アデノウイルスの潜伏期間はどのくらい?アデノウイルス感染
監修医師平松 由布季東日本橋内科クリニック 内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
アデノウイルス感染症とは
「アデノウイルス感染症」とはどのような病気ですか?
アデノウイルス感染症とは、ウイルス感染によって消化器、呼吸器、目、泌尿器などに不調が出る病気です。
アデノウイルス感染症とは、アデノウイルスという病原体に感染することで引き起こされる病気の総称です。
アデノウイルスはA〜Gの7種に分類され、さらに現在100以上の型が存在します。血清型により感染しやすい臓器が異なります。感染部位は以下のとおりです。
アデノウイルスの種類と感染部位
- A、E、F、G群:消化器
- B1群:呼吸器、目、消化器
- B2群:免疫抑制者の呼吸器、泌尿器
- C群:呼吸器、消化器
- D群:HIV感染者における目、消化器
アデノウイルス感染症の症状
アデノウイルスでは結膜炎などの目の症状は出ますか?
アデノウイルスによる「流行性角結膜炎」や「プール熱」では、目やにや目の充血などの症状が出ます。
はい。アデノウイルスは結膜炎を引き起こすことがあります。
咽頭結膜熱
「咽頭結膜熱」は発熱・結膜炎・咽頭炎を3徴とします。主な症状は、
- 結膜充血
- 目の痛み
- 羞明(過度に眩しいと感じる状態)
- 流涙(なみだ目)
- 眼脂(めやに)
などがあり、3〜5日間程度持続します。かつては夏期にプールの水を介して感染したため「プール熱」と呼ばれていましたが、現在は消毒管理の徹底により、プールで感染することはまれです。
流行性角結膜炎
「流行性角結膜炎」では片側から結膜炎が始まり、数日で両側となります。主な症状は、
- 眼球結膜充血
- 眼瞼結膜の濾胞形成
- 眼瞼浮腫(まぶたの腫れ)
- 眼脂(めやに)
などがあります。角膜に炎症が及ぶと透明度が低下し、混濁は数年にわたることもあります。
アデノウイルス感染症には初期症状はありますか?
感染した臓器によって、多彩な初期症状が見られます。
アデノウイルス感染症の初期症状は、感染した臓器によって異なります。
アデノウイルスは、流行性角結膜炎や咽頭結膜熱として日常的に遭遇するウイルスですが、胃腸炎や肺炎、脳炎、肝炎などさまざまな病態(特定の病気における症状や徴候のこと)をとることが特徴です。また、ウイルスの型によって感染しやすい臓器があります。
病態ごとの初期症状
流行性角結膜炎
- 結膜炎
咽頭結膜熱
- 発熱
- 結膜炎
- 咽頭炎
など
胃腸炎
- 発熱
- 嘔吐
- 下痢
など
肺炎
- 発熱
- 咳
- 息苦しさ
など
脳炎
- 発熱
- 意識障害
- けいれん
など
肝炎
など
アデノウイルス感染症の原因
アデノウイルス感染症の原因や考えられる症状には何がありますか?
飛沫感染や接触感染により、アデノウイルスに感染することが原因です。多彩な症状が見られます。
アデノウイルスは飛沫感染(くしゃみや咳)や、接触感染(唾液や鼻汁、便)で広まります。
以下のような多彩な臨床症状を引き起こします。
主な臨床症状
咽頭・扁桃炎
など
咽頭結膜熱
- 発熱
- 結膜炎
- 咽頭炎
など
流行性角結膜炎
流行性角結膜炎の症状については、以下をご参照ください。
胃腸炎
- 発熱
- 嘔吐
- 下痢
など
腸重積
- 突然泣き出したり泣き止んだりする
- いちごゼリー状の便が出る
など
出血性膀胱炎
- 血尿
- 排尿時痛
など
心筋炎
- 活気低下
- 嘔吐
- けいれん
- 意識障害
など
肝炎
など
髄膜炎、脳炎
- 頭痛
- 意識障害
- けいれん
など
アデノウイルス感染症の検査・診断
アデノウイルス感染症のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」もご参照ください。
アデノウイルス感染症に特異的な症状はないため、症状のみでのセルフチェックは難しいです。現れた症状がアデノウイルス感染症によるものかをセルフチェックするうえでは、周囲の流行状況が参考になります。
なお、医療機関での診断は、咽頭拭い液、結膜拭い液、便、尿からのウイルス分離、ウイルスゲノム検出、抗原検査で行います。
アデノウイルスと溶連菌の検査は同時にできますか?
アデノウイルスと溶連菌の検査は同時にできます。
アデノウイルスと溶連菌の検査は同時にできます。近年では、咽頭ぬぐい液を1回採取するだけで、同じ検体からアデノウイルスと溶連菌の両方の抗原を検出できる迅速検査キットが開発されており、効率的に鑑別診断が可能です。
検査キットは市販されておらず、検査を受けたい場合は、医療機関の受診が必要です。医師が必要と判断した場合に検査が行われます。また、同時の検査に対応しているかどうかは、医療機関によっても異なりますので、受診時に確認するとよいでしょう。
アデノウイルス感染症で目の検査は必要ですか?
目に症状がある場合、アデノウイルス感染症で目の検査が必要なことがあります。
目に症状がある場合、アデノウイルス感染症で目の検査が必要なことがあります。アデノウイルス感染症の一種である咽頭結膜熱は、アデノウイルス3型、4型、7型に感染すると発症します。結膜炎や目の充血や目やになどの症状が起こります。
また、アデノウイルス8型、19型、37型に感染すると流行性角結膜炎を発症し、症状がひどい場合は結膜炎を起こして痛みを伴うこともあります。
このような症状が見られたら眼科を受診し、必要とされた場合は検査を受けましょう。
アデノウイルス感染症は尿検査でわかりますか?
アデノウイルス感染症は、一般的には尿検査ではわかりません。
アデノウイルス感染症は、一般的には尿検査ではわかりません。アデノウイルス感染症の検査では、主に咽頭ぬぐい液や結膜ぬぐい液を用いてウイルスの検出を行います。感染力の強いウイルスは、咳やくしゃみで飛沫感染しやすいため、これらの部位からの検査が最も確実とされています。
アデノウイルスには多くの型があり、症状も多彩です。詳細な診断のためにはウイルス分離が必要とされ、培養やPCR検査を行います。実際には、迅速診断キットでの簡易診断が行われるのが一般的です。
アデノウイルス感染症の検査は痛いですか?
個人差がありますが、痛みを感じることもあるでしょう。
個人差がありますが、痛みを感じることもあるでしょう。アデノウイルス感染症の検査は、主に咽頭ぬぐい液や結膜ぬぐい液を使って行われます。これらを採取する時は、綿棒を喉の奥や目のまわりの粘膜に軽くあてて拭います。採取は短時間で終わり、通常強い痛みはありません。ただし、喉の奥に綿棒を入れる際に異物感や痛みを感じる可能性はあります。
結膜のぬぐい液採取も同様に、通常痛みはほとんどなく、軽い刺激を感じる程度です。これらの検査は患者さんに大きな負担をかけずに、迅速に診断できる方法として広く用いられています。
アデノウイルス感染症はどのような検査をしますか?
アデノウイルスの分離培養や抗原の検出を行います。
アデノウイルス感染症の型を調べる検査では、ウイルスの分離培養や抗原の検出を行います。咽頭ぬぐい液や結膜ぬぐい液、糞便、喀痰などを用いて検査しますが、結果が出るまで3週間ほど時間がかかります。よって、実際は迅速診断キットが用いられる場合が多いようです。迅速診断キットであれば、咽頭ぬぐい液を用いて、免疫クロマトグラフィー法などで10~15分程度で判定可能です。
その他、身体の一部から採取した組織や細胞(生検材料)を使う場合は、PCR法でも検査できます。血液検査では特徴的な所見はないため、他の感染症との鑑別が必要です。
アデノウイルス感染症の治療・対処法
アデノウイルス感染症の場合、主にどのような治療をしますか?
ウイルスそのものに対する薬はありません。症状ごとに対応します。
アデノウイルス感染症に特異的な治療はありません。状況に応じた対症療法を行います。
以下にいくつか、主な例を挙げます。
症状とその対症療法
咽頭扁桃炎、咽頭結膜熱
発熱期間が長く、血液検査で炎症反応が高いために抗菌薬が使用されることが多いですが、無効です。発熱時には鎮痛解熱剤を使用し、脱水にならないように水分補給します。
急性胃腸炎
軽度脱水には低浸透圧性経口補水液、中等症以上の脱水には点滴をします。
肺炎
重症の場合は入院での治療が必要となります。細菌の二次感染を合併する可能性があり、その場合は抗菌薬を使用します。重症の患者さんで免疫反応が異常に亢進している場合は、副腎皮質ステロイド薬の使用を要します。
出血性膀胱炎
大量の水分を摂取し、十分な尿量を確保することで自然治癒します。痛みが強い場合は、鎮痛薬を使用します。
受診の目安・何科を受診するべきか
アデノウイルス感染症の検査は何科で受けられますか?
主に小児科や耳鼻咽喉科、眼科、内科などで受けられます。
アデノウイルス感染症の検査は、主に小児科や耳鼻咽喉科、眼科、内科などで受けられます。主な症状である咽頭炎や結膜炎が見られる場合は、小児科や耳鼻咽喉科が一般的な受診科です。
検査の際は、咽頭ぬぐい液や結膜ぬぐい液、便などの検体を採取して、ウイルスや抗原の有無を調べます。流行している時期は、症状のみで診断される場合もあるでしょう。
また、アデノウイルス感染症は学校保健安全法上の学校感染症のひとつです。学校に通う子どもが感染した場合、症状がなくなったあとも、2日過ぎるまで登校禁止となる点に注意しましょう。
アデノウイルス感染の専門医がいる近くの病院はありますか?
アデノウイルス感染の専門医がいる病院を見るアデノウイルス感染症に関連するその他の質問
アデノウイルスの潜伏期間はどのくらいですか?
ウイルスの種類によって異なりますが、3〜14日程度です。ただし、患者さんの免疫状態などによっても変動します。
アデノウイルスの潜伏期間は、ウイルスの種類(感染症の種類)によって異なります。具体的な感染症ごとの潜伏期間の例は以下の通りです。
主な感染症ごとのアデノウイルス潜伏期間
- 咽頭結膜熱:5〜7日
- 流行性核結膜炎:8〜14日
- 急性呼吸器感染症:3〜5日
ただし、これらの潜伏期間は一般的な目安です。患者さんの体力や免疫状態、ウイルスの感染量、環境要因などによって変動しますので、ご注意ください。
アデノウイルスは大人も感染しますか?
子どもに多い病気ですが、大人も感染します。咳やくしゃみによってうつるため、家庭内での感染に注意しましょう。
はい。アデノウイルスは大人も感染する可能性があります。
アデノウイルスは非常に感染力が強く、家庭、学校、園での感染対策が必要です。
伝播は飛沫感染が主ですが、糞便に長く排せつされます。飛沫に注意して、できるだけ感染者を隔離する他、便の適切な処理、手洗いなどを徹底してください。また、タオルなどの共有は避けましょう。
アデノウイルスは熱に弱いので、感染者が使ったタオルは熱水で洗濯すれば消毒できます。(目安は85°Cで1分間以上)アルコール系の消毒薬は効果が弱いですが、次亜塩素酸ソーダによる環境消毒は有効です。
アデノウイルス感染症について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「アデノウイルス感染」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 体温は37.5℃以上ですか?
- これまでに【結核】と診断されたことはありますか?
- これまでに【扁桃炎を年に4回以上】繰り返していますか?
- お腹の痛みがありますか?
- のどの痛みはありますか?
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この記事の監修医師
平松 由布季 先生
東日本橋内科クリニック 内科
2015年愛媛大学医学部卒。 松山赤十字病院で初期研修後、東京ベイ・浦安市川医療センターで内科後期研修を修了。 引き続き同センター総合内科で、フェローシップ研修を行い、2024年1月まで医員、外来医長として勤務。 病棟専門の総合医であるホスピタリストとして、特に若手医師の教育、臨床倫理(アドバンス・ケア・プランニングや意思決定支援など)に注力してきた。 2022年6月からは日本プライマリ・ケア連合学会 若手医師支援部門 病院総合医チーム副代表に就任。"病院総合医の価値を社会に発信し、これを志す若手の道標になる"をMISSION&VISONに掲げ、学術大会等での企画運営、商業誌執筆、若手医師のキャリア支援などを行なってきた。 2024年2月から東日本橋内科クリニックで勤務。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03