憩室炎
監修医師吉岡 藍子消化器内科
- 更新日
- 2026/07/09
- 公開日
- 2020/09/03
憩室炎とは
腸に存在する風船状の袋(憩室)への感染などが原因となり腹痛、発熱、吐き気などの症状が出現します。
「憩室炎」とはどのような病気ですか?
腸に出来た「憩室(けいしつ)」という小さなくぼみに便などが詰まり、細菌が増殖することで炎症が起こる病気です。
憩室とは、加齢や便秘などによる腹圧の上昇によって大腸の壁に出来る、袋状の小さなくぼみのことです。憩室は加齢に伴って出来やすくなり、高齢者では20%ほどに見られるとする報告があります。日本人では右側結腸(お腹の右側にある、小腸に近い大腸)とS状結腸(お腹の左下にある、肛門に近い大腸)によく出来ると言われています。なお、憩室そのものは病気ではありません。
憩室の中に便などが詰まると、炎症をきたして腹痛や発熱の症状を引き起こします。お腹の右下部分で憩室炎が起こると、虫垂炎(いわゆる「もうちょう」)と似た症状が生じ、2つの病気はしばしば間違われることがあります。
憩室炎の症状
憩室炎には初期症状はありますか?
憩室炎を起こしている部分のお腹の痛みを感じることが多く、発熱や吐き気を伴うこともあります。
発症初期は、憩室炎を起こしている部分のお腹の痛みを感じることが多いです。初期の腹痛は周期的に起こる場合があり、炎症が強くなってくると持続的に腹痛を感じるようになります。この他、発熱や吐き気、嘔吐、下痢や便秘などの症状を初期から伴うこともあります。
憩室炎の原因
憩室炎の原因や考えられる症状には何がありますか?
「憩室」という腸のくぼみで細菌が増殖することで憩室炎が起こります。よくある症状は腹痛と発熱で、加えて吐き気や嘔吐、下痢、便秘が見られることもあります。
憩室炎の原因
憩室とは、加齢や便秘などによる腹圧の上昇によって大腸の壁に出来る、袋状の小さなくぼみのことです。憩室に便などが詰まって細菌が増殖することで炎症を起こすと、憩室炎になります。
欧米では、肥満が憩室炎の発症リスクを上げるという報告があります。喫煙は憩室炎そのものの発症リスクではないものの、憩室炎になった際に起こりうる合併症が喫煙によって増え、重症度が高まりやすくなることがわかっています。飲酒の習慣や食物繊維の不足については、憩室炎との関連の有無についてさまざまな報告があり、はっきりしたことは言えないのが現状です。
憩室炎の症状
よくある症状は、炎症が起こっている部分の腹痛、圧痛(患部を押すと痛みが出る)、発熱です。消化管の病気なので、吐き気や嘔吐が出現したり、下痢や便秘をきたす場合もあります。
憩室炎の検査・診断
憩室炎のセルフチェックはできますか?
症状について、症状検索エンジン「ユビー」などでチェックすることが可能です。
憩室炎の症状は主に腹痛や発熱で、それ以外の症状も他の消化器の病気と共通するものがほとんどです。そのため、セルフチェックだけで憩室炎かどうかは判断できませんが、以下の症状がある場合、憩室炎やその他の病気を疑って早めに受診することをおすすめします。
症状がある場合、症状検索エンジン「ユビー」を使ってチェックすることも可能ですのでご利用ください。
憩室炎の治療・対処法
憩室炎への対処法は?
多くの場合は安静や抗菌薬投与で改善しますが、ときに手術が必要なことがあります。
憩室炎はどのくらいの期間で治りますか?治療を開始してから治るまでの流れを教えてください。
症状や体の状態によるため、治療期間は一概に言えません。抗菌薬での治療が主になります。
憩室炎の治療は重症さの度合いによって変わってきます。軽度の場合には、治療は抗菌薬と腸の安静が主になります。
点滴で抗菌薬を投与し、絶食、点滴で栄養補給を行い、腸を休めます。炎症が落ち着いたら徐々に食事を再開し、通常であれば1週間程度で退院することができます。
軽症で、全身の状態が良い場合には内服の抗菌薬を処方し、自宅で経過を見る場合もあります。そのようなときでも、腸を休めるために食事はお粥のような腸管にやさしいものにする必要があります。
炎症が長く続いて腸に穴が開いてしまうと、話は変わってきます。腸の中身が憩室に空いた小さな穴から漏れだし、腹膜炎をおこしたり、膿瘍(膿のかたまり)を作ることがあります。
そのような場合には、ドレナージチューブを留置して膿を外に逃がすことや、外科手術で腸を切除する必要があることもあり得ます。このような場合には2~3週間の入院治療となる場合もあります。
憩室炎の場合、主にどのような治療をしますか?
消化のよい食事への切り替えや絶食によって腸管を安静にするほか、抗生物質を使って炎症を抑えます。憩室部分に穴が開いてしまうなどの合併症が起こった場合、手術を行うこともあります。
軽症の場合
軽症の場合、数日間にわたって飲み薬の抗生物質を飲みます。食事はなるべく消化のよいものを少量ずつ摂取するようにします。きちんと治療すれば数日で症状は改善し、1週間もすれば元通りの生活を送れることがほとんどです。
重症の場合
重症の場合、入院が必要になります。絶食して腸管を安静にするとともに、抗生物質を投与します(多くの場合、点滴が使用されます)。腸に穴が開く(穿孔:せんこう)、膿が溜まる(膿瘍:のうよう)、腸の周りにも炎症が及ぶ(腹膜炎)といった場合には、治療が長引く、もしくは手術が必要となる可能性もあります。
受診の目安・何科を受診するべきか
憩室炎が疑われる場合、何科を受診したらよいですか? また、病院を受診する目安はありますか?
消化器内科か内科を受診しましょう。強い腹痛、高熱などがある場合は、速やかな受診をおすすめします。軽い腹痛でも、繰り返したり長引いたりしているようなら、早めに受診してください。
受診すべき診療科
憩室炎の治療の中心は、腸を安静にすることと抗生物質の使用になるため、基本的には消化器内科か内科で対応します。重症化した時や合併症が起こった時は、手術が必要になることがあるため、消化器外科や外科での対応に切り替えることになります。
受診の目安
以下のような症状がある時は、憩室炎に限らず治療を急ぐ病気が隠れている可能性があるので、速やかな受診をおすすめします。
また、症状が軽い腹痛程度であっても、繰り返す、もしくは症状が治らない場合は、早めに受診することが望ましいです。
憩室炎の専門医がいる近くの病院はありますか?
憩室炎の専門医がいる病院を見る対処法・セルフケア
憩室炎に対して自分でできる、即効性のある対処法はありますか?
自分で対処しようとせず、速やかに医療機関を受診しましょう。
憩室炎は、原則的には抗菌薬での治療と、腸を休めることが必要です。自分で対処しようとは考えず、消化器科を受診し、必要な治療を行いましょう。
憩室炎は急性の病気であり、重症化した場合は腸を切る可能性もあります。また、大腸憩室炎が重症化して膿瘍(膿のかたまり)ができたり、腸に穴が開いたりすると、命にかかわることもあります。
そのため、自分で対処しようとせず、速やかに医療機関を受診してください。入院で絶食点滴での治療が主ですが、症状が軽い場合は抗菌薬を飲み、通院して経過観察で済む場合もあります。
その場合でも腸を休めることが大切なので、食事はお粥のような、腸にあまり負担をかけないものにしましょう。
憩室炎に関連するその他の質問
10代や20代などの若年層でも憩室炎になるリスクはありますか?
10代や20代でも憩室炎になるリスクはあります。
10代や20代でも憩室炎になるリスクはあります。憩室炎は主に40~60歳の方に多いですが、10代や20代でも発症することがあります。
日本では、憩室炎の元である大腸憩室の保有率が徐々に増加傾向にあり、21.2%の方に大腸憩室が認められたという報告もあります。
抗菌薬と腸を安静にすることでほとんどの方は治癒しますが、お腹の中に膿のかたまりができたり、腸に穴が開いてしまうと重症となり、外科手術が必要になるときもあります。
腸に炎症が起こるためそれなりに痛みが出ますが、若い方であると案外、我慢してしまうことで診断が遅れる場合があります。
腹痛、発熱が長引く場合などには消化器科への受診を検討してみましょう。
憩室炎になった場合の死亡率はどのくらいですか?
憩室炎のみによる死亡率は0.2%ですが、合併症を伴うと2.8%まで上昇します。
憩室炎そのものは良性の病気で、基本的には適切な治療を行えば完治します。しかし、その周囲の腸に穴が開く、もしくは膿のたまりが周りに出来てしまう(膿瘍)などの合併症が起こると、重症化することがあり、それに伴って死亡率も高まります。なお、合併症を伴う憩室炎は全体の15%程度と言われています。
合併症が起こった時は手術が必要になることがあり、適切な治療のタイミングが重要になります。
憩室炎の場合、食事では何に気をつけるべきですか?
基本的には絶食して腸を動かさないようにするのが最適です。食事を摂る場合は消化のよいものを少量ずつ摂取し、症状が悪化したらすぐ食べるのをやめましょう。
基本的には腸の内圧を上げないことが望ましいため、絶食して腸を動かさないようにするのが最適です。食事を摂る際には、腸に負担がかからないように、消化のよいものを少量ずつ摂取しましょう。白米(おかゆ)やうどんなどは、脂肪分が比較的少ない炭水化物で、消化も早いのでおすすめです。
逆に、以下のようなものは摂取を避けたほうが無難です。
- 脂っこいもの
- 香辛料などの刺激物
- アルコール
- カフェイン
- 繊維質の多い野菜類(食物繊維は消化されにくいため)
憩室炎について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「憩室炎」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- お腹の痛みがありますか?
- お腹の右下のあたりが痛みますか?
- これまでに【腸に憩室(けいしつ:風船状の袋)がある・憩室出血・憩室炎】と診断されたことはありますか?
- お腹を押したときに激しい痛みを感じますか?
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この記事の監修医師
吉岡 藍子
消化器内科・内科
消化器内科医の吉岡藍子と申します。 これまで大学病院や市中病院、健診センターでの内視鏡業務などを通して、消化器領域を幅広く経験してまいりました。 診療の現場では、専門的な用語や複雑な病状の説明に、患者様が戸惑いや不安を感じる場面に何度も出会いました。医療機関で提供される膨大な情報を前に、混乱されてしまう方も少なくありません。そこで、ご自身の病気や体、そして健康について、一人でも多くの方が正しく理解できる環境を作りたいという想いから、ユビーの活動に参加させていただいております。皆様が正しい医学知識に普段から触れ、安心してご自身の健康と向き合えるよう、分かりやすい情報提供に努めてまいります。 【経歴】 新潟大学医学部卒。 新潟県内外の市中病院、大学病院で勤務。 新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野にて博士取得。 2022年からユビーに入社し、横浜市で健診内視鏡診療を兼務。
- 更新日
- 2026/07/09
- 公開日
- 2020/09/03