疥癬の対処法は?疥癬
監修医師阿部 吉倫内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
疥癬とは
ヒゼンダニによる感染症です。家族や老人ホーム、病院などで感染した人の皮膚と接触することでうつります。
「疥癬」とはどのような病気ですか?
ヒゼンダニが皮膚に寄生することで生じる感染症です。ヒトからヒトへ感染します。
疥癬は、ヒゼンダニというダニの一種が皮膚に寄生することにより起こる皮膚の病気で、ヒトからヒトに感染します。
日本では、年間8~16万人が疥癬を発症しています。高齢者に多い傾向がありますが、老若男女誰でも感染する可能性があります。海外旅行者でも多い病気です。
集団発生を防ぐために、感染が疑われる場合には早めの受診が必要です。
ヒゼンダニは疥癬虫とも呼ばれ、ヒトの皮膚の上や角質に潜んでいます。繁殖する際に、雌は皮膚に「疥癬トンネル」という細いトンネルを掘り進め、その中で産卵します。疥癬の症状は、ヒゼンダニやその脱皮した殻、糞などに対するアレルギー反応で引き起こされると言われています。
疥癬は、「通常疥癬」と「角化型疥癬」の2つに分類されます。どちらも同じヒゼンダニによる病気です。
通常疥癬
ヒゼンダニに感染すると、多くの場合は通常疥癬として発症します。主な感染経路は肌と肌の直接接触です。同じ寝具を共有したり、長時間手をつないだりすることで感染します。
感染後は、通常約1~2ヶ月の無症状の期間をおいて、小さな赤い発疹や小豆大のしこりなどができ、強いかゆみを伴います。
角化型疥癬
角化型疥癬は、持病があったり栄養状態のわるい高齢の方や、免疫機能が低下している方などで起こりやすいタイプです。通常疥癬と比較して寄生するヒゼンダニの量が圧倒的に多いため、感染力が強く、短時間の接触や、直接肌が触れなくてもリネンなどを介して感染することがあるため、集団感染に特に注意が必要です。角化型疥癬の人から感染した場合も、まずは通常疥癬として発症します。
症状としては、角質が増えて分厚くなり、灰色~黄白色のざらざらとした見た目になります。かゆみはあまり目立ちません。
疥癬の症状
疥癬ではどのような症状がありますか?
通常、発疹や激しいかゆみといった症状が見られます。皮膚の角質が分厚くなるようなタイプもあります。
感染後の通常1~2ヶ月の潜伏期間のあと、発疹などの皮膚の病変やかゆみが現れます。
疥癬には、以下の2つのタイプがあり、それぞれ症状が異なります。
通常疥癬
一般的に起こりやすいタイプです。顔・頭以外の全身に、赤くて小さなブツブツ(丘疹)、赤茶色で小豆程度の大きさのしこり(結節)や、白く少し膨らんで蛇行した細い線状の「疥癬トンネル」が現れます。ブツブツやしこりは、非常に強いかゆみを伴い、おなかや胸、足や腕に見られやすいです。疥癬トンネルは、ヒゼンダニが角質を掘り進んでいく道筋のことで、かゆみを伴うことが多いです。手のひらや指の間や指の側面などに見られます。
角化型疥癬
免疫機能が低下した人などで起こる重症型です。寄生するダニの数が非常に多く、感染力が強いタイプです。灰色から黄白色でザラザラとカキの貝殻のような、厚く、何層にもあかが増えたような皮膚の状態(角質増殖)が現れます。手足やおしり、ひざやひじをはじめとして、顔や頭、爪など全身で現れます。全身の皮膚が赤くなることもあります。最近は、手のひらなど一部のみに症状が出る場合もあります。かゆみは出る場合も出ない場合もあります。
疥癬の原因
疥癬の原因は何がありますか?
ヒゼンダニが皮膚の角質層に寄生することが原因です。
疥癬は、ヒゼンダニ(疥癬虫)という小さなダニの一種が皮膚に寄生し、虫体、糞、脱皮した殻などにアレルギー反応を起こすことで生じると言われています。
ヒゼンダニは、皮膚の表面にある角質層に寄生します。幼虫や雄の成虫などは通常、皮膚の上や角質の中などに潜んでいて、雌の成虫は繁殖に備えて穴を掘ります。繁殖の際に、雌は「疥癬トンネル」と呼ばれるトンネルを掘り進めながら、その中に卵を産み付けます。
人肌程度の温度環境で最も活発になり、低温・高温や乾燥には弱いため、ヒトの皮膚から離れると数時間で感染力が低下します。
疥癬に感染したヒトの皮膚に住み着いたヒゼンダニは、肌と肌との接触などにより、他のヒトの皮膚にうつり住むことにより感染します。
「通常疥癬」の患者さんから感染する場合は、同じ布団で寝た(もしくは短い時間間隔で同じ寝具を使用した)、長時間手をつないだなど、通常は直接的で長時間の肌の接触で感染し、感染後は、通常約1~2ヶ月の無症状の期間をおいて症状が現れます。
「角化型疥癬」の患者さんの場合は、分厚くなってはがれる角質に大量のヒゼンダニが含まれているため、短時間の接触や、リネンなどを介した短時間の接触や間接的な接触でも感染し、感染から発症まで4~5日ほどしかかからないこともあります。
疥癬の原因であるヒゼンダニはお風呂に入れば死にますか?
入浴ではヒゼンダニは死滅しません。
ヒゼンダニは、一般的な入浴の温度では死滅しません。また、治療にイオウ剤を用いることがありますが、入浴の際のイオウ浴はダニに対する効果ははっきりしていません。
疥癬の治療法として、ヒゼンダニを退治することを目的とした飲み薬や塗り薬がありますので、早めに医療機関に相談し治療を進めてください。
なお、ヒゼンダニは50℃、10分間で死滅するとされています。そのため、角化型疥癬の方が使用した寝具や衣類などについたダニは、洗濯前に50℃以上のお湯に10分間以上浸す、洗濯後に乾燥機にかけるなどの方法で死滅させることができます。
また、ピレスロイド系殺虫剤も効果があります(人体には使用しないでください)。
疥癬の検査・診断
疥癬のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
疥癬の診断は、特徴的な皮膚の所見や流行状況がはっきりしない場合、ヒゼンダニが皮膚に寄生していることを証明することが基本のため、ご自分で診断することはできません。ただし、疥癬の患者さんと接触があった後で症状が出てきた場合などには、疑わしいと考えられます。
疥癬の感染が疑われる状況
通常は、発症後の患者さんから感染します。発症前に人にうつす可能性は低いと考えていいでしょう。
通常疥癬の患者さんからの感染の場合
- 患者さんと同居している(特に、雑魚寝をしている)
- 患者さんと同じ寝具で寝る機会があった
- 患者さんと長時間手をつないだ
角化型疥癬の患者さんからの感染の場合
- 患者さんと同居している
- 患者さんの肌に触れた
- 患者さんの使用したリネン類に触れた
疥癬の発症が疑われる症状
- お腹や太ももなど、顔以外に小さな赤いブツブツがあり、かゆみが強い
- 男性のデリケートゾーンなどに、赤茶色で小豆ぐらいの大きさのしこりができ、かゆみが強い
- 手や指に白くて少し膨らんだ細い線のようなものがある
- かゆみは特に夜間に強く眠れないこともある(かゆみは目立たないこともあります)
- 発疹にステロイドの塗り薬を塗った場合、一旦よくなった後で悪化してきた
※寝たきりの高齢の方など、ご自身の症状の訴えが乏しい場合などは、痒くて掻いた痕の引っかき傷も参考になります
さらに、免疫機能の低下している方や高齢の方などでは、以下のような症状が現れることもあります。
- 手のひらやお尻などが灰色・クリーム色のガサガサ・ゴワゴワになってきて、剥がれ落ちることがある
疥癬の治療・対処法
疥癬への対処法は?
飲み薬と塗り薬で治療します、速やかに医療機関を受診してください。疥癬と診断された場合は、衣類や寝具を天日干ししましょう。
受診の目安・何科を受診するべきか
疥癬は放置しておけば、自然治癒するのでしょうか?
ほぼ自然治癒することはなく、治療が必要です。
基本的に、疥癬が自然に治ることはなく、ヒゼンダニを駆除する薬(飲み薬か塗り薬、もしくはその両方)が必要です。しっかり治療した場合には、2週間程度で症状は軽くなります。疥癬が疑われる場合は、早めに医療機関に相談し治療を進めてください。
治療の経過は、病気のタイプによって異なります。
通常疥癬
通常、3週間~1ヶ月で終息します。ただし、治療内容により、治るまでの期間は異なります。治った後も、3ヶ月程度は皮膚の状態を確認することが勧められます。
角化型疥癬
周囲の方の感染も含め、約2ヶ月で終息します。高齢の方では、治るまでの期間が長くなることがあります。治った後も、6ヶ月程度は皮膚の状態を確認することが勧められます。
なお、「動物疥癬」と呼ばれる病気があり、動物を飼っている場合などに、動物に寄生しているヒゼンダニが感染して、通常疥癬と似た症状を起こすことがあります。この場合には、患者さん本人の治療は必要ありません(かゆみ止めなどは使用します)。これは、動物に寄生するヒゼンダニとヒトに寄生するヒゼンダニは種が異なるため、ヒトの皮膚では繁殖しないためです。ただし、動物の治療をしないと良くならないため、動物を獣医師に診てもらう必要があります。
疥癬の専門医がいる近くの病院はありますか?
疥癬の専門医がいる病院を見る疥癬について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「疥癬」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 皮ふにかゆみはありますか?
- 皮ふのかゆみは特に夜中にひどくなりますか?
- 全身の皮ふに赤みがありますか?
- 皮ふに何らかの異常がありますか?
- 皮ふをかきむしりましたか?
疥癬に関連する病気・症状
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この記事の監修医師
阿部 吉倫
内科
2015年東京大学医学部医学科卒。東京大学医学部付属病院、東京都健康長寿医療センターで初期研修を修了。血便を放置し48歳で亡くなった患者との出会いをきっかけにデータサイエンスの世界へ。2017年5月にUbie株式会社を共同創業。2019年12月より日本救急医学会救急AI研究活性化特別委員会委員。2020年 Forbes 30 Under 30 Asia Healthcare & Science部門選出。
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- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03