好酸球性多発血管炎性肉芽腫症で心臓に影響が出ることはありますか?
心臓に影響が出ることがあります。心臓病変は最も深刻な合併症のひとつであり、死亡原因の約半数を占めます。心不全や心筋炎などを引き起こしますが、自覚症状がなくても約40%の患者さんで異常が見つかるため、早期の詳しい検査が不可欠です。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)で心臓にどのような影響が起こりうるか、具体的な病変や症状、検査の重要性について順に整理します。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症における心臓病変の重要性
EGPA(旧称:チャーグ・ストラウス症候群)は、好酸球が著しく増加し全身の血管に炎症が起こる指定難病です。さまざまな臓器に影響が及びますが、中でも心臓の病変はEGPAにおける最も深刻な合併症のひとつであり、EGPAによる死亡原因の約半数を占めるとされています。特に、診断時に血液中の好酸球数が著しく高い患者さんほど、心臓への影響が頻繁に見られる傾向があります。
心臓に起こる具体的な変化
好酸球が心臓の筋肉や周囲の組織に入り込んだり、血管炎が起こったりすることで、以下のような多様な心臓病変が引き起こされます。
- 心筋炎・心筋症: 心臓の筋肉そのものに炎症が起こる状態(患者さんの約16%に発生するという報告があります)
- 心外膜炎・心嚢液貯留: 心臓を包む膜の炎症(約15%)や、そこに液体が溜まる状態(約50%)
- 弁膜症: 心臓の血液の逆流を防ぐ弁の障害(約73%)
- その他の重篤な病態: 心不全、心不整脈、心臓内の壁内血栓の形成など
心臓病変の症状と「無症状」のリスク
心臓病変が進行すると、動悸(心臓がドキドキする感覚)や、息苦しさ・息切れといった自覚症状が現れます。重症化すると、心筋梗塞に似た深刻な状態や重い心不全に陥るリスクがあります。
しかし、最も注意すべき点は「初期には自覚症状がないことが多い」という事実です。実際に、自覚症状がなく心電図も正常なEGPA患者さんであっても、約40%の割合で心エコーなどの詳細な検査によって心臓に病変が見つかることがわかっています。
重症化を防ぐための検査と対応
自覚症状の有無だけで心臓病変を判断することは非常に危険です。そのため、EGPAが疑われる場合や診断された直後には、症状がなくてもルーチンで以下の初期評価が行われます。
- 心電図検査
- 心エコー(超音波)検査
- 血液検査による心筋マーカーの確認(心臓トロポニン、NT-proBNPなど)
さらに必要があれば、心臓MRIや心内膜生検が実施されることもあります。
動悸や息切れなどの症状を少しでも感じた場合はもちろんのこと、自覚症状がなくても、主治医の指示に従って心臓の定期的な検査を必ず受けることが、命に関わる重症化を防ぐために極めて重要です。
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(参考文献)
Bond M,et al. At the Heart of Eosinophilic Granulomatosis with Polyangiitis: into Cardiac and Vascular Involvement. Curr Rheumatol Rep. 2022, 24, 337-351.
難病情報センター.“好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(指定難病45)”.難病情報センター.https://www.nanbyou.or.jp/entry/3877,(参照 2026-08-17).
川嶋聡子.“好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)”.日本リウマチ学会(JCR).https://www.ryumachi-jp.com/general/casebook/egpa/,(参照 2026-08-17).
厚生労働科学研究費補助金・難治性疾患政策研究事業(難治性血管炎の医療水準・患者QOL向上に資する研究).“好酸球性多発血管炎性肉芽腫症”..https://www.vas-mhlw.org/kaisetsu-iryo/3-1-3/,(参照 2026-08-17).
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京都大学iPS細胞研究所 呼吸器内科
山形 昂 監修
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