鉄過剰症(ヘモクロマトーシス)の場合、主にどのような治療をしますか?

臓器に沈着した鉄を除去する治療として、血液を抜く方法(瀉血)や、鉄を排せつする薬剤の使用などがあります。

解説

鉄過剰症(ヘモクロマトーシス)の治療は、

  • 臓器に沈着した鉄を除去する治療
  • 鉄沈着により生じた臓器障害に対する対症療法

の二つに分けられます。

鉄を除去する治療

鉄を除去する治療には、体内から血液を大量に抜く方法(瀉血:しゃけつ)と鉄キレート療法(鉄排泄促進薬)投与があります。

瀉血

瀉血による血液喪失で貧血状態になることがありますが、これにより造血が進み、臓器に沈着していた鉄が血液中に流れ出て、臓器中の鉄の減少します。輸血後の鉄過剰症では貧血が背景にあり、赤血球輸血を行っていることから瀉血は一般的に行いません。

鉄キレート療法

注射剤(デフェロキサミン)と経口剤(デフェラシロクス)があります。いずれも鉄の尿や奮中への排せつを促すもので、毎日投与が必要です。経口剤は1日1回の服用で効果が期待でき、広く使用されています。

鉄沈着により生じた臓器障害に対する対症療法

鉄沈着によって現れた臓器の症状に対して、対応する治療を行います。(根本的治療ではなく対応としての治療)

遺伝性ヘモクロマトーシスでは、病的な遺伝子を良くする根本的治療は現時点で不可能です。そのため、上記治療が中心となります。

公開日

最終更新日

名古屋大学病院 小児がん治療センター 血液内科

秋田 直洋 監修

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