不良肉芽で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?

感染制御のため、増殖力が低下した不良肉芽や壊死組織の除去(デブリードマン)を徹底します。

【不良肉芽とは】

不良肉芽は、創傷治癒に必要な細胞の増殖力が落ち、色が薄い(淡紅色や暗赤色)組織です。外用薬を使っても治癒が進まない場合、多くは創部に細菌が増えすぎている「限界保菌状態(critical colonization)」や「感染」が治癒を妨げているサインです。

【主な対処法】

このような場合、薬の力だけに頼らず、物理的に細菌負荷や治癒を妨げる組織を取り除く「創面環境調整(Wound Bed Preparation)」を徹底します。

  • デブリードマン:不良肉芽や壊死組織は、外科的なメスやハサミなどを使って積極的に取り除くことが基本です。これにより、治癒を遅らせる細菌の温床(限界保菌状態)を排除します。
  • 創洗浄:創部を生理食塩水や水道水で十分に洗い、細菌数を減らします。これは慢性創傷の必須の処置です。
  • 排膿(切開):皮膚の下に膿が溜まっている(皮下膿瘍)場合は、切開して膿を出す処置(排膿)が必要です。
  • 全身管理:感染が全身に広がる危険がある場合や、全身症状がある場合には、抗生剤の点滴や飲み薬(全身投与)も検討されます。
  • 血流の確保:創部に十分な血流がない場合、デブリードマンは、かえって組織の壊死を進めるため禁忌です。この場合は、まず血流を回復させる治療(血行再建)を優先します。

創部の状態に合わせて、適切な湿潤環境を維持することも重要です。

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日本医科大学付属病院形成外科 形成外科

初岡 佑一 監修

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