不良肉芽は切除したほうがよいですか?

不良肉芽や活性のない組織は創傷治癒を妨げるため、切除(デブリードマン)が必要です。

【不良肉芽の定義と問題点】

不良肉芽(ふりょうにくげ)とは、傷を治すためにできる、活力が落ちた組織のことです。健康な肉芽が鮮やかな赤色であるのに対し、不良肉芽は以下のような特徴を持ちます。

  • 表面が粗(あら)く、色が薄いピンクや暗赤色をしています。
  • 触れると崩れやすく、出血しやすい脆(もろ)い状態です。
  • 多くの場合、感染や炎症がうまく制御できていない状態と判断されます。

【切除(デブリードマン)の必要性】

不良肉芽や壊死組織、異物などの「活性のない組織」は、傷の治り(創傷治癒)を邪魔する大きな原因(局所的要因)となるため、これらを取り除くこと(デブリードマン)が治療の基本です。

  • 植皮術の準備:不良な肉芽の上には皮膚移植(植皮術)を計画しても成功しないため、切除して良好な肉芽を作る必要があります。
  • 感染の制御:細菌が多く存在する状態(限界保菌状態など)では、不良肉芽や膿苔(うみのかす)などを連日(毎日)除去することが、感染を抑えるのに有効です。

デブリードマンの方法には、メスやハサミを使う「外科的デブリードマン」や、ガーゼを使って徐々に除去する「機械的デブリードマン(例:wet to dry dressing法)」など、創傷の状態に合わせて選ばれます。

【重要な注意点】

血行が極端に悪い場合(虚血状態など)には、切除によって組織の壊死が進んでしまう可能性があるため、デブリードマンは禁忌(禁止)とされています。

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日本医科大学付属病院形成外科 形成外科

初岡 佑一 監修

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