体軸性脊椎関節炎の治療ガイドラインについて教えてください。

体軸性脊椎関節炎の治療については、国際的な専門家集団や日本の学会から、治療方針に関する推奨や手引きが公表されています。

1. 国際的な推奨（ASAS-EULAR）

国際的な専門家組織であるASAS（脊椎関節炎国際評価委員会）とEULAR（欧州リウマチ学会）から、体軸性脊椎関節炎の治療に関するマネジメントの推奨が提示されています。

• 治療の目標（Treat to Target: T2T）：治療の基本的な考え方として、糖尿病のように目標の数値を決めて、その達成に向けて治療を進める「目標達成型治療（T2T）」が推奨されています。
  • 主目標は、症状や検査で炎症がほとんどない状態です。臨床的寛解と呼ばれます。
  • 代替の目標として、症状や炎症が低く抑えられている状態を目指します。低疾患活動性と呼ばれます。
• 治療の主な要素：治療は、薬物療法と薬物以外の治療（運動療法など）を組み合わせて行われます。
• 患者教育・運動療法：患者さん自身が病気を理解すること、規則的な運動や禁煙が推奨されています。
• 薬物療法：
  • 第一選択：NSAIDs（非ステロイド性消炎鎮痛薬）が用いられます。痛みやこわばりに対して使用されます。
  • 生物学的製剤：NSAIDsなどで効果が不十分な場合、TNF阻害薬やIL-17阻害薬などが使用されます。
  • JAK阻害薬：他の薬物療法で効果が不十分な場合に使用されることがあります。
• モニタリング：ASDAI（ASDAS）などの指標を用いて、疾患活動性を定期的に評価し、治療方針を調整します。

２. 日本の学会による手引き

日本脊椎関節炎学会からは、『脊椎関節炎診療の手引き』が発刊されています。また、日本リウマチ学会・日本脊椎関節炎学会から、IL-17阻害薬などの薬剤使用に関する手引きも公表されています。