慢性疲労症候群
監修医師阿部 吉倫内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
慢性疲労症候群とは
身体的な原因が乏しいにも関わらず、疲れがとれずにエネルギーが満たず、生活に著しい影響を数ヶ月から年単位で与える疾患です。
慢性疲労症候群とはどのような病気ですか?
明らかな原因がないにもかかわらず、長期にわたって日常生活に支障が出るほどの重度の疲労感が続く病気です。
日常生活が損なわれるほどの強い疲労感が、6ヶ月以上の長期にわたって続く病気です。
原因については、ウイルス感染や免疫の異常などとの関連が調べられていますが、まだはっきりとはわかっていません。
なお、慢性疲労症候群は「筋痛性脳脊髄炎」とも呼ばれます。
参考文献
厚生労働省(旧厚生省)慢性疲労症候群診断基準”. 「慢性疲労症候群に対する治療法の開発と治療ガイドラインの作成」研究班. https://www.fuksi-kagk-u.ac.jp/guide/efforts/research/kuratsune/fatigue/fatigue03.html, (参照 2022-11-03).
Stephen J Gluckman. “Clinical features and diagnosis of myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome”. UpToDate. https://www.uptodate.com/contents/clinical-features-and-diagnosis-of-myalgic-encephalomyelitis-chronic-fatigue-syndrome, (参照 2022-11-03).
Stephen J Gluckman. “Treatment of myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome”. UpToDate. https://www.uptodate.com/contents/treatment-of-myalgic-encephalomyelitis-chronic-fatigue-syndrome, (参照 2022-11-03).
慢性疲労症候群の症状
普段から寝てばかりになってしまうのは、慢性疲労症候群の症状ですか?
普段から寝てばかりいるだけでは、慢性疲労症候群とは限りません。病的ではない疲れによる可能性もあります。
慢性疲労症候群は、診断が難しい病気です。したがって、"普段から寝てばかりになってしまう"症状が慢性疲労症候群によるものかどうかの判断は、極めて難しいです。
しかしながら、慢性疲労症候群では、通常では疲れない軽い労作でも疲れやすくなってしまい、結果的に"普段から寝てばかりになってしまう"症状が現れます。慢性疲労症候群の疲労は、労作の後に増悪しやすいという特徴があります。こういった傾向が顕著な場合には、慢性疲労症候群による症状を疑います。
慢性疲労症候群ではどのような症状がありますか?
日常的な強い疲労感を主として、頭痛や筋肉痛、めまい、不眠、過眠、気分障害などがあります。
慢性疲労症候群の症状には以下のものがあります。
- 強い疲労感
- 微熱
- 悪寒
- 筋肉痛
- 頭痛
- 睡眠障害
- 喉の痛み
- 運動など活動をした後の強い疲労感
- 思考力の低下
- うつ
- めまい
- 立ちくらみ
慢性疲労症候群の症状には、一般的な風邪や他の病気と症状が似通っているものも多いです。
参考文献
厚生労働省(旧厚生省)慢性疲労症候群診断基準”. 「慢性疲労症候群に対する治療法の開発と治療ガイドラインの作成」研究班. https://www.fuksi-kagk-u.ac.jp/guide/efforts/research/kuratsune/fatigue/fatigue03.html, (参照 2022-11-03).
Stephen J Gluckman. “Clinical features and diagnosis of myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome”. UpToDate. https://www.uptodate.com/contents/clinical-features-and-diagnosis-of-myalgic-encephalomyelitis-chronic-fatigue-syndrome, (参照 2022-11-03).
Stephen J Gluckman. “Treatment of myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome”. UpToDate. https://www.uptodate.com/contents/treatment-of-myalgic-encephalomyelitis-chronic-fatigue-syndrome, (参照 2022-11-03).
慢性疲労症候群と症状が似ている他の病気はありますか?
他の病気と共通する症状が非常に多い病気です。
慢性疲労症候群の症状には、慢性的な強い疲労感を主として、微熱や喉の痛み、筋肉痛、不眠、過眠、気分障害などがあり、これらの症状を呈する病気は数多くあります。
例えば、明らかな異常が見つからないにもかかわらず上記と同様の症状を引き起こす病気には、以下のものがあります。
- 線維筋痛症
- 自律神経失調症
- うつ病
- コロナウイルス後遺症
肝臓・腎臓・心臓・肺・胃腸・ホルモン・血液などあらゆる臓器の不調で疲れは出てくるものなので、医療機関を受診して正確な診断をしてもらいましょう。
参考文献
厚生労働省(旧厚生省)慢性疲労症候群診断基準”. 「慢性疲労症候群に対する治療法の開発と治療ガイドラインの作成」研究班. https://www.fuksi-kagk-u.ac.jp/guide/efforts/research/kuratsune/fatigue/fatigue03.html, (参照 2022-11-03).
Stephen J Gluckman. “Clinical features and diagnosis of myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome”. UpToDate. https://www.uptodate.com/contents/clinical-features-and-diagnosis-of-myalgic-encephalomyelitis-chronic-fatigue-syndrome, (参照 2022-11-03).
Stephen J Gluckman. “Treatment of myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome”. UpToDate. https://www.uptodate.com/contents/treatment-of-myalgic-encephalomyelitis-chronic-fatigue-syndrome, (参照 2022-11-03).
慢性疲労症候群の原因
慢性疲労症候群の原因は何ですか?
ウイルス感染や免疫の異常、ストレスなどとの関係が調べられていますが、まだ原因はわかっていません。
多くの研究が行われているものの、慢性疲労症候群の原因は明らかになっていません。
ウイルス感染や免疫の異常、ストレスなどが関係しているのではないかと言われていますが、これまでの研究ではまだわかっていません。
慢性疲労症候群の検査・診断
慢性疲労症候群の症状をセルフチェックできますか?
慢性疲労症候群の症状や原因、自宅近くの病院、対処方法などは症状検索エンジン「ユビー」で調べられます。
自身の症状が慢性疲労症候群の症状に当てはまっているかどうかは、こちらのページからチェックできます。
気になる病気や症状があれば、ぜひ活用してみてください。
参考文献
厚生労働省(旧厚生省)慢性疲労症候群診断基準”. 「慢性疲労症候群に対する治療法の開発と治療ガイドラインの作成」研究班. https://www.fuksi-kagk-u.ac.jp/guide/efforts/research/kuratsune/fatigue/fatigue03.html, (参照 2022-11-03).
Stephen J Gluckman. “Clinical features and diagnosis of myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome”. UpToDate. https://www.uptodate.com/contents/clinical-features-and-diagnosis-of-myalgic-encephalomyelitis-chronic-fatigue-syndrome, (参照 2022-11-03).
Stephen J Gluckman. “Treatment of myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome”. UpToDate. https://www.uptodate.com/contents/treatment-of-myalgic-encephalomyelitis-chronic-fatigue-syndrome, (参照 2022-11-03).
慢性疲労症候群の治療・対処法
慢性疲労症候群への対処法は?
十分な休息をとりましょう。種々の状況により休息が十分に取れない場合は、産業医面談もしくは内科を受診しましょう。
慢性疲労症候群では一般的にどのような治療を行いますか?
症状に合わせて薬を使用して治療を行います。
慢性疲労症候群の治療は、現れている症状に対しての治療がメインです。
頭痛や筋肉痛に対しては鎮痛剤を、睡眠障害に対しては睡眠環境を改善する薬を処方してもらって治療をしていきます。
漢方薬などを使うこともあります。
なお、食事療法などは効果が認められていません。
参考文献
厚生労働省(旧厚生省)慢性疲労症候群診断基準”. 「慢性疲労症候群に対する治療法の開発と治療ガイドラインの作成」研究班. https://www.fuksi-kagk-u.ac.jp/guide/efforts/research/kuratsune/fatigue/fatigue03.html, (参照 2022-11-03).
Stephen J Gluckman. “Clinical features and diagnosis of myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome”. UpToDate. https://www.uptodate.com/contents/clinical-features-and-diagnosis-of-myalgic-encephalomyelitis-chronic-fatigue-syndrome, (参照 2022-11-03).
Stephen J Gluckman. “Treatment of myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome”. UpToDate. https://www.uptodate.com/contents/treatment-of-myalgic-encephalomyelitis-chronic-fatigue-syndrome, (参照 2022-11-03).
受診の目安・何科を受診するべきか
慢性疲労症候群で病院に行く時は、何科を受診したらいいですか?
まずは内科を受診しましょう。その後心療内科や精神科を受診する必要がある場合もあります。
慢性疲労症候群が疑われる場合、まずは内科を受診しましょう。
内科では医師による診察ののち、血液検査などの一般的な検査を行い、睡眠時無呼吸症候群や心疾患、糖尿病といった身体的な病気の可能性を除外します。
身体的な病気の可能性がないとされたら、次に心療内科・精神科を受診し、うつ病などの精神疾患を除外します。
このようにして身体的・精神的な病気の可能性を除外していくことで、慢性疲労症候群の診断が確定します。
参考文献
厚生労働省(旧厚生省)慢性疲労症候群診断基準”. 「慢性疲労症候群に対する治療法の開発と治療ガイドラインの作成」研究班. https://www.fuksi-kagk-u.ac.jp/guide/efforts/research/kuratsune/fatigue/fatigue03.html, (参照 2022-11-03).
Stephen J Gluckman. “Clinical features and diagnosis of myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome”. UpToDate. https://www.uptodate.com/contents/clinical-features-and-diagnosis-of-myalgic-encephalomyelitis-chronic-fatigue-syndrome, (参照 2022-11-03).
Stephen J Gluckman. “Treatment of myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome”. UpToDate. https://www.uptodate.com/contents/treatment-of-myalgic-encephalomyelitis-chronic-fatigue-syndrome, (参照 2022-11-03).
慢性疲労症候群の専門医がいる近くの病院はありますか?
慢性疲労症候群の専門医がいる病院を見る慢性疲労症候群に関連するその他の質問
慢性疲労症候群は、通常の疲労と何が違うのでしょうか?
症状の程度や長さ、原因の有無などが違います。
通常の疲労と慢性疲労症候群では、以下の違いがあります。
- 通常の疲労は家事や仕事によるものなど原因が明確だが、慢性疲労症候群は明らかな原因がない
- 通常の疲労では疲労感はあるものの日常生活は支障なく送ることができるが、慢性疲労症候群は疲労感が大きくて日常生活に支障が出る
- 慢性疲労症候群では強い疲労感が6ヶ月以上の長期にわたる
参考文献
厚生労働省(旧厚生省)慢性疲労症候群診断基準”. 「慢性疲労症候群に対する治療法の開発と治療ガイドラインの作成」研究班. https://www.fuksi-kagk-u.ac.jp/guide/efforts/research/kuratsune/fatigue/fatigue03.html, (参照 2022-11-03).
Stephen J Gluckman. “Clinical features and diagnosis of myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome”. UpToDate. https://www.uptodate.com/contents/clinical-features-and-diagnosis-of-myalgic-encephalomyelitis-chronic-fatigue-syndrome, (参照 2022-11-03).
Stephen J Gluckman. “Treatment of myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome”. UpToDate. https://www.uptodate.com/contents/treatment-of-myalgic-encephalomyelitis-chronic-fatigue-syndrome, (参照 2022-11-03).
慢性疲労症候群で死亡することはありますか?
慢性疲労症候群そのもので死亡することは、ないと思われます。
慢性疲労症候群の診断が難しく、疾患概念も広く知れわたっていない病気です。そのため、正確な慢性疲労症候群の予後(病気や治療の経過・結末についての見通し)や経過は不明ですが、一般的には身体的に死に至るような病態(病気によって変化する体の状態)ではないと思われます。
しかし、うつ病を合併することで、自殺などのリスクはあります。実際にイギリスで行われた、慢性疲労症候群の患者さんを7年間観察した研究では、慢性疲労症候群自体と死亡率の関連は確認できませんでしたが、自殺による著名な死亡率増加が観察されました。
参考文献
Emmert Roberts et al. Mortality of people with chronic fatigue syndrome: a retrospective cohort study in England and Wales from the South London and Maudsley NHS Foundation Trust Biomedical Research Centre (SLaM BRC) Clinical Record Interactive Search (CRIS) Register. Lancet. 2016, 387, p.1638-1643.
IACFS/ME手引書執筆委員会委員.“筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS) 臨床医のための手引書”.ME/CFS.https://mecfs.ncnp.go.jp/wp/wp-content/uploads/2020/06/4b906f6d9911d2f0d1eb62554ce0cb92.pdf,(参照 2024-07-17).
慢性疲労症候群とうつ病の違いはなんですか?
どちらの病気も合併しうるため、区別したり、違いを明確に述べることは難しいです。しかし、労作後の消耗や午後に症状が増悪するなどの症状が見られる場合には、慢性疲労症候群らしいと考えます。
慢性疲労症候群とうつ病は合併しうるため、区別することが難しい場合が多いです。また、どちらの病気も、特定の血液検査や画像検査で診断できる病気ではなく、臨床診断で診断される病気のため、さらに診断を難しくします。
しかし、以下のような特徴がある場合には、慢性疲労症候群らしいと考えます。
- 労作後の消耗
- 午後に症状が増悪する
うつ病では一般的に労作のあとに症状は改善することが多く、症状自体は午前中が最も悪いことが多いです。
上記のような点などから、慎重に診断していきます。
慢性疲労症候群に対して、生活習慣で気をつけることはありますか?
自身がどれだけ活動できるのか、どういったことで消耗するのかを意識して活動していきましょう。
日常生活の生活習慣では以下のことに気をつけるとよいです。
- 自身の活動できる量について、どの程度で限界が来るのかなどを把握しておく
- ストレスや負担に感じることをできるだけ意識的に避ける
- 睡眠など日々の休息の質をなるべく高める
- 日常生活上の活動がある程度問題なくできるようであれば、有酸素運動などを行う
参考文献
厚生労働省(旧厚生省)慢性疲労症候群診断基準”. 「慢性疲労症候群に対する治療法の開発と治療ガイドラインの作成」研究班. https://www.fuksi-kagk-u.ac.jp/guide/efforts/research/kuratsune/fatigue/fatigue03.html, (参照 2022-11-03).
Stephen J Gluckman. “Clinical features and diagnosis of myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome”. UpToDate. https://www.uptodate.com/contents/clinical-features-and-diagnosis-of-myalgic-encephalomyelitis-chronic-fatigue-syndrome, (参照 2022-11-03).
Stephen J Gluckman. “Treatment of myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome”. UpToDate. https://www.uptodate.com/contents/treatment-of-myalgic-encephalomyelitis-chronic-fatigue-syndrome, (参照 2022-11-03).
慢性疲労症候群について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「慢性疲労症候群」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 疲れやすさを感じていますか?
- 体のだるさはありますか?
- 頭痛がありますか?あるいは頭が重いですか?
- 心理的ストレスを感じている様子(学校へ行くのを明らかに嫌がるなど)ですか?
- 首の痛みやこわばりがありますか?
慢性疲労症候群に関連する病気・症状
この記事の監修医師
阿部 吉倫
内科
2015年東京大学医学部医学科卒。東京大学医学部付属病院、東京都健康長寿医療センターで初期研修を修了。血便を放置し48歳で亡くなった患者との出会いをきっかけにデータサイエンスの世界へ。2017年5月にUbie株式会社を共同創業。2019年12月より日本救急医学会救急AI研究活性化特別委員会委員。2020年 Forbes 30 Under 30 Asia Healthcare & Science部門選出。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03