不良肉芽の原因は何がありますか？

【不良肉芽の定義】

不良肉芽とは、創傷治癒の過程が適切に進んでいない状態で見られる、増殖力が低下した結合組織です。表面は粗く淡紅色、または暗赤色の外観を呈します。触れるとすぐ崩れて出血しやすいような、明るい赤色や薄いピンク色の脆弱な肉芽組織は、多くの場合、感染を伴う不良肉芽です。

【不良肉芽の主な原因（創傷治癒の阻害因子）】

不良肉芽の発生は、創傷治癒を妨げる「局所的要因」と「全身的要因」に起因します。

1. 局所的要因（創部の問題）

• 感染：創部に細菌が過剰に増殖すると組織が破壊され、治癒が大幅に遅れたり停止したりします。感染は創傷治癒を阻害する最大の局所因子です。
• 壊死組織・異物：死んだ組織や異物が創内に残っていると、物理的な障害となるほか、細菌の温床となり感染を伴い治癒を遅らせます。
• 血流・酸素不足：圧迫や血管の病気（動脈硬化症など）により、組織に十分な酸素や栄養が届かないと、コラーゲンの合成などが低下し、治癒の進行が大幅に遅れます。

2. 全身的要因（患者さんの体の問題）

• 栄養障害：低栄養状態や、蛋白質、亜鉛などの微量元素の不足は、細胞の活動やコラーゲン合成を妨げ、治癒を遅延させます。
• 基礎疾患の影響：糖尿病（高血糖）は感染の危険性を高め、創の治癒を妨げます。
• 薬物の影響：ステロイドの長期投与は、炎症や組織の増殖を抑制し、創傷治癒を遅らせます。