低ホスファターゼ症の原因や考えられる症状には何がありますか?

遺伝子の異常によってアルカリフォスファターゼ(ALP)という酵素の働きが悪くなることが原因です。骨や歯が弱くなり、骨折や歯が抜けるといった症状が見られます。

解説

低ホスファターゼ症の原因は、遺伝子の異常によってアルカリホスファターゼ(ALP)という酵素の働きが悪くなることです。これにより、以下のような症状を引き起こします。

骨の石灰化障害

骨を作る時には、カルシウムやリンといったミネラルが骨に取り込まれる(=石灰化)ことで骨が硬く強くなります。ALPの働きが悪くなると、骨の石灰化がうまくできなくなるため、骨が弱くなって骨折を起こしやすくなったり、腕や脚が短くなったり、身長が伸びにくくなったりします。

歯の石灰化障害

歯も、骨と同様に石灰化が重要です。このため、歯が抜ける・歯周病になるといった症状が見られる場合があります。

血液や尿中カルシウムの増加

骨へのカルシウムの取り込みが不十分だと、その分だけ血液や尿の中のカルシウムが増えてしまいます。血液中のカルシウムが増えると、疲労感や食欲低下、嘔吐や筋力低下といった症状につながります。また、尿に含まれるカルシウムが増えると、腎臓や尿管に石(尿路結石)ができて血尿や痛みを生じます。

ビタミンB6合成障害

ALPは、ビタミンB6の合成にも必要な酵素です。ビタミンB6は脳で情報伝達を助ける働きをしているため、不足することで脳の機能が悪くなり、けいれんを生じることがあります。

低ホスファターゼ症の症状の種類や重さの度合いには幅があり、ほとんど症状がない方もいれば、治療を行わなければ生存も難しいほど症状が重い方もいます。一般的にALPの必要性は成長とともに減っていくため、軽症の患者さんでは成長過程で自然に症状が改善する場合があります。

公開日

最終更新日

山田記念病院 整形外科 整形外科部長

濱畑 智弘 監修

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(参考文献)

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