ヌーナン症候群はいつわかる?ヌーナン症候群
監修医師五十嵐 健史内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
ヌーナン症候群とは
ヌーナン症候群の症状
ヌーナン症候群ではどのような症状がありますか?
ヌーナン症候群では、特徴的な顔立ち、先天性心疾患、低身長、知的障害などの症状がみられます。
ヌーナン症候群でみられる症状には、特徴的な顔つき、先天性心疾患、低身長、知的障害のほかに、眼の異常、翼状頸(頭から肩にかけて、翼が広がるように首の皮膚が広がっている状態)、筋緊張低下(筋肉に力が入らずだらりとしている)、関節の過伸展(関節が正常範囲を超えて伸展する)、胸郭の奇形(胸郭が前に突き出たり、へこんでいる状態)、停留精巣(睾丸が陰嚢に降りずに、お腹のなかなどに停滞している状態)、難聴、肥大型心筋症、腎奇形、白血病を含む血液の病気などがあります。
なお、先天性心疾患には、肺動脈弁狭窄が多いことが知られています。
ヌーナン症候群には初期症状はありますか?
ヌーナン症候群の初期症状は、ミルクの飲みが悪く成長が遅いことで、顔つきの特徴は乳児期以降にわかります。
ヌーナン症候群にはさまざまな症状がありますが、最初に現れる症状はミルクをなかなか飲まない、また成長が遅くなるといった、ヌーナン症候群に特徴的なものではなく、他の病気でも起こりうる一般的な症状です。そのほか、心臓の病気は生まれた直後に心雑音から気づかれることがあります。
なお、ヌーナン症候群でみられる特徴的な顔つきは、生まれた直後よりも乳児期以降に明らかになってくることもあります。最近では、生まれる前に遺伝子診断でヌーナン症候群がわかることもあります。
ヌーナン症候群の原因
ヌーナン症候群の原因は何がありますか?
ヌーナン症候群の原因は、遺伝子の異常です。原因となる遺伝子は、複数存在します。
ヌーナン症候群では、私たちの細胞の活動をコントロールしているRAS/MAPKシグナル伝達系に関与する遺伝子の異常が原因となっていますが、この遺伝子には、PTPN11、SOS1、RAF1、RIT1、KRAS、BRAF、NRAS、SHOC2、CBL、SOS2、MRAS、RRAS、RRAS2、LZTR1、PPP1CBなど、複数の種類が存在することが報告されています。
なお、ヌーナン症候群は両親から変異した遺伝子を受け継いで発症する場合と、両親には遺伝子の異常はなく、本人の遺伝子が変異によって発症する場合があります。ヌーナン症候群を両親から受け継ぐ場合は、ごく一部を除いて、多くの場合その子どもがヌーナン症候群を発症する確率は、2分の1(常染色体顕性遺伝)です。
ヌーナン症候群の検査・診断
ヌーナン症候群のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
ヌーナン症候群の特徴として、以下が挙げられます。
- 特徴的な顔つき(広い額、まぶたが垂れる、両目の間隔が広い、目の内側がまぶたで覆われる、短く広い鼻、耳の位置が低い、顎が小さいなど)
- 首が短い、後頭部の髪が生える位置が低い、首の後ろの皮膚のたるみがあるなど
- 心疾患(肺動脈弁狭窄、肥大型心筋症など)
- 低身長
- 胸の形の異常(胸の中央が前に飛び出す:鳩胸、あるいは凹む:漏斗胸)
- 家族(特に両親や兄弟)にヌーナン症候群と診断された人がいる
- 知的障害
- 停留精巣
- 視覚や聴覚の異常
など。
また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、ヌーナン症候群かどうかのセルフチェックができます。ぜひご活用ください。
ヌーナン症候群の治療・対処法
ヌーナン症候群の場合、主にどのような治療をしますか?
ヌーナン症候群そのものの治療はできませんが、心疾患など、合併する病気への治療が行われます。
ヌーナン症候群の原因は、遺伝子の異常にありますが、遺伝子の異常そのものを治療することはできません。その代わり、ヌーナン症候群に合併する病気への治療が行われます。
例えば、心臓の異常があれば、心臓に対する薬や外科的な治療、身長の伸びが悪ければ、状態に応じて身長を伸ばすホルモンの補充、白血病など血液の異常があれば、白血病の治療などが行われます。
その他にも、成長が遅い場合は栄養の補給をしますし、発達の障害があれば発達をサポートします。
受診の目安・何科を受診するべきか
ヌーナン症候群が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?
ヌーナン症候群が疑われる場合、症状があれば受診してください。
現在、「ヌーナン症候群疑われる場合、病院を受診する目安はありますか」を研究した有効なデータは、確認できません。このため、以下に個人の見解を記載します。
ヌーナン症候群が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
ヌーナン症候群が疑われる場合、まずは小児科に受診するとよいでしょう。
現在、「ヌーナン症候群疑われる場合、何科を受診したらよいですか」を研究した有効なデータは、確認できません。このため、以下に個人の見解を記載します。
ヌーナン症候群の専門医がいる近くの病院はありますか?
ヌーナン症候群の専門医がいる病院を見るヌーナン症候群の薬
ヌーナン症候群は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
ヌーナン症候群で使用される薬は、合併する病気に対するもので、それぞれ副作用が生じることはあります。
ヌーナン症候群は遺伝子の異常が原因であり、遺伝子の異常を薬で治療することはできません。しかし、合併する病気に対して、薬を使って治療することはあります。
例えば、心臓の病気であれば、病気の結果、心不全が起これば、心臓の動きを助ける薬や体内の水分を排泄させる利尿薬が使われます。
身長の伸びが悪い場合、状況に応じて成長を助けるために、成長ホルモンを注射で補充することもあります。白血病が起これば、抗がん剤による治療も必要となります。使う薬の種類に応じて、副作用が生じることはあります。
ヌーナン症候群の経過・予後
ヌーナン症候群の平均寿命を教えてください。
ヌーナン症候群の平均寿命は、合併する病気の重症度によりますが、おおむね普通の人と変わりません。
ヌーナン症候群の寿命は、合併する病気の重症度に依存して変化します。例えば、心臓の病気としてみられる肥厚型心筋症は、心臓の機能が低下したり、命に関わる不整脈を起こすことがあり、長く生きることができないことがあります。また、白血病を含む悪性腫瘍を合併すると、命に関わる状態になることがあります。
しかし、なかにはなかなか病気に気づかれない、程度の軽いヌーナン症候群もあり、ヌーナン症候群ではない人と平均寿命に大きな違いはないと考えられています。
対処法・セルフケア
ヌーナン症候群で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
ヌーナン症候群に合併する薬が効かない場合、状況に応じて外科的治療が選択されることもあります。
現在、「ヌーナン症候群で薬が効かない場合、どうしたらよいですか」を研究した有効なデータは、確認できません。このため、以下に個人の見解を記載します。
ヌーナン症候群の場合、日常生活で気をつけることはありますか?
ヌーナン症候群では、長期間にわたり、定期的な受診が必要となることがあります。
ヌーナン症候群では、体のさまざまなところに問題を抱えることが通常です。そのため、小児科だけでなく、外科や眼科、耳鼻科などの専門家の診療、また栄養士や歯科による評価や治療を受ける必要が出てくることもあります。
それだけでなく、もし発達の遅れがあれば、療育や教育面での配慮が必要となり、福祉の支援も必要となります。したがって、成長・発達の経過をみてもらいつつ、心臓の状態に応じた治療や定期的な検査、視覚や聴覚の定期的な検査や治療を受けていくこと、そして子どもに関わる複数の職種の方たちの協力が重要です。
日常生活では、これらの関係者からの協力を得つつ、成長を見守る必要があります。
ヌーナン症候群に関連するその他の質問
ヌーナン症候群と発達障害に関係はありますか?
ヌーナン症候群では、軽い知的障害や言語の発達の遅れを認めることがあります。
ヌーナン症候群では、発症している子どもの4分の1近くに、軽い知的障害がみられることが報告されています。知的障害の程度が軽いと、日常生活や社会生活では、ある程度のことは自分でできるようになりますが、ときに周りの人からの助けが必要となります。
多くの場合、学校に通うようになるまでは、特に問題は起こりませんが、就学すると授業についていけない、友達と同じように遊べないことから、学校生活や対人関係でつまずきが見られることがあります。
また、ヌーナン症候群では、他の子どもたちと比べて言葉の発音、言葉の理解や表出などが上手にできないなど、言語障害が多くみられることも報告されています。
ヌーナン症候群はいつわかるのですか?
ヌーナン症候群は、生まれる前に遺伝子診断されることもありますが、多くは乳幼児期に判断できます。
ヌーナン症候群は、乳幼児期頃までにみられる特徴的な顔つき、心疾患、低身長などの症状からこの病気を疑い、ヌーナン症候群にみられる症状をどのくらい満たしているかによって、診断することができます。したがって、なかにはヌーナン症候群であることがわかりにくいこともありますが、多くは乳幼児期までに診断ができます。
ただ、最近は、家族にヌーナン症候群の方がおられる場合、生まれる前に遺伝子の検査をすることもあり、ヌーナン症候群に関係している遺伝子に異常が見つかれば、生まれる前に診断できることもあります。
ヌーナン症候群について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「ヌーナン症候群」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 最近顔つきが変わったと感じていますか?
ヌーナン症候群に関連する病気・症状
この記事の監修医師
五十嵐 健史
内科・麻酔科
東京大学医学部卒。東京都健康長寿医療センターで初期研修を行い、2017年10月よりUbie株式会社に就職。Ubie株式会社では医学データの登録や修正のほか、製薬チームのサポートも行う。現在は内科医として勤務中。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03