斜視の原因や考えられる病気には何がありますか？

斜視の原因はさまざまで、大きく分けて先天性と後天性があります。それぞれに関連する病気や要因が異なります。

先天性斜視では、生まれつき眼球を動かす筋肉や神経の異常、視力の左右差などが原因となることがあります。代表的なものに「先天性内斜視（乳児内斜視）」があり、生後6ヶ月以内に発症することが多く、原因は明らかでないこともあります。また、「調節性内斜視」といって、遠視が強い子どもが、ピントを合わせようとする過剰な調節によって、目が内側に寄ってしまうケースもあります。

一方、後天性斜視は、目や全身の病気、外傷、神経障害などが原因で発症します。例えば、脳卒中、脳腫瘍、頭部外傷、糖尿病による神経障害などによって、眼球を動かす脳神経（動眼神経、滑車神経、外転神経）に障害が生じると、目の動きが不均等になり、斜視が起こることがあります。また、甲状腺眼症では、眼球を動かす筋肉が腫れて動きが制限され、斜視の原因となることがあります。

その他、白内障や網膜疾患などの視力低下により、脳が片方の目からの情報を抑制することで、斜視になることもあります。

このように、斜視の背景には目そのものの異常から、脳や神経、全身の病気まで幅広い要因が関与している可能性があります。そのため、斜視を発症した場合には、単なる眼位のずれと軽視せず、眼科を中心とした精密検査により、原因を明確にすることが重要です。特に、大人で急に斜視が現れた場合は、脳の病気の兆候であることもあるため、早急な受診がすすめられます。