マロリーワイス症候群
監修医師吉岡 藍子消化器内科
- 更新日
- 2026/07/09
- 公開日
- 2020/09/03
マロリーワイス症候群とは
繰り返す嘔吐などで腹圧がかかったときに、食道と胃のつなぎ目付近の粘膜が裂けてしまう病気です。傷は浅く自然に治ることがほとんどです。
「マロリーワイス症候群」とはどのような病気ですか?
マロリーワイス症候群とは、嘔吐などによって胃の入り口に傷ができる病気です。
マロリーワイス症候群とは、嘔吐などによって腹部の圧力が急激に上昇した結果、胃の一部が切れてしまう病気です。
胃の粘膜に傷ができるため、胃の痛み、吐血の症状が現れます。主なきっかけは、飲酒や、内視鏡検査での嘔吐反射、激しい咳などがあります。
嘔吐するときには胃の一部が食道側に大きく逸脱するため、その結果、粘膜の一部に大きな力がかかり、傷ができてしまいます。
出血の程度が強い場合には内視鏡で止血の処置が必要です。また、胃酸はできた傷の治癒を遅くするため、胃酸を抑えるような胃薬での治療も行います。
軽症であれば、食事はとっても問題ありませんが、重症である場合には絶食点滴で治療します。
嘔吐後の吐血、胃の痛みはマロリーワイス症候群である可能性があります。そのような症状がある場合には消化器内科を受診しましょう。
マロリーワイス症候群の症状
マロリーワイス症候群には初期症状はありますか?
胸痛や吐血が初期症状です。
マロリーワイス症候群における初期症状は、主に嘔吐や激しい咳によって胃の入り口の粘膜が傷つき、出血が起こることです。
その結果、吐血や胸の痛みとして症状が現れます。これらの症状は発症直後から起こるため、初期症状ということができます。
また、出血により便が黒くなることもあります。便が黒くなる症状は、発症から少し時間が経過してから起こる場合が多いとされています。
初期症状としてはこれらの兆候が現れるため、嘔吐後に血が混じる場合や胸の痛みがある場合は、早めに消化器内科を受診することが重要です。
マロリーワイス症候群ではどのような症状がありますか?
吐血、胸の痛みといった症状をきたします。
マロリーワイス症候群は、嘔吐によって胃の入り口の粘膜に傷がつく病気です。
胃の入り口の粘膜に傷がつき、出血するため、吐血(血を吐くこと)の症状が現れます。
また、粘膜が傷つくため、胸の痛みも出る場合が多いです。出血した血液は消化管に流れ出るため、便に血液の成分が混ざり、便が黒くなるという症状も出ます。
出血の多くは自然に止まりますが、程度の強い場合には胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)で止血を行います。
その他に胃酸を抑えるような飲み薬で治療を行い、胸の痛みは徐々に改善していく場合が多いです。
マロリーワイス症候群は嘔吐後の吐血が特徴的です。このような症状の出た場合には消化器内科を受診しましょう。
マロリーワイス症候群の原因
マロリーワイス症候群の原因は何がありますか?
飲酒や激しい咳が主な原因です。
マロリーワイス症候群の主な原因は、飲酒による嘔吐や激しい咳です。
嘔吐によって胃の入り口に物理的な力がかかり、粘膜に傷がつき、出血をきたします。
経験的には、アルコールを多量に飲んだあと、吐いてしまい、その後、胸の痛みと吐血の症状があり救急搬送される、といったエピソードの方が多いです。
診断は胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)で行い、出血の程度が強ければ止血の処置を行います。そのほかに胃酸を抑えるような飲み薬を内服します。
多くの方は飲み薬のみで自然に治癒します。重症である場合には絶食点滴で治療を行うこともあります。
マロリーワイス症候群の検査・診断
マロリーワイス症候群のセルフチェックはできますか?
解説欄をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
マロリーワイス症候群は、症状とその起こった状況で、ある程度診断に近づくことができます。
典型的には、飲酒後に嘔吐し、その直後に吐血、胸痛といった症状が現れるということが多いです。
これは、この病気が、嘔吐したときに胃の粘膜に物理的な力がかかり、結果として粘膜の一部が裂け、傷がついてしまうことで起こるためです。
傷ついた粘膜から出血し、その結果として血を吐くという症状が起こります。
また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、マロリーワイス症候群かどうかのセルフチェックができます。ぜひご活用ください。
マロリーワイス症候群の治療・対処法
マロリーワイス症候群への対処法は?
激しい嘔吐など腹圧が上がる状態を避けることが予防につながります。吐血した場合は他の病気との鑑別が必要になるため、医療機関への受診が必要です。
マロリーワイス症候群の場合、主にどのような治療をしますか?
出血の多くは自然に止血されます。
マロリーワイス症候群の治療は、出血の程度や患者さんの症状によって異なります。
多くの場合、出血は軽度で時間が経過すれば自然に止まることが多く、特別な治療を必要としません。胃酸を抑えるような胃薬を内服することで、胸の痛みも徐々に改善します。
しかし、出血が多い場合や症状が重い場合には、止血の処置が必要となる場合もあります。
止血の処置は胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)を用いて出血部位を確認し、クリップや焼灼をすることで行います。
これらの治療を通じて、マロリーワイス症候群における症状の改善と回復を図ります。
嘔吐後の吐血、胸痛があれば消化器内科を受診しましょう。
受診の目安・何科を受診するべきか
マロリーワイス症候群は病院に行かないでもいいですか?
病院を受診することをおすすめします。
マロリーワイス症候群は、軽度であれば自然に止血し、特段の治療が不要な場合もあります。
しかし、病院に行かないで済ませることができるかどうかは、症状の程度によります。
軽度の出血であれば、自宅で安静にし、処方された胃薬を服用することで症状が改善することもあります。
出血の程度が激しい場合には、内視鏡的な処置が必要となる場合もあります。
特に、次のような場合には、早急に病院を受診することが重要です。
まず、吐血が大量である場合や、頻繁に吐血する場合です。また、吐血以外にもめまいや立ちくらみ、血圧の低下がみられた場合には、出血の影響が体全体に及んでいる可能性があるため、医療機関への受診をおすすめします。
さらに、胸痛や激しい腹痛が続く場合も、他の消化器疾患の可能性を排除するために医師の診察を受けるべきです。
マロリーワイス症候群が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?
嘔吐後の吐血があれば消化器内科を受診しましょう。
マロリーワイス症候群が疑われる場合、特に嘔吐後に吐血がみられる場合は、速やかに消化器内科を受診することが重要です。
嘔吐や激しい咳のあとに生じる吐血は、胃の粘膜に裂傷が生じ、出血を引き起こしている可能性が高く、マロリーワイス症候群に典型的な症状です。
マロリーワイス症候群に限らず、吐血は急を要する症状であり、ただちに消化器内科を受診してください。
また、吐血のほかに、黒色便(タール便)がみられる場合や、持続する胸の痛み、頻繁な吐き気や嘔吐がある場合も、マロリーワイス症候群の兆候として消化器内科を受診する目安となります。
消化器内科では、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)を用いて胃の中を観察し、出血の有無や程度を確認します。必要に応じて、止血のための処置や治療が行われることがあります。
したがって、嘔吐後に吐血がある場合は迷わず消化器内科を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
マロリーワイス症候群が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
消化器内科を受診しましょう。
マロリーワイス症候群が疑われる場合、受診すべき科は消化器内科です。
マロリーワイス症候群は胃腸の病気であるため、消化器系の病気を専門とする診療科である消化器内科への受診が適切です。
嘔吐や激しい咳のあとに血が混じる吐物がみられる場合や、胸の痛みがある場合は、マロリーワイス症候群の可能性があり、消化器内科を早急に受診することが重要です。
消化器内科では、診断を確定するために胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)などの検査が実施されることが一般的です。
この検査では、食道や胃の粘膜を直接観察し、出血の部位や程度を確認することができます。場合によっては、クリップや焼灼といった止血の処置が行われることもあります。
マロリーワイス症候群が疑われる場合は、消化器内科に相談しましょう。
マロリーワイス症候群の専門医がいる近くの病院はありますか?
マロリーワイス症候群の専門医がいる病院を見るマロリーワイス症候群の薬
マロリーワイス症候群は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
胃酸を抑えるような胃薬での治療が行われます。
マロリーワイス症候群の治療には、主に胃酸を抑えるための胃薬が使われます。
これには、プロトンポンプ阻害薬(PPI)やヒスタミン2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)が含まれます。
これらの薬は、胃酸の分泌を抑制し、胃粘膜の保護を助けることで、自然治癒を促進します。
副作用としては、PPIでは頭痛、下痢、便秘、腹痛などが報告されており、H2ブロッカーでは頭痛、めまい、筋肉痛などが挙げられます。
さらに、出血がひどい場合は内視鏡による止血処置が必要になることもあります。
適切な治療を受けるためには、早めに医療機関を受診することが重要です。
対処法・セルフケア
マロリーワイス症候群の場合、日常生活で気をつけることはありますか?
刺激のある食べ物や、飲酒は控えましょう。
マロリーワイス症候群の場合、日常生活でいくつかの点に気をつけることが重要です。
まず、刺激のある食べ物や飲酒は避けることが推奨されます。辛い食べ物やアルコールは胃粘膜を刺激し、症状を悪化させる可能性があるためです。
また、規則正しい食生活を心がけ、過食や速食は避けるようにしましょう。食事は少量ずつ、ゆっくりと摂ることが望ましいです。
マロリーワイス症候群と診断された場合には、処方された胃薬をきちんと服用することで、胃酸の抑制と胃粘膜の保護を助けることができます。
こうした日常生活の注意点を守ることが、マロリーワイス症候群の症状を効果的に改善させることにつながります。
マロリーワイス症候群で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
内視鏡的な止血処置が行われる場合があります。
マロリーワイス症候群は、嘔吐による胃の伸展で胃粘膜の一部が裂け、傷がついてしまう病気です。
胃の粘膜に傷がついた結果、出血し、吐血や胸痛といった症状をきたします。
出血は多くの場合、自然に止血されるため、特段の処置は必要なく、胃酸を抑えるような胃薬の内服のみで治癒する場合が多いです。
しかし、出血の程度が強い場合には、内視鏡的な処置が必要となる場合もあります。
胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)を用いて胃粘膜の出血部位を焼灼し、止血処置を行います。
また、出血により貧血をきたした場合には、輸血が必要となる場合もあります。
マロリーワイス症候群に関連するその他の質問
マロリーワイス症候群の場合、食べ物に注意は必要ですか?
刺激物やアルコールの摂取は控えましょう。
マロリーワイス症候群の患者さんにとって、食事に関していくつか注意点があります。
まず、刺激物を避けることが推奨されます。例えば、辛い食べ物や酸味の強い食品は胃粘膜を刺激し、出血のリスクを高める可能性があります。
また、アルコールの摂取も避けるべきです。アルコールは胃の粘膜を直接的に傷つけるだけでなく、嘔吐を引き起こすことがあり、これが粘膜の損傷を悪化させる要因となります。
加えて、胃腸に優しい食生活を心がけることも重要です。消化しやすい柔らかい食べ物や、脂肪の少ない食品を選ぶとよいでしょう。
食事の際には、少量を頻繁に摂取することで、胃への負担を軽減することができます。
さらに、食後には数時間の休息を取ることで、胃の回復を促すことができます。
このような食事の管理を意識することにより、マロリーワイス症候群の症状を和らげ、治癒を早めることが期待できます。
マロリーワイス症候群で死亡することはありますか?
まれではありますが、マロリーワイス症候群で死亡する場合もあります。
マロリーワイス症候群は、嘔吐により胃の入り口の部分の粘膜が裂けてしまい、傷つくことで出血をきたす病気です。
その結果、胸痛や吐血といった症状を引き起こします。
マロリーワイス症候群の多くは軽症で、特段の治療を必要とせずに治癒します。
マロリーワイス症候群が原因で死亡することは多くはないとされていますが、少数ですが死亡例も存在します。
過去の報告を見ると、その多くは大量出血が原因となっており、特に、肝硬変の患者さんでの死亡例が多いとされています。
これは、肝硬変の患者さんには食道や胃の近くに静脈瘤ができており、そこからの出血も合併しやすいためだと考えられます。
嘔吐後の吐血、胸痛があった場合には、マロリーワイス症候群の可能性があります。
そのような症状がある場合には、消化器内科への受診を検討しましょう。
お酒を飲んだあと、血が混じる嘔吐があるのですが、何かの病気でしょうか?
マロリーワイス症候群の可能性があります。
お酒を飲んだあとに血が混じる嘔吐がある場合、マロリーワイス症候群の可能性があります。
マロリーワイス症候群は、主に激しい嘔吐によって胃の粘膜が裂けることで、胸痛や吐血が引き起こされます。
マロリーワイス症候群は、特に大量のアルコール摂取後や、激しい咳、重い嘔吐を繰り返したあとに発生しやすいです。
この病気の典型的な症状には、吐血やタール状の便が含まれます。また、胸痛や腹痛を伴うこともあります。
症状が軽度であれば、自然に治癒することもありますが、出血が激しい場合や、他の合併症が疑われる場合には、処置が必要となることもあります。
マロリーワイス症候群の診断には、内視鏡検査が有効です。内視鏡で胃の中を直接観察することで、診断を確定させることのほか、出血の原因や程度を確認できます。
治療には、胃薬の内服や、内視鏡的手術が行われることがあります。
また、再発を防ぐために、アルコールの摂取を控え、胃腸に優しい食生活を心がけることが重要です。
そのため、血が混じる嘔吐が続く場合には、早めに医療機関を受診し、医師の診察を受けることをおすすめします。
マロリーワイス症候群について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「マロリーワイス症候群」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 何回か吐いている内に血が混ざるようになりましたか?
- 血を吐きましたか?
- 吐き気や嘔吐がありますか?
- 大量にお酒を飲んだ後で、口から血を吐いてしまいましたか?
マロリーワイス症候群に関連する病気・症状
この記事の監修医師
吉岡 藍子
消化器内科・内科
消化器内科医の吉岡藍子と申します。 これまで大学病院や市中病院、健診センターでの内視鏡業務などを通して、消化器領域を幅広く経験してまいりました。 診療の現場では、専門的な用語や複雑な病状の説明に、患者様が戸惑いや不安を感じる場面に何度も出会いました。医療機関で提供される膨大な情報を前に、混乱されてしまう方も少なくありません。そこで、ご自身の病気や体、そして健康について、一人でも多くの方が正しく理解できる環境を作りたいという想いから、ユビーの活動に参加させていただいております。皆様が正しい医学知識に普段から触れ、安心してご自身の健康と向き合えるよう、分かりやすい情報提供に努めてまいります。 【経歴】 新潟大学医学部卒。 新潟県内外の市中病院、大学病院で勤務。 新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野にて博士取得。 2022年からユビーに入社し、横浜市で健診内視鏡診療を兼務。
- 更新日
- 2026/07/09
- 公開日
- 2020/09/03