膚科です。泌尿器科は予定通りで構いません。もしこれらで異常が見つからなかったり、自然に良くならない場合は、心身症といって心理的なストレスなどが痛みを誘発している可能性も考えられます。すでにかかっている精神科で相談してみても良いかもしれません。
以下は、上記の病気に関連したご提案です。骨折の有無に関わらず、65歳以上の女性は、骨粗鬆症がないかを調べるための骨密度検査を受けることが勧められています。整形外科を受診した際に、骨密度検査について相談してみることもご検討ください。また、今回の症状が帯状疱疹ではなかったとしても、50歳以上の方には予防のために帯状疱疹ワクチン接種が推奨されていますので、よろしければこちらもご検討ください。
この度は、ユビーかんたん医師相談でご相談いただきありがとうございますほかにも気になることがございましたら、いつでもご相談ください。
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(参考文献)
日本泌尿器科学会,日本泌尿器内視鏡学会,日本尿路結石症学会.. 金原出版2013.
Sakamoto S, Miyazawa K, Yasui T, et al. Chronological changes in the epidemiological characteristics of upper urinary tract urolithiasis in Japan. Int J Urol. 2018, 25, p.373-378.
Sakamoto S, Miyazawa K, Yasui T, et al. Chronological changes in epidemiological characteristics of lower urinary tract urolithiasis in Japan. Int J Urol. 2019, 26, p.96-101.
Athanasios G Papatsoris et al. Bladder lithiasis: from open surgery to lithotripsy. Urol Res. 2006, 34, p.163-167.
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