肝がんの治療方法として、ステージごとにそれぞれどのようなものがありますか？

肝がんの主な治療方法には、手術（肝切除・肝移植）、穿刺局所療法、塞栓療法、薬物療法、放射線療法などがあります。

肝がんの治療方法は、ステージ（病気の進行具合を示す分類）によって一律に決まるわけではありません。肝機能の状態、がんの数や大きさ、リンパ節転移や遠隔転移（がん細胞が最初に発生した場所と別の臓器や器官に移動して増えること）の有無、全身状態など、さまざまな要素を総合的に判断して治療方法を選択します。

手術

肝切除

がんとその周囲の組織を手術で取り除く治療方法です。がんが肝臓内にあり、がんの数が3個以内の場合に行われます。
切除する範囲は、がんの大きさや場所、肝機能に応じてさまざまです。

肝移植

肝臓全体を取り除き、ドナー（臓器提供者）から提供された肝臓を移植する治療方法です。
主に家族などの近親者から肝臓の一部を提供してもらう「生体肝移植」や、脳死ドナーから提供された肝臓を移植する「脳死肝移植」があります。

穿刺局所療法

穿刺局所療法は、特殊な針をがんに直接刺し、針の先端の熱でがんを焼き切ったり、エタノールを注入してがんを死滅させる治療方法です。
手術に比べて体への負担が小さく、がんの大きさが3cm以下でがんの数が3個以下の場合に行われます。

塞栓療法

塞栓療法は、手や足の血管から細い管（カテーテル）を入れ、がんに栄養を供給する肝臓の血管に抗がん剤や血管を塞ぐ物質を注入してがんを死滅させる治療方法です。
がんが3cm以上、または4個以上ある場合や、手術や穿刺局所療法を行うことが難しい場合に行われます。

薬物療法

薬物療法では、分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬などの薬を使います。

• 分子標的薬：がん細胞に特徴的な分子を標的にしてがんを攻撃する薬
• 免疫チェックポイント阻害薬：がん細胞が免疫細胞の攻撃から逃れる仕組みを妨げ、免疫によってがん細胞を攻撃する力を保つ薬

手術や穿刺局所療法、塞栓療法などを行うことが難しい進行性の肝がんに対して行われます。

放射線療法

放射線療法は、他の治療を行うことが難しい場合に行われることがあります。
また、骨に転移したがんによる痛みの緩和や、脳に転移したがんに対する治療として選ばれることが多いです。