ウエスト症候群(点頭てんかん)
ウエスト症候群は、点頭てんかんとも言われるてんかんの一つで、頭をカクンとさせたり両手をバンザイするような特徴的な発作を繰り返します。治療の遅れが発達や予後に大きな影響を及ぼす可能性があるため、不安がある場合は小児科を受診しましょう。注射で治療しますが、完治は難しく、多くの場合精神発達遅延を合併します。
宮城県立こども病院 小児科
谷河 翠 監修
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「点頭てんかん」とも言われる「てんかん症候群」の一つで、1歳未満の乳児に特徴的な発作、発達の遅延・退行が起こります。
死亡率は報告によってばらつきがあります。発作そのものや肺炎などの合併症により死亡することが多いとされています。
およそ半分の患者さんで発作が長期的に続き、高い確率で精神発達の遅れや自閉症も合併します。
ウエスト症候群に特徴的な顔つきはありません。
治療困難な疾患へ移行する場合があります。早期治療が予後を改善するとされています。
程度はさまざまですが、ウエスト症候群の患者さんの約80~90%に発達の遅れがみられるとされています。
「点頭」とは、うなずくという意味です。ウエスト症候群では頭をうなずくように前に倒す発作が見られます。
ウエスト症候群の発作は抱っこしているときにも起こりえます。
スパズム発作は、ウエスト症候群でみられる特徴的な発作で、突然頭を前に倒すなどの症状が現れます。
しゃっくりは典型的な症状ではありませんが、規則的な発作がしゃっくりと間違えられる可能性はありえます。
ウエスト症候群を発症すると、笑わなくなることがあります。
症状について
大脳の奇形や染色体異常、脳虚血などが関係していると考えられていますが、詳しいことはわかっていません。
生後3~11ヶ月頃に、突然頭をカクンとさせたり、両手を振り上げる動作が数秒間続くのを繰り返したります。
発症初期は、発作が1日に1〜2回程しか起こらないこともありますが、段々と増えていきます。
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
モロー反射は正常な反応、ウエスト症候群で見られるスパズム発作は病的な発作です。
進行により現れる症状は患者さんによってさまざまです。治療が困難な疾患へ移行する場合もあります。
Ubieのサイトでは、うなずく症状に関するイラストを掲載しています。
ウエスト症候群でみられる発作症状の可能性がありますが、単発では判断が難しい場合があります。
寄り目のような症状が規則的に繰り返される場合は、ウエスト症候群の発作症状の可能性もあります。
刺激がないときにモロー反射のような仕草を規則的に繰り返す場合は、ウエスト症候群の可能性は考えられます。
頭を上下に振ったり、前に倒す症状が繰り返される場合は、ウエスト症候群の可能性は考えられます。
ビクっとする症状が規則的に繰り返し起こったり、刺激を与えても消えない場合はその可能性はあります。
両手を振り上げる現象が規則的に繰り返し起こる場合、ウエスト症候群の可能性は考えられます。
頭を抱える仕草は典型的な症状ではありませんが、両手を上げる症状がそのように見える可能性はあります。
発作は睡眠中に起こることはまれであり、寝起きや寝覚めに多く起こります。
治療について
代表的な治療は、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)療法です。
治療後は、時間を守って服薬することや、発作が再発していないか目や手の動きをチェックすることが大事になります。
完全に治ることは少なく、緩やかに発作が続いて知的障害や運動発達の遅れなどを伴うことが多いです。
ACTH療法はウエスト症候群の標準的な治療法で、副腎皮質刺激ホルモンを使用する方法です。
受診について
薬について
(参考文献)
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