肘が痛い原因や考えられる病気には何がありますか?

スポーツや仕事による肘の使い過ぎや、骨折や脱臼などのケガが原因として考えられます。また、首などの神経の障害が原因の場合もあります。

解説

肘の痛みを引き起こす病気にはいくつかの原因があります。
以下は原因ごとに引き起こされる病気の例です。

ケガが原因の場合

スポーツや仕事で転倒し肘を強打すると、骨折や筋腱の損傷を起こします。
骨粗鬆症がある方では、それほど強くぶつけなくても骨折を生じる場合があります。

肘頭(ちゅうとう)骨折

肘を直接地面にぶつけると起こしやすい骨折です。肘の曲げ伸ばしが出来なくなります。

橈骨近位端骨折

手をついて転んだ際に起こしやすい骨折です。肘の曲げ伸ばしや手首を動かした際に肘の周りに痛みを感じます。腫れがあまり強くないことがあり注意が必要です。

上腕骨顆上(かじょう)骨折

子どもが高いところから落ちて手をついた際に起こしやすい骨折です。変形がひどい場合には手術を要する場合があります。

脱臼

手をついて転んだ際には肘の関節が外れることが稀にあります。変形とともに肘の曲げ伸ばしが出来なくなります。この場合、靭帯損傷を伴う場合があります。

肘の靭帯損傷

肘の運動にはさまざまな靭帯が関係しています。靭帯が傷つき、肘のぐらつき(不安定性)が生じた場合には手術が必要になる場合があります。

肘の酷使が原因の場合

上腕骨外側上顆炎

テニス肘とも呼ばれます。手や指を伸ばすための筋肉の腱が、肘の周りで腱鞘炎をおこす病気です。

上腕骨内側上顆炎

ゴルフ肘とも呼ばれます。手や指を曲げるための筋肉の腱が、肘の周りで腱鞘炎を起こす病気です。

野球肘

繰り返し投球を行うことで起こる肘の病気の総称です。内側や外側、後ろ側と広い範囲で肘が傷つきます。

変形性肘関節症

老化とともに肘の軟骨(骨と骨の衝突や摩擦を防ぎ、関節の動きを滑らかにしている組織)がすり減り、骨が変形してきます。スポーツや重労働が病気の進行の原因となります。

肘部管症候群

骨の変形や筋肉・靭帯が神経を圧迫して、肘の内側から小指にかけてしびれや痛みを起こします。

肘の炎症が原因の場合

痛風や関節リウマチによる関節炎

これらの病気では、肘の関節に炎症を起こし痛みが起こります。肘以外の関節にも炎症を起こす場合があります。

滑液包炎

肘の骨と皮膚の間には滑液包というクッションの役割を果たす袋状の構造があります。ここに炎症を起こすと、肘の後ろ側に水がたまって見えます。

蜂窩織炎

肘の皮膚近くに細菌感染症をおこすことがあります。

その他の原因

首の病気

頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアといった首の神経が圧迫される病気では、肘のまわりにしびれや痛みを起こす場合があります。

骨腫瘍(腫れ物やしこり)

頻度は多くありませんが、骨の腫瘍による痛みが起こる場合があります。

公開日

最終更新日

山田記念病院 整形外科 整形外科部長

濱畑 智弘 監修

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(参考文献)

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