急性腎不全と高血圧の関係性について教えてください。

急性腎不全（AKI）と、高血圧は双方向的な関係にあります。

急性腎不全を起こすと、高血圧が起こりやすくなります。体内に余分な水分やナトリウムが蓄積し、血圧が上昇しやすくなります。実際に急性腎不全の患者の7割で高血圧が認められ、 特に腎性腎不全や腎後性腎不全では高率にみられることが報告されています。

高血圧があると急性腎不全の重症度も高く、 また、高血圧は急性腎不全発症後に慢性腎臓病へ移行するリスク因子でもあります。日頃より高血圧の管理を行うことは、急性腎不全の程度を軽減し、慢性腎臓病への移行を防ぐことにも繋がります。

しかし一方で、降圧薬であるレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系阻害薬は、 全身の血圧を低下させ、腎臓の輸出細動脈に対する拡張作用を有するために、なんらかの血圧の低下によって糸球体濾過量が低下しやすくなり、急性腎不全を起こすリスクがありますので、血圧の下げすぎには注意が必要です。