骨髄線維症は完治しますか?

根治は同種造血幹細胞移植のみで、多くは薬物療法で進行を抑えます。

骨髄線維症は、同種造血幹細胞移植による完治の可能性がある一方、移植を受けられる方は限られており、多くの方では薬物療法を中心に治療が行われます。ここでは骨髄線維症の治療法について解説します。

治療方針は病気の進み具合(リスク分類)で決まります

骨髄線維症の治療方針は、年齢や血液検査の値、症状の有無などから病気の進み具合を評価する「リスク分類」に基づいて決められます。症状がない低リスク・中間リスクの方は、無理に治療をせず経過観察を行うのが原則です。一方、症状がある場合や、リスク分類でより進んだ状態(中間-IIリスク・高リスク)と判断された場合には、後述する薬物療法や造血幹細胞移植が検討されます。

骨髄線維症の治療法(薬物療法)

現在、骨髄線維症の治療にはJAK阻害薬(ジャックそがいやく)であるルキソリチニブなどが用いられています。ルキソリチニブはリスクの高い骨髄線維症に対して強く推奨されており、脾臓(ひぞう)の腫れの縮小や全身のだるさなどの症状改善、生存期間の延長に効果があるとされています。ただし、JAK阻害薬は病気を根本から治す治療ではなく、症状を和らげたり進行を抑えたりすることが主な目的です。
なお、2024年には貧血の改善作用もあわせ持つ新しいJAK阻害薬(モメロチニブ)が国内でも使えるようになり、貧血のある方や血小板が少ない方など、これまで薬の選択が難しかった方にも治療の幅が広がっています。

骨髄線維症と造血幹細胞移植

骨髄線維症において唯一の根治的な治療法とされているのが、同種造血幹細胞移植(どうしゅぞうけつかんさいぼういしょく)です。これはドナー(提供者)から健康な造血幹細胞を移植する治療法で、5年全生存率は40~50%程度と報告されています。ただし、移植には重い合併症のリスクを伴い、治療そのものによる死亡(移植関連死亡)が30~40%程度と比較的高いことも知られています。そのため、リスク分類で中間-IIリスク以上の若年の方で、合併症がなく適切なドナーが得られる場合に限り検討されます(造血器腫瘍診療ガイドライン第3.1版/今日の臨床サポート「原発性骨髄線維症」)。
移植を予定している方には、移植までの準備期間中に脾臓の腫れなどを抑える目的で、JAK阻害薬による治療をあらかじめ行っておく方法(橋渡し治療)が取られることもあります(「骨髄線維症(原発性、二次性)の治療」日本臨牀2025年増刊号)。
すべての方に移植が適応できるわけではないため、ご自身の状態にあった治療方針について、医師と十分に相談することが大切です。

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関連する病気と症状

(参考文献)

Noriko Usui. JSH guideline for tumors of hematopoietic and lymphoid tissues-lukemia: 4. Chronic myelogenous leukemia (CML)/myeloproliferative neoplasms (MPN). Int J Hematol. 2017, 106, p.591-611.
造血器腫瘍診療ガイドライン第3.1版(2024年版), 第Ⅰ章白血病, 4.慢性骨髄性白血病/骨髄増殖性腫瘍http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/1_4.html#soron.(参照 2026-08-31).
幣光太郎. 「骨髄線維症 (原発性, 二次性) の治療」 日本臨牀 83(増刊号5), 242-248, 2025.
今日の臨床サポート 「原発性骨髄線維症」https://clinicalsup.jp/jpoc/contentpage.aspx?diseaseid=1161.(参照 2026-08-31).
骨髄線維症診療の参照ガイド第7版(令和7年度 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 特発性造血障害に関する調査研究班, 2025)https://zoketsushogaihan.com/file/Myelofibrosis_2025.pdf.(参照 2026-08-31).

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‪東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター ‬ 悪性腫瘍治療研究部‬ 腫瘍 血液内科

村橋 睦了 監修

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